15話 後日、知らぬ間にファンクラブができていました
誤字・脱字があったら教えてください!
「はぁ、疲れた……」
地獄のような質問ラッシュがようやく終わり、やっと解放された。ちなみに今は授業中。
「現在、魔法を出すやり方は3種類あるとされ、1つは魔法陣を描く魔法陣型、2つ目は詠唱を必要としない無詠唱型、最後に詠唱をするもっとも使われている詠唱型。それぞれのメリットとデメリットがわかる人はいますか?」
ちなみに俺は全く分からん。だが、1人だけ手を上げている人がいた。
「はい、カリナさん」
長く白い髪をしたカリナと呼ばれた女子生徒。さっき転入してきた俺でも分かるくらい男子生徒に人気だ。なんでかって言うと、周りの男子共が常にと言っていいほどに彼女をチラチラ見ているからだ。どうでもいいが、奴らはたまに俺の事も見てくる。どうでもいいが。
「まず、魔法陣型のメリットは他のふたつとは違い、
複数人で発動することが出来るため、その分注ぐことの出来る魔力量が増え、とても高い威力を出すことができます。ですが、発動する際とても時間がかかるため、戦闘で使われることはありません」
ふむふむ、なるほどなるほど。
「次に無詠唱型とは、その名の通り詠唱を必要としないため、すぐに魔法を発動することができます。デメリットは、魔法はその魔法で何が起こるかを強くイメージすることが必要なので、うまくイメージが出来ずに、威力が弱かったり、そもそも出来ない人もいます。ですが、ちゃんと使えるならばこの上ない武器となるでしょう」
あ〜、無詠唱はいつかできるようになりたいな〜。なんかカッコイイし。
「最後に詠唱型ですが、メリットは詠唱をすることによって魔法を強くイメージすることができ、安定して魔法を発動することができます。デメリットは詠唱が必要なため、魔法を撃つまで少し時間がかかることです」
「はい、その通りです。さすがカリナさんですね」
「また、詠唱型の派生として、詠唱を短縮させる事が可能だと言われていて、それが出来る人は無詠唱型まであと少しと言われています。また、その他にもーー」
「カリナさん、もう大丈夫ですよ」
先生が苦笑いしながら説明を止める。
「あ、すみません。魔法のこととなるとどうしても……」
「あはは、カリナさんの魔法好きはいい事ですよ」
少し恥ずかしそうにしながら座る彼女。座ってるだけでも絵になるな〜。うん、男子共の気持ち、分からんでもない。
授業が進み、やがて終了のチャイムが鳴る。
「それでは、次の授業は魔法を実際に撃ってみようと思うので、第1訓練所に来て下さい」
休み時間になり、周りが複数人で話し始める。
え?俺?ボッチだけどなにか?(泣)
はぁ、ここにいても暇だし第1訓練所に向かうか。あれ?俺が半分崩壊させちゃったとこって第何訓練所だっけ?
まぁ、第1じゃないことを願うか。
そう思い、席を立って向かおうとするところで気づく。
第1訓練所ってどこ?
どうしよ、誰かに聞くか?男子に聞くのはな〜、ちょっと抵抗が…となれば女子か?でも話せる人いないし…
頭を悩ませていると、前から1人の女子が歩いてきた。
「えっと、エキューラさん。第1訓練所がどこにあるか分かる?」
「え?」
「ごめんなさい、自己紹介が遅れたわ。私の名前はカリナ。これからよろしくね」
そう、先程魔法について熱弁していたカリナさんだった。
「あ、私の名前はエキューラです。こちらこそよろしくお願いします」
「それで、第1訓練所の場所が分からないなら案内しようと思うんだけど、場所は分かる?」
「いえ、分からないです…それで誰かに聞こうかなって思ってたとこなんです」
「じゃあちょうど良かったってことね。それじゃ、着いてきて」
スタスタと歩いていくカリナさん。優しい人なんだな。綺麗だし優しいし、そりゃモテるわ。
それは、カリナさんに案内してもらってる最中の出来事だった。
「はぁ、またか」
カリナさんが大きくため息をつく。
カリナさんの目線の先には、俺たちの行く手を阻むように立っていた男子がいた。
「えっと、あの人は?」
「1年B組のダイルよ。一目惚れだ〜とか、付き合ってくれ〜ってうるさいの。いい迷惑ね」
