第9話 反逆の始まり
「お前はゲームを始めるまでに光の姿を視界にも入れてないはずだ。それに裏路地に入る前は光の姿はあった。」
そう、確かにいたんだ。
俺は待っていろ、そう言って裏路地に入ったんだから。
「ほう、それで?」
「そして、お前は姿を奪ったわけではないと言った。存在を奪ったとすれば俺が覚えてるわけもない。」
存在でも姿でもない。
そもそもゲームの内容のせいで勘違いをしていたんだ。
「お前が小細工をしたのは、奪ったのは光じゃなく俺へ、だ。」
「ふはははは!そこまで辿り着けるだけでも素晴らしい!流石は7番目っ!」
出来ればその7番目って呼び方をまずやめてほしい。
なんて事を考えてもしまうが、先に光だ。
だが、こんな事を考えられるってのは少しは俺に余裕が出来たのかもな。
「そして、俺から奪ったのは。光を認識する事をだ。」
だから俺は光を認識出来ずにいる。
「あながち、能力を付けたのは肩に触れた時だろう。あんなわざとらしい行動以外にタイミングがわからない。そうなるとお前の能力の発動条件は触れることってなるのかもな。」
「完敗だよ、本当に素晴らしいですねぇ。」
「クロ!」
振り返るとそこには光の姿があった。
「光!?」
「約束は守るんですよ。」
俺は光に抱きしめられる。
「ずっと無視されるんだもん。嫌われたのかと、私の姿奪われちゃったのかと思った。」
この時、俺は光を取り戻せた事に喜んでいて、その時の光の発言にある違和感を無視してしまった。
「どうでしたかな?私の能力は。」
「すげぇよ。けど、最悪だ、お前は俺がぶっ殺してみせる。今回の件で俺はお前を嫌いになったよ。」
「元からお好きでないくせに」
ああ、そうだな。
俺はルパン、お前が嫌いなのは元からだったかもな。
ただ、殺したい。
そう思える程の怒りを覚えた。
×××
「作戦の決行は明日!?」
「あぁ、どうやら奴らに勘づかれてるようでね、龍一くんの調整がまだなんだが、明日にしようと思う。」
無理だ。龍一なしに、それも相手に手の内はバレてる。
何日あろうが俺はあいつらを倒せるとは思っていない。
龍一にどんな強化を施してるかは知らない。
だが、それが切り札だったはずだろう。
その後の話し合いも無意味だった。
次の日、作戦は決行された。
龍一はいない。
光と鈴姉と俺でオウのとこへ。
光と鈴姉か一緒なのは隠れるのも2人の方が安全だろう、との事だ。
もう色々納得がいかなかった。
×××
「今日はあの人外共を追い返す日だ!みんな頑張るよ!」
「「「おおおぉぉぉぉぉう!」」」
「……この辺にいるはずなんだが、おかしい。」
一体どこにいるんだろうか。
「うわぁっ!」
「何してるんだお前!」
チームの後ろが何やら騒がしい?
「どうしたんだい?」
「こいつが……こいつが刺しやがったんだ!」
「お、俺じゃないです!支部長!」
どっちを信じれば、けど刺されてるのは間違いない───
「うわああ!」
「うぐっ……」
あちこちで同じように刺されほかの者を疑う者が。
そして、仲間割れを始めた。
「待つんだ、君たち。」
数分でかなりの人間が死んだ。
2割程度とはいえ数十人だ。
「解除……どうですか?認識出来ない私に刺される気分は。」
「お前は……ルパン。」
「もうこの場なんですから、そう呼ぶのはやめてくださいよ。あれ?本名知らないんですっけ。」
×××
あいつが……オウ?
まるで黒い虫の様な肌をした……虫のような羽。
あれはどうやら虫と同じ皮膚のようだ。
甲殻とかそう言うべきか?
「お前がオウか!」
「ああ……久しぶりだな。」/「私の名は……」
「サタン。」/「マモンですよ。」




