#7 仕方のないこと
僕は「後衛」、自陣の後ろ側で、ラリーを続けるポジションだ。
その僕が、相手のサーブを返そうとしている。
が、相手前衛が僕にそれをさせまいと、襲い掛かってくる。
よけてしまっては、ボールから離れて、レシーブできない。
正々堂々とやりたいと、思っていたが…
「いてぇ!」
振りかざされるラケットをよけ、ラケットを握っていない左で腹パン、ボクシングジム仕込みのブローだ。
さて、邪魔な前衛は沈んだ。前衛のいたサイドはがら空き!
サーブはもう既に打たれている!僕がまっすぐ「ストレート」のコースに返せば決まる!!
こうして僕たちは、4ゲーム先取し、勝った。
さっきの前衛以外は無傷だ。ごめんな、前衛。
平和的勝利!
さて、2戦目だ。
ああ、さとし がラケットでの小競り合いに負けて、腕を腫らしてしまった。
仕方ない、僕が前衛、さとし に後衛を任せよう。
だが。
ラリーが始まるや否や、さとし に相手2人とも駆け寄るではないか!
そうか、僕はさっき派手にやったから避けられているんだな。
このままでは、さとし は山なりの「ロブ」を返せない!
「ひいいいっ!」
なんとか、1人は抑えよう!
は、速い!ラケットさばきがはやい!正しいさばきかたではないのだろうけど!!!
僕はのけぞってしりもちをついた!
『ええい、くそ!』
僕を越えて走り抜けようとした彼の、足首を掴んだ!
「あぷっ」
簡単に転んだ。
さて、さとし!1人なら、なんとかして、ボールをつないでくれ!!!