無視して通り過ぎようとすると、やはり声をかけられる。
「おい、無視をするな!」
「はぁ、しつこい。その行動一つ一つが相手に嫌われてるって言う自覚は無いの?」
「ほぅ?C組のお前がB組の俺に逆らうのか?」
「そんなのどうでもいいでしょ?組決めなんて所詮は魔力量。大事なのは応用力なのにね。それに気づかないで威張り散らして恥ずかしくないの?」
「だまれ!おれの方がお前より優秀なんだよ!だからお前は俺に従わなければならないんだよ!」
「はいはい。じゃあ、私急いでるから。行きましょ」
あのうるさい人など気にせずにスタスタと歩いて行こうとすると、後ろから声がする。
「内なる炎をもって敵を焼け『ファイアーボール』!!」
無視した事に腹を立てたのか、俺たちに向けて魔法を撃ってきた。
「ハッハッハ!この距離ではもう詠唱は間に合わないぞ!僕に逆らったからだ!」
はぁ、どうやらコイツはバカらしいな。バカが力を持ったらろくな事しないな。
「え、きゃあ!」
隣で悲鳴をあげるカリナさん。そのカリナさんの前に出て、手を前に出す。
「『アイスバレット』」
瞬時に生み出された氷の塊がファイアーボールを打ち消し、ダイルへと向かう。
「な、なんで俺の魔法が負けてるんだよ!」
「早く避けたら?詠唱はもう間に合わないよ?」
動揺していたダイルにアイスバレットがガツンと額に当たり、呆気なく倒れる。
「え、え?」
「それじゃ、早く行こ」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
ん?なに?何か変なことしたっけ?
「今あなたがしたことって、詠唱省略なの!?」
「え?なにそれ?」
「今あなた魔法名を言っただけで魔法を発動したでしょ!?」
「う、うん。そうだけど?」
「それができる人は余りいないのよ!?凄いわ!」
あぁ、そうだった…この人魔法が大好きなんだった。
「エキューラさんってどれくらい魔法が使えるの?」
「キューラでいいよ。」
「そう、じゃあ私もカリナでいいわ。それで、どうなの?」
「今は中級までしか使えないな〜」
「ち、中級!?中級が使えるのはA組くらいじゃないの!?」
「え、そうなの?」
「中級魔法が使えるだけで国に仕える事ができるのよ?」
「えっと、ちなみに中級魔法ってどうやって覚えれるの?」
「専用の魔導書を三日三晩読み続けて、才能があれば習得できるわ」
まじで?じゃあスキルの書の店の時にすぐ習得できたのはなんだったの?
うーん、可能性があるとしたら、元々覚えていたから、何かきっかけさえあれば再び習得できるようになるとか?
うん、それなら納得だ。
「あ、見えてきたわ。あそこが第1訓練所よ。」
どうやら見えてきたらしいけど、ん?あそこってまさか。
カリナが扉を開けて中に入る。
「え!?なにこれ!?」
そこは、ちょっと前に俺が半壊させた場所だった。
「あ、カリナさん、エキューラさん。早いんですね……ってなんですかこれ!?」
先生も入ってきて、驚きの声をあげる。
「あ、もうここ使うの〜?ごめんね?明日からちゃんと使えるようになるからね〜」
「あ、校長先生!ここで何があったんですか!?」
「えっとね〜?そこのエキューラさんの魔法の威力を見るためにここを使用したんだけど〜、思ったより強くって〜、結界ごと壊れちゃった〜!」
「け、結界ごとって…どれだけ強い魔法を使ったのよ……」
レディラ先生がジト目をしてくる。
「えっと、アイスバレットですけど何か?」
「アイスバレットでこんな威力って、おかしいでしょ!?」
「えっと、その〜、全力でやれって言われたからその通りにしただけなのですけど…」
「あぁ、そうだった、この子の魔力って270越えだった…」
「でも〜、私の方が多いんだよー!」
えっへんと胸を張る校長先生。
その後、クラスの人全員がやってきて、みんなしてなにこれ!?と叫んだのは言うまでもないだろう。
「え〜、では、急遽予定を変更して、第2訓練所で、B組と合同で魔法を使用した授業を行います」
現在、我らがC組は第2訓練所にいるのだが、先生の言う通り、ここにはB組もいた。
