#8 友
さとし、沈む。
ペアが続行不能だから、不戦敗だ。ちきしょう。
さっきの「あぷっ」と転んだ彼のラケットを持ってみたら、すごく軽かった。「XFL」と持ち手「グリップ」の近くに書いてあったっけ。あれは、重さを表すようだ。
さて、これからどうしようか…
僕が後衛なら、ペアは前衛。W後衛という手もある。
だが、潰されたらそれで終わりだ。格闘で潰れるな、と祈るしかない。
僕が前衛なら、ペアは後衛。
だが、ラリーの続かない後衛なら、点を失うばかりだ。
W前衛なら…!
守りつつ、戦える。
レシーブ以外なら、ノーバウンドでボールを返してもいい。
ただ、高いボールを返すとき、どうしても下がる。前衛を守れない。
そこは連携でなんとかするか?
「よっ」
先の試合で、僕がブローで沈めた前衛が声をかけてきた。
『さっきはごめん ゆうと。腹大丈夫か?』
「平気。ジャンプしまくったら治ったぜ」
『そ、そっか』
「それよりすげーよ、あのパンチ!」
『ブローのこと?』
「そ。今まで見たことも受けたこともなかった」
『ボクシングで習ったんだ』
「おれもやろうかな」
ここでハッとした。ペアも一緒に特訓すればいいじゃんか。
そのためには、ペアを固定しなければ
『なあ』
「?」
『僕ら、しばらくペア組まない?レギュラーとかなら、変わらず組めるでしょ。それに、いろいろボクシングの事おしえたげる』
「いいぞ。今日のお前の試合の様子なら、誰も文句言わないと思うぜ」
『よし決まりね!』
だが、大事な事にまだ気が付かなかった。