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お似合いニセモノカップル誕生!?(後編)

立ち上がり顔を見せた途端、振り返ってこちらを見た井川さんが「えっ!」と驚いた。そして、「盗み聞きするなんて!」と怒りかけた顔だったのが、徐々に諦めの表情へと変わっていく。


……?

てっきり井川さんに文句を言われると思っていたので、ナゼ諦めた顔をするのか不思議だった。

そして、そんな彼女を見ると同時に、話を否定しようと焦り本性が出そうになっていたことに気づく。

おっと。

私は今、【誰もが憧れる、美人で優しい桐ヶ谷未来チャン】でなくてはならない。

どう話をしようと考えを巡らせていると、先に井川さんが口を開いた。


「なんだ、桐ヶ谷先輩と付き合ってるんですか。それじゃあ私に勝ち目はないですね。確かにお2人お似合いだし、あのウワサは本当だったんだ…」


「ウワサ?」


話を否定するハズが、ウワサの内容にイヤな予感がして思わず聞き返してしまった。


実は私こと桐ヶ谷未来は、クラスメイトのみならず先輩後輩にも認められる美人らしい。つり上がった目元とツンと澄ましたオーラを出してしまう自分を好きになれないのに、そこがまた周囲にはウケているようだ。

里田くんのみならず、私自身も有名であることは知っている。友達にも言われるし、今の里田くんのように知らない男子から告白されることも少なくない。

そんな私たちのウワサが流れるとすれば、なんとなく予想はつくけど…。


「桐ヶ谷先輩は知らないんですか?2人が付き合ってるってウワサになってること。だから最近、里田先輩は告白されても断ってるって、おそらく誰もが知ってると思いますよ。」


やっぱり。予感的中。

まぁ誰もが、というのは大袈裟にしても、その手の話はすぐに広まる。今はまだ、私の耳に届いていないだけなのかもしれない。

それにしても、なんでそんなウワサが?

ま、いいわ。今はそんなことより…。


「そのことなんだけど、私は里田くんと…」

と言いかけると、

「もう、その先は言わないでください。ますます悲しくなっちゃう。大丈夫です、邪魔しようなんて思ってません。それに桐ヶ谷先輩がお付き合いのことを秘密にしているなら、私は喋ったりしませんから安心してください。では、失礼します。」

一気にまくしたてるように言うと、井川さんは走り去ってしまった。

…この私が一言も口を挟む余地がないとは!

呆然としながら走り去る井川さんの背中を見ていると、それまで黙っていた里田くんが口を開いた。


「突然でごめんな。ちょっとオレに作戦というか策略というか、とにかく、桐ヶ谷に頼みたいことあってさ。もうすぐ5限始まるから詳しくは話せないけど、この前【カフェ AOYAMA】にいただろ?あそこで話してるの聞いちゃったんだよ。それも踏まえて良いコト思い付いたってわけ。ちょっと強引だけど悪い話じゃないと思うんだ。とりあえず、今日の放課後ちょっと話しよう。」


なんだかあやふやな話ではあるけど、AOYAMAでのことを言われた私は弱味を握られたも同然。ここは2人で話をする必要があるわね。


「分かった。じゃあ放課後に話をしましょ。場所は…そうね、AOYAMAでいい?」

「うーん、いやそれはちょっとな。誰にも聞かれたくないから、むしろ校舎の屋上がいいかも。ホントは屋上行けないけど、オレ行き方知ってるから案内するよ。」

「…そう、なら案内よろしくね。」


私がそう答えると、彼は教室へ戻って行った。

一抹の不安はあるものの、里田くんの感じからして悪いことを企んでるわけではなさそう。なら、話を聞いてどうするか考えればいいや。そう自分を納得させることにする。


…さぁて、私も教室戻ってプリント配らなくちゃ。

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