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29.完全アウェー

「リ、リィザさん、お、お話を聞いて下さいっス」


「バハムート……」


 リィザが腰に差していたレイピアを抜き放った。


「こ、これは本当に誤解なんです」


「なにやら騒がしいと思って来てみれば、まさかクロアに暴力を振るっていたとはな……」


 リィザの足が、僕のお腹に乗せられた。


「ち、違いますって。あいつが先にぐえっ」


 お腹の上に置いた足に、一瞬体重がかけられた。


「ゲホッ、ゲホッ」


「……私言ったのに。クロアのことバカにするなって」


「お、憶えてます。でも、あっちが先に」


「……ミラがお前に刃を向けたとき庇ったのに」


「か、感謝してます、本当に」


「……スープも分けてあげたのに」


「そ、それもすごく嬉しかったです。けどですね」


「だったらどうしてクロアに酷いことするんだ!」


「い、いや」


「私言ったのに! クロアのこと尊敬してるんだって言ったのに! どうして私を困らせるんだ! どうして私の嫌がることをするんだ!」


「そ、その、えっと……あの……」


 誤解だ、とはもう言えなかった。

 リィザが碧い瞳に、いっぱいの涙を溜めていたから。


 リィザを困らせたいわけではないし、嫌がらせをしたいわけでもない。

 しかし結果的に、リィザを困らせ嫌がることをしてしまった。

 だから、


「……すみませんでした」


 謝ることしかできなかった。


「……」


 リィザがコートの袖でぐしぐしと涙目を拭った。


「……本当にすまないと思っているのか?」


「はい……」


「悪いことをしたと考えているのか?」


「はい……」


「反省しているんだな?」


「はい……」


「だが許さん」


「……はい?」


「判決を言い渡す」


「判決?」


「半殺し」


「……斬新な判決っスね」


 リィザがレイピアを持った右手を引いて、剣先を僕に向け、突く態勢をとった。


「え? 本気?」


 まさか、とは思いつつも、目があまり正気でないリィザから視線を逸らせずにいると、


「まぁ待て」


 クロアがリィザの背後から肩に、ポンと手を置いた。リィザが顔を後ろへ向けた。


「クロア……」


「レイピアをしまえ」


「しかし」


「バハムートは、今日召喚されたばかりだから何もわかっていないんだ。リィザ自身も言っていたことだろう? 私は今回のことは許してやろうと思う。リィザも大目に見てやれ」


「……クロアがそう言うなら」


 クロアの言葉を受けて、リィザは肩から力を抜いてレイピアを鞘へ納め、僕のお腹に乗せていた足を下ろした。


「まったく、クロアは優しすぎるぞ」


「フッ、性分だ。知っているだろう?」


「それはそうだが……」


「皆もバハムートのことは許してやってくれ。私からの頼みだ」


 ミラ、クク、レアへ真っ直ぐな視線を送るクロア。


「わかったよ。クロアが許すってんなら、アタシも許してやるよ」


「こんなバカを庇うなんて、あんたいつか損するわよ」


「許しましょう。心までイケメンなクロアさんが言うなら」


「皆、ありがとう」


 クロアが柔らかく微笑み、礼を言うと、


「ハハハ」


「へへへ」


「フフフ」


「ホホホ」


 女の子四人もほっこり笑みをこぼした。


「さて、バハムート」


 一連の、ホームドラマみたいなやり取りを終えた水色君が、僕へ顔を向けた。


「何でやんしょ」


「……なぜ薄ら笑いを浮かべて私を見る?」


 お前がウソつきだからだっての。


「べっつにー」


 誰も信じてくれないから言わないけど。


「バハムート、私に何か言うことがあるだろう?」


「髪切った?」


 ドカッ、ドゴォッ、ガブリ、グリグリ


「オウフッ」


 女の子達に、殴って蹴って噛まれてグリグリされた。そしてクロアも、


 ボフッ


「んがっ」


 僕の横っ面を踏んで、そのままキープしてきた。


「…………クロさんや、足が僕の頬に乗ってますよ」


「乗せているからな」


「女性陣のみなさーん。これ、これ見てください。彼は今、僕の頬を踏んでますよ。こんなことする人を、尊敬とか、信頼できますか? できませんよね?」


「お前が悪いんだろ」


「てめぇのせいだろ」


「あんたの責任でしょ」


「そういうことです」


 みんなクロアの味方。僕、完全アウェー。


「さいですか……」


「それで、私に言うことがあるだろう?」


 クロアが、グリングリンと足首を捻って僕の頬を踏みつけてくる。我慢我慢……。


「……えーと、ごめんなさい」


「それから?」


 それから?


「……愛してる?」


 ドカッ、ドゴォッ、ガブリ、グリグリ


「ほげっ」


「気色の悪いやつめ……」


 こっちもキショイっての。


「もう二度としません、だろ」


 またグリングリンしてくるクロア。我慢我慢……。


「……えーと、もう」


 グリングリン


「……もう、二度と」


 グリングリングリン


「……もう、二度としま」


 グリングリングリングリン


「す」


 自由な下半身でクロアをカニばさみ。


「おらぁっ!」


「な!?」


 後ろへすっ転がしてやった。


「んごっ」


 クロアは、後頭部を打って、モチをのどに詰まらせたような声を上げた。


「ふざけんな! こんなことされてしないもへったくれもあごがべぶばぁっ」


 しゃべってる途中で女の子四人から攻撃を受けた。

 さらに四人は、僕をうつぶせにして上に乗っかってきた。


「うぐぅ……お、重い……」


「お前は頭がおかしいのか!」


「てめぇそんなに死にてぇのか!」


「あんたどんだけアホなのよ!」


「ある意味あっぱれ」


 女の子たちの声が背後から聞こえてくるが、頭を押さえられていて首を振り向けることができない。


「ぐぅぅ……こ、腰に乗ってるの誰? 超重い」


「アタシだバカムート!」


 ドンッ


「ぐげっ」


 背中を殴られた。

 ミラの声だ。

 だと思った。

 背骨折れそう。


「もうダメだこいつ。こうなったら、半殺しか強制奴隷の劇薬を飲ませるしかないよ」


「半殺しで」


「アタシ劇薬」


「半殺しと劇薬お願いします」


 僕の処遇がレストランの注文のように……。


「冗談冗談。今の攻撃冗談だから放して」


「冗談じゃなく実際にやっただろうが!」


 ドカッ、ドゴォッ、ガブリ、グリグリ


「あぎゃっ」


「くっ、うぅ……こ、このカス召喚獣……」


 クロアが痛みにイケメンを歪めながら立ち上がろうとする。


「クロア!」


 その様子を見たリィザが僕の上から降りて、クロアに手を貸した。

 頭を押さえつけていたのはリィザだったようで、首が自由になった。


「クロア、もうこいつはダメだ。頭がおかしすぎて手に負えない。こうなったら、半殺しか強制奴隷の劇薬を飲ませようと思うんだが」


「いや、その必要はない」


「ここまでされても許すというのか」


「ああ。だが……」


 クロアが靴の先で、僕のアゴをクイっと持ち上げた。


「う」


「二度と逆らう気が起きんよう立場というものを体に教え込んでやる。これだけ活きが良ければ、さぞかし調教のしがいがあるだろうな」


 ククク、と暗く笑うクロア。目が危ない。

十万字超えたぁぁぁっ!

十万字超えてたよぉぉぉぉぉっ!

おととい超えてたよぉぉぉぉぉぉぉっ!

うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!


嬉しかったので叫んでみました。

これからもよろしくお願い致します。

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