23話 悪魔
誤字・脱字の報告ありがとうございました!報告が結構あって自分はまだまだだなって感じました…
これからも読んでくれると嬉しいです!
この世界には、悪魔という存在がいる。
悪魔は人間の願いを叶え、その人間から代償を貰う。
その代償は願いの規模によって変わる。
例えば、100万円欲しい。という願いと、1億円欲しい。という願いでは代償が大きく変わる。
過去、突然大金持ちになり、貴族になった者がいた。だがその者は耳が聞こえず、両足がなかったのだとか。
では、あの人を殺して欲しい。あの人が欲しい。そういった願いの代償とは何なのだろうか。
奴隷という者もいるが、人は本当の意味ではお金では買えない。
奴隷だって、自分を買った人を心の底から受け入れる事はないだろう。
大金と爵位を貰った者でさえ聴覚と両足が無くなったのだ。
いったい、命に関するものの願いの代償は何なのだろう。
それは、エレメンタル・トーナメントの前日の事だった。
大会のために家の庭で魔法の練習をしていたら、どこからか声が聞こえた。
『ほう?なかなかいい者がいるではないか』
「っ!?誰だ!」
辺りを見回してみるが誰もいない。
『そう身構えなくても良い。なにも私はお前を殺しに来た訳でもないのだ』
「じゃあ、何をしに来たんだ!」
『そうだな…話をしに来た。とでも言っておこうか』
「話だと?それなら姿を見せろ!話はそれからだ!」
『ふむ、まぁいいだろう』
そう声が聞こえた瞬間、俺の目の前に暴風が発生した。
それが収まったと思ったら、黒い服を着た知らない男が立っていた。
「さて、初めまして。悪魔のノヴァだ」
「あ、悪魔だと?」
「私は名乗ったのだ。早くお前も名乗らんか」
「お、俺の名前は・・・ダイル…だ。」
「ふむ、ダイルか。お前は悪魔を知っているか?」
「あ、あぁ。人の願いを叶える代わりに代償を貰う存在…」
「その通りだ。何やら強い欲望を感じたからなここに来たのだが、何か心当たりがあるか?」
悪魔はニヤニヤしながら聞いてくる。
「お前なのだろう?ダイル。その欲望を言ってくれたら、叶えてやるぞ?」
それはまさしく悪魔の囁き。願いを言うだけで叶えてくれる誘惑。
だが、叶えてもらう代償が怖い。が、その誘惑には勝てなかった。
「俺は、俺は!カリナが欲しい!」
「カリナ…とはなんだ?」
「女だ!俺はカリナを手に入れるためなら万だってする!」
「ふむ、自分で努力しようとは思わなかったのか?」
「そんなの必要ない!あいつは俺より下だ!だから俺に従う義務がある!なのにあいつは…くそ、イライラするなー!」
近くにあった木を思いきり蹴る。
「そのカリナとやらを手に入れるためだったら悪魔と取引をする…か」
「あぁそうだ!」
「そうか…く、くっく。はぁっはっは!」
突然笑い始めたノヴァ。それは、心の底からこの状況を楽しんでいるようだった。
「いやぁすまない。そうだな、そうだった!お前ら人間はどこまでも汚く、どこまでも卑しく、皆等しく醜い生き物だ!」
その後、しばらく笑い続けていたノヴァ。ようやく笑いが収まったところで話を続ける。
「あぁすまない、取り乱してしまった。ついでに聞くが、願いはそれだけか?」
「・・・エキューラって女を酷い目にあわせたい…」
「それは何故だ?」
「あいつは、こんな優秀な俺をクラス全員の前で俺を負かしたからだ!そのせいで俺の評価はだだ下がりになり、あいつの評価は上がる一方だ!」
元々ダイルの評価はかなり低かったが、本人は気づいてはいなかった。
「なるほど。では、ダイル。お前の願いを叶えてやろう」
その言葉を聞き、ダイルは顔を輝かせる。
「ただし、条件がある」
「その条件ってなんだ?」
「お前に私の力を少しだけやろう。その力でエキューラとやらを倒せ。それが出来たらお前の願いを叶えてやろう」
「分かった。その代わり、約束は守れよ」
「分かっているさ」
ノヴァはダイルの額に手をかざし、力を分け与える。
「終わったぞ」
「あぁ。すげぇ、すげぇぞ!いなまら何でも出来そうだ!」
試しに空に向けてファイアーボールを放ってみる。
すると、今まで見た事のないような大きさのファイアーボールが使えた。
それを見たダイルは、無意識のうちに笑みを浮かべていた。
「くっくっく。そうだ、その笑みを見たかった」
ノヴァが見たダイルは、どこまでも卑しく、どこまでも醜いような笑みを浮かべていた。
『エレメンタル・トーナメント火属性の部のAブロック、第2試合を始めます!両者、前へ!』
へぇ、サラさんの相手はダイルなのか。あいつは全然強くないし、サラさんの勝ちかな?
