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異世界住人の100のルール  作者: 二十四時間稼働中
第一章 バカ騒ぎも今日まで
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第三話 『人生の終わり&新しき人生』


魔法陣に囲まれてから異世界に転生するまでは一瞬のことであった。


気付けば「the 異世界」と言いたくなるほどの風景が辺一面に広がっていた。


黒髪なんてのはほとんどいなく、赤・青・緑・金・銀という「お前らはどこぞのアニメ出身だよ!」と思わず突っ込みを入れたくなるほど、多彩な色の髪を持つ者が溢れていた。


というか、黒髪みたいなお粗末な色をしている奴なんて俺だけじゃないのか?


「おい何だよ、あの髪。どこから来た部族なんだよ?」


金髪のいかにもチャラ男そうな奴が俺に対してそう言っていた。


くそお、俺があの顔だったら、たくさんの女に囲まれながらのうのうと暮らしていただろうに。


俺だって、この転生をきっかけに変えてやる。


そう心に誓ったのだが、そこであるひとつの疑問が浮かぶ。


「あれ?今の俺ってあの三十歳のままなの?」


さっきのチャラ男だって、俺のことを黒髪の奴って言っていたしな。


まさか、人生(顔)をやり直せないまま転生してしまったのか?


うわあ、最悪だよ。


高校生の頃だったら納得できるけど、今の俺は三十路を迎えた彼女なしの男だぜ。


そんな奴が美少女とイチャイチャなんて出来るはずなんてない。


特に俺みたいなゴミ溜めから生まれたような奴には不可能だ。


そんな社会不敵合者は転生したら顔が変わったりするのがお約束ではないのか?


このままじゃ、俺のハーレム計画(今、適当に思いついた)が崩れてしまうではないか。


「その点に関しては何の問題もありません」


どこからともなく、聞き覚えのある声が俺の耳に届いた。


ってか、さっきの美少女の声そのものじゃねえか。


「まさか、君がこの世界をガイドしてくれるのか? 二度と俺の顔を見たくなかったんじゃなかったのか?」


これは、まさしくあの全国のオタクニートどもが憧れているツンデレという奴ではないだろうか?


本当は俺に会いたくてしょうがな……


「いえ、違います。あなたが思っているようなことは、決してありません。ちなみに、私はあなたの知る彼女ではありません。彼女の遺伝子で創り上げられたアンドロイドなのです。彼女があなたとは関わりたくないと申し上げたため、代わりに私がガイドをさせていただきます」


思っていた以上に俺は彼女に嫌われてしまっていたらしい。


「なるほど、それでか……」


正直、俺は人生二度目の後悔をしていた。


彼女にセクハラ発言なんかしなければ、ガイドしてくれるのはアンドロイドではなく、生身の女だったかもしれない。


そんな奴だからこそ、30年間童貞を守り続けていたのだろう(ただ単に面が悪かったというのもあるけど)。


「そうです。あなたは一兆人目の死者としてこの世界に転生されました。そのため、この世界のことを知らないあなたには私のようなガイドが必要になってきます」


「なあ、前から思っていたんだけど、その一兆人目の死者っておかしくねえか? 今までに死んだ数なんて正確にはわからないけど、そんな桁まではいっていないと思うぜえ。せいぜい、3000億人ぐらいだと……」


「いいえ、確かにあなたの世界では2548億1628万5263人も死にました。ですが、その一兆人の数はあなたの住む世界とは違う世界の住人も含まれています。だから、決しておかしいということはありません」


俺は彼女の言った言葉に対して、声を出せずにいた。


彼女が俺たちが住んでいた世界の死者数を正確にいうことに驚いたわけではない(いや、多少はあったかもしれない)。


ただ、別の世界でもそんなにも死者が出るという事実に驚いていた。


「ちなみに、どのくらいの世界があるんだ?」


「世界って全てのことですか? それだと、1予2678垓7269京6384兆3466億6855万3926個の世界が存在しています。その中で、人類が住んでいる世界はわずか3648兆4638億6845万9358個しかありません。さらに、死者がいる世界は4628億3559万6842個にも絞られます」


