24話 二兎追うものは一兎も得ず。ってね!
今回はちょっとグロあります。苦手な人は後書きに簡単にあらすじを書いとくのでそれを見てください!
誤字・脱字があったら教えてください!
突然だが、今から2年ほど前の話をしよう。俺のギルドの、2回目のギルド対抗戦の時の話をしよう。
まぁ、そう言ってもギルド戦中、俺が覚えてることなんてほとんどないんだけどな。
唯一覚えているのは…楽しかったってだけだな。
気が付いたら誰もいなくなっていた。
そう、敵も。味方も。
終わってからヒョウカから聞いた話だが、その時の俺はおかしかったらしい。まるで、狂戦士みたいだと…
「ぐあっ!」
ムチに吹き飛ばされ、転がる俺。
「おらおら!前までの威勢はどうしたんだ!?」
「くっ!」
振り下ろされてきたムチをかろうじて躱し、次いできたムチを剣で弾く。
するとムチは消滅するが、新たなムチが生み出される。
これをずっと繰り返していた。
超加速を使って接近しても躱されてしまう。はは、どうしたらいいんだ?
「はぁ、はぁ」
さすがに体力の限界が近づいてきた。やばいな…
あいつは俺を殺すと言っていたが、それは嘘ではなかったらしい。
「なんだぁ!もう限界か!?」
くそ、やばいな…
「おいおい大丈夫か?そろそろやばいんじゃねぇのか?」
あぁ、やべぇよ。
この戦闘が楽しすぎてやべぇよ!!
この、自分の全てを出しても勝てないという状況が!
今まで俺は最強と言われていた。それだからか、俺に決闘を仕掛けてきたやつが何人もいたが、全員無傷で返り討ちにしてやった。
レジェンダリードラゴンの時もそうだ。俺はただ走り回ってるだけなのに攻撃を受けなかった。
そうだ。あの、2回目のギルド対抗戦。あれも状況が少しだけ似ていたな。
ギルド対抗戦のルールは簡単。ギルドマスターを倒す。それだけだ。
だが、対戦するギルドのうち、人数が多い方のギルドは相手ギルドに人数を合わせなければいけないというルールがあった。
その時は俺のギルドの方が人数が多かったため、やりたい人は立候補をしてもらい、俺とヒョウカ、あと20人の合計22人で対抗戦を行った。
ギルド戦が始まり、俺達は相手ギルドへ走って向かい、敵の本陣に着いた。その間、誰一人として妨害に来なかったことを不思議に思っていたが、どうでもいいかと考えることをやめた。
そして、誰も妨害に来なかった。その理由を知った。
その理由はーー
「ぐあっ!」
「ん?え……」
後ろを振り向くと、味方がヒョウカを串刺しにしていた。
その行為に対し、俺の味方全員は動揺をしていなかった。
はは、なるほどな。
誰も妨害に来なかった理由。それは、敵ギルドと俺のギルドの裏切り者たちで挟み撃ちにするため。
これで俺は、42vs1という絶望的状況になったって訳か。
相手は楽しんでいるのか決して武器を使わず、攻撃は殴る,蹴るだけだった。
だが、その状況を俺は楽しんでいた。これが、苦戦するという事なんだなと。もしかしたら俺は戦闘狂なのかもな。
やがて倒れ込んだ俺目掛けて剣を振り下ろしてきた。
その剣を弾き、そいつの首を飛ばした。
そこからは記憶が無い。
結果は俺らの、いや。俺の勝ちだった。
気が付けば俺しかその場に立っていなかった。
その後ギルドに戻ったら、ヒョウカ以外から見られる目が変わった。
今までは友達とまではいかずとも、それに近い仲だったと思っていたが、その時は畏怖するような目で見られたな。
その後、家で自分のギルド対抗戦のYouTubeを見て、一瞬思考が停止した。
自分が、笑いながら敵全員を切り伏せていた。
しかも、その動画は低評価が3000を超えていた。
曰く、殺人鬼みたいだと。
曰く、現実でもこんなことをするのでは?と。
あらぬ疑いをかけられ、ほとぼり冷めるまで殆どの人が話しかけて来なくなったっけな。
多分、AIではないかって疑われたのはここからじゃないかなって個人的に思う。
まぁ、前置きが長くなったな。
何が言いたいかって言うと、その時、妙なスキルを覚えてたってこと。
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狂戦士
一定時間自身のステータスが3倍になるが、理性が無くなる。
習得条件
一定以上の戦闘に対する気持ちの高揚
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狂戦士。パッと見強く見えるが、理性が無くなるということは、敵も味方も全員に攻撃するということ。
このスキルを持っているやつにまともなやつはいないと思うな。
まぁ、言いたいのはこのスキルがあったって事だ。
さて、勘のいい人は察しているかもな。
信じてるぜ?校長先生!
俺はステータス画面も見ずに、そのスキルがあることを信じて心の中で叫ぶ。
(狂戦士!)
前までとは比較にならないこの魔力!すげぇ、やっぱりすげぇ!決めた!あのノヴァとかいう悪魔、俺の執事にしてやろう!
(エキューラのやつはもう体力の限界だろう。そろそろ終わらせてやろうか!)
