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家出王子と拐われた姫君  作者: 凪沙一人
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Movimento finale

 星教会の大星堂の扉が開かれると、厳かな曲と共にレインが入ってきた。見慣れないレインの姿に何か言いたげな者も居たが、何しろアストリア帝国新煌帝の挙式である。とても私語など言える雰囲気ではなかった。

「びぇぇっ! あんな大勢の前で口づけだなんて、もうお嫁にいけないぃ。」

 式後、控え室に戻ったレインは顔を真っ赤にして両手で覆っていた。

「レインさん、もうお嫁さんになられたのですよ? 」

 大司祭の務めを無事に終えたホーリーが声をかけた。

「あんた、よくすました顔で見てられたわねっ! 」

「お務めですから。それに私なりの… け…けじめです。」

「あ、ゴメン。」

 笑みを湛えながらも目に光る物を浮かべたホーリーを見てレインは慌てた。

「煌后陛下、お母様のドレスが汚れます。御召し替えを。」

「お母様? 」

 カトレアの言葉にレインが首を傾げた。

「そのドレスはセイリウス陛下のお母様が、そのロングベールは先の煌后レイラ様が嫁がれた時に身につけられていたものを仕立て直した物です。」

「レイラの… 業をあたしに背負えって? 」

「いいえ。子は親を選べませんから。星教では死は全ての罪を浄化し星に帰るとされています。親が何者であろうと子は、その罪ではなく命を繋ぐのです。」

「・・・」

「私も父が教煌でなければ、違う人生を歩んだかもしれません。けれど、私は父を恨みに思った事は一度としてありません。」

「・・・やっぱ、星職者なんだな、ホーリーは。」

 レインに言われてホーリーは大きく頷いた。

「ほらほら、煌后陛下ってのは忙しいの。早く着替えなさい。」

 カトレアの言葉使いがいつもに戻っていた。

「善くも悪くも煌后の煌務ってのは一番、間近で見てきたからね。ビシビシいくわよ、新米煌后陛下。」

「あぁあ、面倒な義妹だこと。」

 レインはカトレアに連れられて着替えにいった。


 数日後、アストリア帝国の新煌帝としてセイリウス・アストリアは戴冠式を行い、国民の前で星剣アストリアを抜剣して星帝アストリウスの正統な末裔である事を示した。断鎧の猛将ゴライアスと漆黒の轟将ネグロスを失った六神将は四天王として、帝国軍は蒼銀の凍将クライオスと疾風の迅将サンドロスが、星教騎士団は紅蓮の美将フローレンスと閃光の麗将ヘリオスが統括する事となった。こうして後に星乱戦争とも呼ばれたアストリア帝国の内乱は終結した。

「では、改めまして。不束な兄と不束な姉ですが、宜しくお願いしますね。」

 煌帝の異母弟にして、煌后の異父弟でもあるレイモンドは二人に頭を下げた。

「あのまま… 拐われたまま、戻らねばセイリウス殿と… 」

 病床で首を横に振ったホーリーに手を握られて少し申し訳なさそうな表情でグラナート・セイドルフは息を引き取った。


 これが星輝の煌帝セイリウスの物語である。

ーーーーー

・・・プロットと結末が違う(滝汗)

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