先ほどのは訂正しよう。


別の世界が存在しているよりも、彼女が正確に(実際のところ、正しいのかどうかは俺には判断できないが)数字を答えるほうがよほど驚きがあった。


いや、驚いたと言うよりは不気味と言ったほうが正しい。


「ちょ、ちょっと待って! そ、その4628億5……約4700億個の世界があったならば、もうとうの昔に一兆人なんて越えてもおかしくないじゃないか!」

だって、俺たちの世界で約2500億人も死んでいるんだぜ。


約4700億個の世界があれば、1000兆人(2500億×4700億)はいってると思う。


それなのに、俺を含めて一兆人と言うのはおかしいではないか。


もしかしたら、彼女の計算が狂ってしまったのかもしれない。


機械という奴は誤作動を起こしてしまうものであるからな。


「いいえ、何のおかしくはありませんよ。あなたでちょうど1兆人目になっております」


「じゃあ、何でそんなにも世界があるのに、1兆人しか死者が出ていないんだ?」


俺たちの住む世界が特別に多いと言うのか?


そんなに人が死なない世界なんてありえるのか?


「ほとんどの世界は死ぬことなんてないんです。戦争なんてものもありませんし、病気になることもほとんどありません。もし、病気になったとしても、魔法で一瞬で治すことができます。あんなにも死者がいるのはあなたの住む世界とこの世界だけです」


「え? ちょっと待って、今何て言ったんだ?」


今の彼女の言い分では、俺の住む世界とこの異世界だけが死者が多いと言っている。


そして、他の世界は戦争がなくて、病気にもほとんどならないし、なったところで魔法で治せると言う。


ならば、この異世界も俺たちの世界と同じように病気になって、魔法では治せない(そもそも存在していない)のだろうか?


「俺たちの住む世界とこの異世界は一緒で、魔法はないのか?」


「いええ、違います。魔法がないのはあなたの世界だけです」


「でも、さっき死者が多いって……」


俺の聞き間違いでなければ、彼女は確かにそう言っていた。


「そうです、あなたの世界と同じくこの世界には戦争があります。その戦争によって、今までたくさんの人が死んでしまいました。なぜ、この二つの世界の住人は同じ種族と争っているのでしょうか? 私はそのことが不思議でなりません」


そうか、そういうことだったのか。


要するに、この世界では魔法を人のためではなく、兵器として使っているということだった。


「そうか……なるほどな」


魔法が使えるというだけで、俺はあることを考えていた。


異世界に転生すれば、誰でも考えること。


それは、この世界で最強になってどこかの女をヒロインにする、というライトノベルでありそうなことを頭の中で思い描いていた。


「ちなみに、あなたは魔法を使えることができません」


俺は段差すらない場所で扱けそうになった。


「……前から思ったけど、お前って人の思考とか読めるの?」 


「いいえ、私はあなたの考えていることを正確に読み取ることができません。ただ、あなたの表情からどのようなことを考えているのか推測しているだけです」


え?何それ?


アンドロイドの特権って言う奴ですか?


そんな能力があるなんてマジでチートなんですけど?


「え? じゃあ、俺が今何を考えているのかわかっているの?」


「はい、『もしかして、自分がアンドロイドに対して欲情していたことがバレてないか』と心配しています」


どうやら、本物みたいだ。


しかも、俺が思っていた以上に、正確に読み当てている。


「できれば、その能力は今後一切使わないでほしい」


「はい、わかりました。彼女にはこのことは秘密にしておきます」


「だから、その能力を使うなって!」


俺は思わず叫んでしまった。


「おい、あいつやばくねえか? さっきから、ひとりで訳のわからないこと喋っているぜえ」


「しっ、聞こえるって。あいうのは関わらないほうがいいんだって」


がっちりと聞こえていますよ、と突っ込みを入れたいところだったが、このアンドロイドのガイド姉さんが音声だけだということをすっかりと忘れていた。

確かに端から見れば、異常者に違いなかった。


「はあ」


本日、4度目の溜め息をした。


「どうしたのですか? 随分とお疲れのようですけど」


「それは君の……いや、もういいよ」


こんな会話をするよりも大事なことがあった。


それはこれからの異世界生活のことであった。


彼女には色々と話を聞かなければならないのだが、とにかくこの世界で生活することを優先しなければならない。


「はあ」


今日だけで5度も溜め息をするとは思わなかった。




異世界に転生しました。これからは主人公の異世界生活を描きたいと思います。

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