そういえばダイルのこと鑑定してなかったな。暇だし鑑定しておくか。
その鑑定結果に俺は驚きを隠せなかった。
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鑑定不可
対象はあなたよりLvが高いため鑑定ができません
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「え・・・」
俺よりLvが高い?そんなバカな。あいつはあんなにも弱かったのに。
この3週間程でここまで変わるものか?いや、実際俺はこっちに来てすぐに今のLvになったから、可能性としてはなくはないか…
いや、まて。ダイルのようなやつが力を持ったら何をする?
ダイルはダイルを無視したカリナに躊躇せずに魔法を放ってきた。そんなやつだぞ?
(・・・これは、かなりマズイかもな)
カリナさんはそうだし、今試合するサラさんも酷い目にあうかもしれない。
「くっ!」
観客席から急いで選手入場口まで走る。
嫌な予感がする。早く、早く行かなきゃ!
『試合、開始!』
「『フレイムウィップ』!」
開始の合図と共にフレイムウィップを発動した。相手はまだ魔法を発動していない。
炎のムチが相手に向かう。私は勝ったと確信した。が、確信が絶望に変わった。
「そんなものか?」
そう相手が言ったと思ったら、彼の背後に7つの炎のムチが現れた。
そして、その1つが私のムチを弾き、残りの6つが私へと襲いかかってくる。
「くっ、『ファイアーボール』!『ファイアーボール』!」
1つのムチはなんとか避け、2つを弾く。
その隙に体制を立て直そうとするが、残りの3つが体に直撃する。
「がはっ!」
その衝撃で吹き飛ばされるが、なんとかフィールド上にいた。
「なんだ?もうおしまいか?」
倒れていた私はムチを叩きつけられ、痛みで気を失いそうになる。
「おら、立てよ!死んじまうぞ?ははははは!!」
再度彼はムチを叩きつけようとする。
(助け…て……まこ、と)
そこで私は気を失った。
「やめろぉ!」
振り下ろされている炎のムチを紅蓮の剣で弾く。すると、予想通り炎のムチはその姿を消した。
「どういうつもりだ、ダイル!彼女はもう気を失っているのに、何故攻撃を続ける!」
俺は怒りで男口調になっていたが、そんなことは今はどうでもいい。
その問いに彼は答えず、6つのムチを振るう。
その攻撃はもう見慣れてんだよ!
超加速を使い、ムチが間合いに入った瞬間に高速で切る。全てのムチをかき消し、ダイルへと高速で向かう。
その顔面めがけ、ありったけの力で殴ろうとするが、あと1歩のところで躱された。
「久しぶりだな〜?エキューラ」
「あぁ、そうだな。ダイル。お前何をした?何故こんなにもお前は力をつけているんだ?」
「ふん、そんなのどうでもいいだろ!」
どうでもいい、か。確かにどうでもいいな。
「じゃあ、改めて聞こう。何故お前は動けない彼女に更に攻撃を仕掛けたんだ?」
「エキューラ、お前が来ると思ったからだよ!」
俺が、来ると思ったから?
「お前はあの女と仲がいいからな〜。痛めつけてたら来るだろうと予想したんだ。結果、お前は来た!」
「俺が来ると何かあんのか?」
「あぁ、そうだ。お前を殺すことが出来んだよ!!」
ダイルはまたフレイムウィップを使う。
は、はは。嘘だろ?さっきまでは遊びだった。ってか?
ダイルの背後で、およそ30の炎のムチが空中を漂っていた。
「さぁ、始めようぜ?エキューラ!!」
みでぐれでありがどうございばずぅ( ᵒ̴̶̷̥́ ^ ᵒ̴̶̷̣̥̀ )
久しぶりの(初めて?)マジ展開!次回、乞うご期待!
エステアの心境
↓
自分の首を自分で絞めてしまったー!!ハードルたっけーー!!