30あるムチ全てでエキューラに攻撃を仕掛けようとし、気付く。
その場にエキューラがいないことに
「なっ!?どこだ!」
「あはははは!!」
「っ!後ろか!」
バッと振り向くがそこにエキューラはいなかった。
どこだと思っていると、笑い声が上から聞こえてきた。
「今度は上か!」
上を見ると同時に、エキューラが降ってきて俺の右腕を切り飛ばす。
「ぐあああぁ!!」
どれだけ魔力を、力を持っていても痛みには慣れていなかった。
右腕を押さえて蹲っていると、目の前に急にエキューラが現れた。
そう。笑いながら。
それに恐怖した俺は距離をとり、無我夢中で攻撃をした。
縦に、横に、斜めに。死角から攻撃を仕掛けても見えているかのように防いでくる。
どうしようかと焦っていると、またエキューラを見失う。
「2度目は通じねぇぞ!」
後ろを振り向くと、見えたのは2つ。1つ目はエキューラ。
2つ目は、自分の左手
「え…」
自分の左手を見てみると、手首から先がなかった。
「う、うわぁぁぁ!!」
あまりの痛みに再び蹲る。すると、エキューラはまた目の前に立ち、剣を振り下ろそうとする。
もう、避けられない。
「や、やめ…」
そこで、俺は気を失った。
「はっ!」
気が付くと、自分は体を拘束されていた。そして、やはり俺の右腕と左手がなかった。
「お。起きたか?」
声がした方向を見ると、甲冑をした兵士がいた。
「おい!ここはどこだ!」
「まぁ落ち着け。とりあえず、ここはいわゆる牢屋ってやつだ」
こんなとこ早く脱出してやろうと思い魔法を使おうとするが、何故か魔法が発動しない。
「あぁ、言い忘れてたがその部屋は特別でなぁ。なんでも、魔法が使えなくなる特別な部屋だそうだぞ。脱走は諦めろよ」
「く、そぉ…」
「う〜ん、ん?」
目を覚まし、辺りを見回す。ここは…校長室だろうか?
「あ、起きた〜?」
「こ、校長先生」
「も〜。大変だったんだからね〜?」
「えっと、何がですか?」
何があったかを校長先生に尋ねたところ、丁寧に説明してくれた。
簡単にまとめると、俺がダイルにとどめを刺そうとしたところを校長先生が止めてくれたそうだ。
そして、ダイルは特別な牢屋に入れられ、俺は2週間ほどの停学らしい。ダイルに関しては、全校生徒の前で堂々と俺の殺害予告をして実行しようとしたかららしい。
俺は相手の罠にハマり、抵抗して返り討ちにしただけだが、なんの罪にもならないとさすがに不味いかもしれないため仕方なく俺を停学にしたとのこと。
今回の騒ぎで新聞記者が沢山来て、大会どころではなくなったため今年の大会は中止なったとのこと。
「エキューラさんが寝てる時にあったのはそれぐらいかな〜?」
「そうですか…良かった」
「も〜、何が良かったの〜?危うく死者が出るところだったんだよ〜?いい加減にしないと、怒るよ〜!」
「だって、校長先生を信じてましたから。心優しい、生徒思いの校長先生ならきっと止めてくれるだろうって」
「ごめんね〜、私の恋愛対象は男だから口説いたって意味ないよ〜?」
「そんなの知ってますよ!」
「あ、そうだ」
はい、と何かを渡される。なんだろう?これは。ペンダントのようだけども。
「これは〜、大会の景品だよ〜」
「え?でも、私優勝してないですよ?」
「だって〜、大会が中止になったからこれだけ余っちゃったし、君に勝てる生徒なんていないでしょ〜?」
「それはまだ分からないでしょうに…」
「まぁとにかくそれ、受け取って〜!」
「はい、分かりました」
ついでに鑑定もしてみる。
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守護のペンダント
防御力+100
あらゆる状態異常を無効化する
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強ぇぇぇー!!
「これどこで手に入れたんですか!?っていうかこんなものを生徒同士の大会の景品にするんじゃないよ!!」
これ下手したら国宝級だぞ!
「なんか〜、賢者になった特典みたいなので国から貰ったんだ〜。『国宝だから大事にせい!』って〜」
マジで国宝だったよ!
まぁ、そりゃあ国としてもこれを身につけてもらいたかったんだろうな〜。賢者という最高戦力が死んじゃったらどうしようもないもんな。
「ほら!早速身につけてみてよ〜!」
「あ、はい」
ペンダントを身につけ、部屋にあった鏡を覗く。
「うんうん、似合ってるじゃ〜ん!」
バシンと背中を叩かれた…のか?
「あの、今なにかしました?」
「ん?あ、そっか。防御力がすごく上がってるから痛みを感じないのかな〜?」
「あぁ、なるほど。ちなみにこれって売るといくらになるかわかります?」
「ひ、酷いよエキューラさん!私の贈り物を売り払うの?」
「ち、違いますよ!ただ気になっただけですって!」
「あ、なんだ。う〜んとね、多分大金貨100枚くらいだと思うよ〜?」
「ひゃ、100枚ですか…」
という事は、1億円かな?
「ん?どうしたの〜?反応薄いけど」
「いえ、これよりすごいアイテムを知ってるので」
「え〜?なになに〜?教えて〜!」
「絶対に言いません!」
俺の黒歴史だから!
はぁ、あれより値段の高いアイテムってあんのかな〜…
みでぐれでありがどうございばずぅ( ᵒ̴̶̷̥́ ^ ᵒ̴̶̷̣̥̀ )
今回のあらすじ
(超簡単に説明するよ!耳かっぽじっても意味ないから目ん玉よく洗ってよく見やがれ!)
新しいスキルを意図的に覚えたエキューラが大逆転!そして、国宝のペンダントを貰って戸惑うエキューラだけど、値段が約1億円と知ると何故かテンションが下がってしまう。一体何故?
って感じです!