「まず、好きな魔法を使ってあの人形に当ててもらいます。では、お手本を誰かやってくれませんか?」
この場にいる全員が手をあげない。まぁ、やりたくないもんね。
「う〜ん、困りましたね。では、カリナさん。お願いできますか?」
「わ、私?はい、分かりました」
カリナさんが前に出て、詠唱を始める。
「大地よ、敵を吹き飛ばす岩となれ『ロックバレット』」
カリナの放った魔法は、吸い込まれるように人形に向かい、直撃する。
「はい、よく出来ました。それでは、皆さんもやってみてくださいね」
みんなが好きな魔法をバンバン撃ってるが、俺はまだ1回も魔法を使ってない。だって壊れて怒られるのが嫌なんだもの。
しばらくして、また先生が話し始める。
「それでは皆さん。いい機会だから、B組の人と模擬戦をしてみましょう」
え〜、めんどくさい。
「各組で、魔力が最も多い人。ダイナさん、エキューラさん。まず、二人でやってみてください」
よりによってダイナなんかと?はぁ、まぁいっか。
「先生〜」
「エキューラさん、なんですか?」
「模擬戦って、何をしてもいいんですか?」
「そうですね・・・実戦を想定してるので、過度に相手を痛めつけるような行為以外は基本OKです」
「分かりました。ありがとうございます」
「エキューラってのは、あの時のか」
「どーも、ダイナさん。名前はすぐに忘れて欲しいのですけど、忘れてもらっていいですか?」
「ふん!まぐれで勝って調子に乗ってるようだな!あの時は不意をつかれたが、今回はそうはいかないぞ!」
「はぁ、あなたは自分の力に慢心してるようですね。あと、先に不意をついてきたのはあなたでしょう」
「だまれ!俺に逆らったからだ!」
あ〜だめだ。イライラする。
「それでは。模擬戦、始め!」
「内なる炎をもって敵を焼け『ファイアーボール』!」
「『アイスウォール』」
目の前に現れた氷の壁が、ダイナのファイアーボールを防ぐ。
「ち、めんどくさいなぁ!内なる炎をもっ――」
「遅いね、君」
「な、お前いつの間に!?」
そんな難しいことはしてないんだけどな〜。ただ、ジャンプしてアイスウォールを飛び越え、エアロウォークで背後をとったってだけ。
ほら、俺は難しいことしてないじゃん。
「『フリーズ』」
ダイナの首に触れ、体温を奪う。
「早く降参したら?」
「だ、誰がお、前なんかに!」
寒いせいか、うまく喋れていないダイナ。
「そう。『範囲凍結』」
うまく調整し、ダイナの足だけを凍らせ、少し距離をとる。
「う〜んと、なんて詠唱だったっけ?あ、思い出した」
「な、なにをするつも、り、だ!」
「大地よ、敵を吹き飛ばす岩となれ『ロックバレット』」
放たれた岩は、一直線にダイナへと向かい、
「や、やめろー!」
当たる直前に軌道をずらし、ダイナの頬を掠めた。
よっぽど怖かったのか、ダイナは気を失っている。
「先生、終わりましたよ」
「え?あ。し、勝者、エキューラ」
わぁぁ!!と歓声があがる。
自分のクラスに戻ると、色々と話しかけられる。
「エキューラさん凄いね!」
「B組の代表に勝つなんて、私じゃ無理!」
また、C組だけではなく、B組の人も来ていた。
「あのダイナに勝つなんてすごいな!」
「あいつ、普段は威張ってるから、見ててスッキリしたぜ!」
俺は今、みんなから褒められて照れくさい半分、蘇りしトラウマ半分ですごく複雑な気持ちになっています。
〜〜 放課後 1年A組 〜〜
「ねぇ、委員長。聞いた?」
「何をだ?」
「なんか、今日C組に転入してきた子がB組のダイナを圧倒したんだって〜」
「ほぉ、それは凄いな。あいつはみんなから嫌われているが、魔力量ならばA組に匹敵する程だ。なのに負けるとはな。誰に負けたんだ?」
「名前は分からないけど聞いた話では、私たちと同じ黒髪の女子生徒だったんだって」
「っ!それは本当か!?」
「うん、もしかしたらあいつかも」
「よし、明日見に行くか」
「うん。分かった」
「今日はもう遅い、寮に戻ろう。行くぞ、りん」
「了解、委員長」
みでぐれでありかどうございばずぅ( ᵒ̴̶̷̥́ ^ ᵒ̴̶̷̣̥̀ )
魔法の詠唱がカッコ悪く感じるのは許してくださいm(_ _)m 思いつかなかったんです




