22話 仲間だと思ってたヤツの裏切り
誤字・脱字があったら教えてください!
みんなさ、学校に通ってた時こう考えたことない?スピーチとかリレーとかの順番で、最初と最後以外ならどこでもいいって。
『それでは、エレメンタル・トーナメント火属性の部。第1試合1回戦目を始めます!両者、前へ!』
そして、フィールドにいる2名の生徒が前に進み、握手を交わし、元いた位置に戻る。
「うわぁ、これはちょっと同情するわ……」
その2名の生徒のうち、片方は我らがサラさんだった。ちなみに前に進んでる時と戻る時、その両方がガチガチに緊張していたからかめっちゃラグいときのスマホゲームぐらいガクついてる。
そりゃそうだよな。今年度1回目の大会の1回戦目の第1試合なんだからな。俺だったら仮病使って休むね!
というか、そんなに緊張して大丈夫か?詠唱噛まずに言える?
そんな心配をしていたら、サラさんは何やら不思議な踊りを始めた。
いや、まて。あれはどこかで見た事が……そうだ!
あれはラジオ体操第一だ!
この場でラジオ体操をするとは、サラさん実は余裕ある?
まぁラジオ体操はしばらく続きそうだし、あの2人を鑑定でもしましょうかね。
さて、まずはサラさんから見てみようかな?
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Lv2大賢者
HP24/24
MP51/51
攻撃力:16 防御力:22
素早さ:17 魔力:65
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さすが大賢者。見事に魔法特化なステータスっすね。
というか、Lvが1上がってるじゃん。何かあったのか?
さて、気になる対戦相手はどうかな?っと
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Lv4魔法使い
HP35/35
MP39/39
攻撃力:26 防御力:37
素早さ:21 魔力:42
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う〜ん、やっぱり一般人と勇者は違うんだなって感じるな。
もう魔法でごり押せば勝てるんじゃないだろうか?
『それでは!試合、開始!』
そこまで考えたところで試合が開始された。
先に行動を起こしたのはサラさんではなく、その対戦相手の男子生徒だった。
「内なる炎をもって敵を焼け!『ファイアーボール』!」
その生徒が放ったファイアーボールが、サラさんに迫る。もう避けることが出来ないほどに。
そしてようやくサラさんは口を開いた。
「『フレイムウィップ』」
瞬間、突如現れた炎のムチがまるで実体があるように空中をうねり、ファイアーボール目掛けて振り下ろされた。
そのムチはファイアーボールを両断し、割れた2つのファイアーボールはサラさんにはギリギリ当たらずに背後に張ってある結界に防がれ、消滅した。
それだけでもすごいことだが、サラさんの攻撃はまだ始まっていなかった。その炎のムチは思い切り横に薙ぎ払われる。
その攻撃を避けきれなかった相手はもろに当たり、場外まで吹き飛ばされる。
そこでようやくムチが消え、決着がついた。
『勝者!サラ・マキノ!!』
そのアナウンスが終わると同時に、ワァー!と、会場に歓声が上がった。
俺はサラさんの試合が終わってすぐ、彼女を迎えに行く。
「おつかれさま。凄かったね」
「あぁ、キューラか。うん、ありがと」
ここは選手控え室と呼ばれていて、出場する選手は個別の部屋で次の試合まで待機するという仕組みだ。あれだ、芸能人の楽屋みたいなものだ。
「それにしても、驚いた。まさかフレイムウィップが使えるなんてね」
フレイムウィップとは中級火魔法で、『if You're alive』で初心者狩りによく使われていた魔法だ。
あの炎のムチは避けるのは困難であり、初心者が避けれるものでは無い。
だが、弱点はある。
それは、ムチの耐久性が非常に低い。まぁ要するにすぐ壊れる。
1回剣で弾かれたらすぐになくなってしまうので、上位プレイヤーはまったく通用しない。
それを知らないで返り討ちにあったプレイヤーを何人も見ている。
だが、その弱点は弾かれたら無くなってしまうだけであって、上手い人が使えばはめ殺しが可能な強力な魔法である。そのはめ殺しをくらい死亡した上位プレイヤーも何人も見ている。
ん?俺?魔法を使わせずに超加速で接近して一閃したけど何か?
