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お似合いニセモノカップル誕生!?(前編)

「好きです。私と付き合ってもらえませんか?」


え!え!

なになに!?誰が告白してるの!?

告白するとき特有の緊張と焦燥が感じられる、少し震えた女の子の声。

でも私は、こんな場面に出くわした興奮でイッパイ。

一体誰が告ってるのかしら。


お昼休み。

私は職員室から教室へ戻るため、渡り廊下を歩いていた。下は中庭になっていて、声はそこから聞こえてくる。

聞いちゃダメだ…と思いながらも、興味津々で耳をそばだててしまう。


「…、オレの何が好きなの?オレたち話したことあったっけ?」


んん?

相手の男子の声、聞き覚えがあるゾ。

誰だっけなぁ。うーん、思い出せない…。

これからクラスメイトに配布するプリントを手に持ちながら、誰の声だったか必死に思い出そうと頑張る。

…が、どうしても思い出せない。


「いえ、話をしたことはありません。何度か見かけて、カッコいいから見惚れてるうちに好きになっていて…。」


声の主を思い出そうと必死に考えてる間にも、下の2人の会話は進んでいく。

考えるのを諦めて早く教室へ戻ればいいのに、好奇心が勝ってしまいこの場から離れることができない。

…えぇーい、コッソリ覗いてしまえ。

プライバシーの侵害でもあり、マナー違反でもあることは重々分かってるんだけど、だからこそ我慢できない気持ち、分かるよね?なんて、心の中でブツブツ言い訳をしながら、廊下の壁からソッと下を覗いてみた。


「そっか。うん、ありがとう。その気持ちは嬉しいよ。でも、オレの性格や内面を好きになってくれる子の方がいいんだ。井川さん…だっけ?前のオレなら、可愛いからとりあえず付き合っちゃおう!ってなってたけど、今はそういうのやめたんだ。だから、ごめんね。付き合えない。」


ほほぅ。誠実な返事してんじゃないの、里田クン!

覗いた先には、同じクラスで隣の席の里田くんがいた。ちょうど渡り廊下に背を向けているのが女の子の井川さんで、こちら側を向いているのが里田くんだった。

彼は学校でも有名なイケメンで、少し前までは何人もの女の子を泣かせてきた遊び人、という噂が流れていた。ただ、最近はその噂も聞かなくなり、正直そこまで彼に興味のなかった私は特に気にしてもいなかったのだけど…。


バチッ!


げっ、ヤバ!

今、里田くんと目が合った気がする…!

どうしよ、教室戻ったら気まずいじゃん!!!


すぐにしゃがみこんで隠れたけど、今度は後悔と恥ずかしさで足が動かなくなってしまった。

どうしよう、やっぱ覗かなきゃ良かった…と焦っていると、心なしかさっきよりもハッキリと強い口調で話し出す井川さんの声が聞こえてきた。


「え、でもそれって付き合ってみないと、先輩の性格なんて分からないです!どんなお付き合いも、まずはお互いを知ることからじゃないんですか?私にも先輩を知るチャンスが欲しいです!」


おおっ!

フラれてもなお食い下がる見上げた根性!ワタシ、そういうの好きよ。ガンバレ、井川さん!…って焦って隠れてた私だけど、つい応援したくなる。


「あぁ、ちょっと言い方が悪かったかな。オレさ内緒にしてたんだけど、実はカノジョいるんだ。周りがウルサイから黙ってたんだけど、いつまでも隠せるものじゃないしな。実はさっきあそこの渡り廊下からカノジョがこっち見ててさ。…なぁ、ミク!顔出せよ!」


………。

イヤイヤイヤ、それって誰のことデスカ?

そりゃ私の名前は桐ヶ谷未来(キリガヤ ミク)ですけど、ワタシ誰とも付き合ってないし、そもそも好きな人いますからね。

これは覗きに対するイヤがらせかもしれない、ソッと立ち去ることにしよう。

と、しゃがみながらズリズリしていると、追い討ちをかけるようにまた下から声がする。


「なぁミク!黙っててほしいって頼まれたのにバラしたから怒ってんの?ここは誠実に応えるべきだと思ったんだよ。それに、自分だけオレたちのこと見て隠れるなんて井川さんに失礼だと思うよ。」


……。

なんだか話が膨らんでやいませんか?

このまま無視したら、もっと膨らんで大変なことになる気がする…、仕方ない顔だけ見せてキチッと否定しておこう。

決意した私はすっくと立ち上がり「その話はデタラメだから気にしないで!」と言うために息を吸った…んだけど…。

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