#1 敵討ち
ファーストフードにて。
「次のテスト、たぶんここが出るから、ここさえやっとけば大丈夫だね」
めい は話す。
ぼくたち2人は、それなりに頭が良いから、適当にやっておけば変な点をとる事はない。
窓の外に目をやると、ぼくらと同じくらいの年の男子が、腕を引きずって歩いていた。
あれ、あいつ、ゆうき じゃないか?
『どうしたの ゆうき?服ぼろぼろだし、けがもしているじゃないか』
ゆうき「ちょっと部活でね。」
『おまえたしか、ソフトテニス部だろう?そんなにぼろぼろになるような部活じゃあ、もしかしていじめか?』
ゆうき「いじめじゃないけど、」
ゆうき「ソフトテニスってさ、人に見せたくないスポーツって言われるんだ。ぼくは、ただ負けただけだよ」
『なんだよそれ、って、おい!』
ゆうきは、突然倒れた。
ぼくはあわてて、スマホから119。
ぼくと めい は、家に帰った。
寝る前に、めい と、さっきの彼について話していた。
『テニスって、紳士のスポーツだよな?』
めい「そうだよね。けど、うちの学校は、ソフト テニスだから、普通のテニスとは、何か違うのかもね。」
『あいつ、ちょっとかわいそうだよな。体も、明らかに何かで殴られたような あと があったし。』
めい「絶対だれかにいじめられたんだよ」
『昔から、仲いいやつだから、なんだかくやしいよ。ぼくも、入部してあいつをフォローしてやりたい』
めい「そのためには、準備万端にしておかなきゃね」
『そうだな、強い状態じゃなきゃ、ぼくも、ああなるかもしれないし』
それからぼくらは、書店でソフトテニスの本や、動画サイトでソフトテニスの知識について理解を深め、技術も最低限身に着けた。ぼくは運動神経には昔から、ただならぬ自信がある。
そして今日、入部して初日の練習。
顧問の先生「彼が、今日から入部する ひがき そら くんだ」
『1年生の ひがき そら です!今日からよろしくお願いします』
素振りや、手で投げたボールを1回ずつ打つ練習、上からボールを打つ「サーブ」の練習をひたすらした。
けど、ぼくにとっては、楽勝この上ない。
「すげえ」
「才能あるんじゃね」
体育とかでも、いつもいわれることだ。
だけど今回は入念に練習をした上での、これだ。そこらへんのやつには、負けない自信が、このときはあった。
そして、土曜日。
学校がないから、朝から練習だ。
昼の休憩のあと、いつもと雰囲気が違う事に気付く。
「ゲーム、はいります!」
ゲームとは、試合のこと。
たかが、試合とは思えない雰囲気が、辺りを包む。
いやな予感がした。