そういえば、ヒョウカも倒したとか言ってたな。
風魔法『ストーム』での爆発的推進力で一刀両断したとか言ってたな。
「そういえば、いつフレイムウィップを覚えたの?」
「別に、今は二人だけなんだから普通に接してくれてもいいのに」
「ん?あ、そうか。いや〜、癖になってきたんだよな〜。この喋り方」
「・・・今更だけど、なんで女体化してんの?神様にそう願ったの?」
「んなわけないだろ!」
「じゃあどうして?」
「『if You're alive』ってVRMMORPG知ってるか?」
「えぇ。やりたかったけど、親がやらせてくれなかったのよねぇ…」
「ご愁傷さま。それで、俺さ。ちょっとしたギルド{※ゲーム内最強ギルドです}のギルマスやってたんだけどさ」
「ふぅん。それで?」
「それで、異世界に行ったらその間ゲーム出来ないだろ?」
「まぁ、それもそうね」
「ゲーム出来ないじゃん!って思ってる時に体が光ってさ。気付けばこうなってたって訳」
「気付けば黒髪ロングの美少女になってたって訳ね」
なんか言い方にトゲがあるな…
「えっと、なんか俺変なこと言った?」
「はぁ。あのさ〜、私、さっきやりたかったけど親がやらせてくれなかったって言ったじゃん?」
「うん。言ったね」
「それで、YouTubeとかホームページとかでそこそこ詳しいのよ」
「へぇ、そうなんだ」
「その顔、見覚えあるなってこの世界で会った時に思ったのよ」
「へぇ、そうなんだ?」
「そして、エキューラって名前を聞いた時に思い出したのよ。『if You're alive』最強のプレイヤーである『無情の姫』のエキューラ様だって」
やめて!無情の姫とか言わないで!封じたかった黒歴史が蘇ってくるから!
「って、様?」
「そう、エキューラ"様"よ!」
「うぇぇ!?」
様!?俺知らないとこで様って敬称付けられてたの!?
「なによ、あなたあのゲームやってるくせに『エキューラ様ファンクラブ』を知らないの?」
(んなもん知ってるわけねぇだろ!!)
初耳なんだけど!
「ち、ちなみにそのファンクラブってなんの活動やっているか教えて下されますか?」
「なんか誠が壊れたんだけど…まあいいわ。そのファンクラブはゲームをやってるやってない関わらず入会できて、活動は会長がゲーム内で撮ったエキューラ様のスクショ画像を眺めるって事よ」
「そそそそのファンクラブの会長ってのは誰なんですかい!?」
「確か・・・」
(そんなことが出来るのは俺のギルド員だけのはずだ!まさかトニー?いや、ヴォルフ?はたまたジン?)
俺は、思ってもなかった人物の名前を聞いた。
「・・・確か、ヒョウカ様だったはずよ」
「あんのやろー!地球戻ったら覚悟しとけよ!!」
「ど、どうしたの!?とにかく落ち着いて!」
「あ、あぁ。ごめん、ちょっと取り乱した」
「そ、そう?」
ヒョウカの処遇は後々決めて置くとしよう。
「あ、このファンクラブの事はエキューラ様には秘密にしてよね?バレちゃったら、会長殺されちゃうかもしれないから」
流石にそこまでしねぇよ!
「まぁ、エキューラ様に憧れるのは分かるけど、自分で強くならなきゃダメってこと。ちゃんと努力しなさいよ?」
「はい、ごめんなさい」
「ならよろしい」
ん?なんで俺謝ってるの?俺エキューラ本人だよね?エキューラ様だよね?
「さて、第1試合は終わったかしら?」
選手控え室に設置してあるモニターを見る。
どうやら、第1試合は丁度終わったらしい。
そう確認した時、扉がノックされる。
「サラ・マキノさ〜ん。そろそろ出番です!」
どうやらスタッフの方が呼びに来てくれたらしい。
「それじゃ、行ってくるね」
「おう、頑張れよ〜」
廊下に出てサラさんを見送る。
見送ったあと、第2試合では出番があることを思い出し、自分の控え室へと向かう。
(サラさん、頑張って欲しいな)
〜第1試合2回戦目〜
サラとエキューラが話している頃の試合。
『エレメンタル・トーナメント火属性の部。第1試合2回戦目を始めます!両者、前へ!』
その2名の生徒は前へ出て、握手を交わす。
『試合、開始!』
そう合図があった瞬間、炎の球が放たれた。
その魔法に、会場はざわつく。
無詠唱だからでは無い。その魔法の規模にである。
その炎の球は、対戦相手を飲み込み、フィールド外の結界へと叩きつける。
その光景に対し、観客は誰一人として口を開けれなかった。それが凄すぎたからだ。
『し、勝者。ダイル選手!』
「ふっふっふ。待ってろよォ?カリナァ!」
みでぐれでありがどうございばずぅ( ᵒ̴̶̷̥́ ^ ᵒ̴̶̷̣̥̀ )
もしかしたら、あなたの身の回りにあなたのファンクラブができているかも知れませんね。




