第82話 怪物の館
本日の【ガルパレリアの海風】は完全な休養日にすると宣言されていたが、今のケンに安息日はない。
ここ1週間は毎日、朝から夕方まで迷宮に潜っていたこともあり、迷宮の外では処理しなければいけない仕事が山積みとなっていた。
仕事と言うのは例えば、ギルド連盟関係だ。
【ガルパレリアの海風】と同様に、連盟に加入している他の探索者ギルドに対しても"試験官"は派遣されている。
だが、若い魔術師の大半は師匠の命令で仕方なく"遺跡"調査計画に参加している状態であるため、迷宮探索そのものにも、探索者たちとの交流にもあまり積極的ではない。
経緯を考えればそれも無理からぬ事ではあるが、一言で言えばやる気が無いのだ。
連盟に参加しているギルドであれば、パーティに1人や2人お荷物がいたとしても迷宮上層を突破するくらいはできる。
しかし、"遺跡"調査計画の将来を考えるとそれでは困ってしまう。
元から探索者を目指していたアードルフや、彼の親友たるベイジルほどに積極的になれとは言わないが、自発的に交流会に参加していた魔術師たち程度には前向きになってほしい。
だから、ケンは【黒犬】の盗賊たちを使って、各ギルドに派遣された"試験官"の名前をとっかかりとして素性を調べ上げた。
本人が持つ能力や経歴、家族構成、魔術師ギルド内の立場なども確かに重要ではあるが、重点を置いて調べたのは価値観、趣味、嗜好、性癖などの内面的な情報だ。
周囲に明かして積極的に追い求めているものでもいいが、隠したがっているものであればもっといい。
もし、共通の趣味があるならじっくりと語らえば良いし、単純に相手が欲しがっているものを贈っても良いだろう。
そうやって精神的な距離を縮め、探索者と行動を共にする動機を作らせる。利用できるのであれば、動機は親近感でも敬意でも義理でも打算でも何でもいい。
秘密を共有するのも効果的かもしれない。
秘密と言っても、完全な犯罪行為をさせてはいけない。
実行を持ちかけて拒否された場合のリスクが高過ぎるし、脅すような形になると破れかぶれになって反撃を受ける恐れもある。
そもそも、何が起きてもおかしくない迷宮の中で、信頼できない相手とパーティを組んでいては心が休まらない。
せめて軽犯罪程度に抑え、秘密が暴露された時に体面を大きく損なったり、日常生活に影響が出たりしない程度に社会的制裁を受けるものが適当だ。
例えば、女の着替えをこっそり覗いたとか、一般人には理解し難い特殊な性行為が好きだとか。
いや、これは単なる冗談でもないのだ。
試験官となった魔術師たちの大半は成人したばかりの若い男、つまり十代後半のヤりたい盛りであることを考慮すれば、懐柔のために女を使うのは悪い選択ではない。
魔術大学院に篭って日夜研究に明け暮れている魔術師たちは、あまり女に縁がない。
ギルド員の男女比が7対3から8対2でそもそも男が余っている上に、魔術師となるために知性は問われるが、容姿は全く問われない。
素材が並であっても磨けば光るものだが、忙しさに追われて身だしなみに気を使う余裕が持てなかったり、色々と拗らせて「研究が恋人」となっている場合もあったりする。
女に幻想を抱く年頃の男にとっては、そんな女は女の内に入らない。男として、選ぶ女にはなりえない―――男だけではなく女の方にも選ぶ権利があるという話は、ここでは脇に置いておく。
もちろん、中にはケイト女史や受付嬢のアイリスたちのように魅力的な女もいるが、彼女たちを巡る争いは熾烈を極めている。
それ以前の話として、いい男を選びたい放題の受付嬢たちが、地位も実力もない下級魔術師を相手にしてくれるはずがなかった。
中で調達できなければ外に求めるしかないが、探索者の町マッケイブで女がいる場所と言えば主に夜の街であり、そこは盗賊ギルドが支配する探索者たちの楽園だ。
魔術師ギルド員になれる男は大抵が良いところのお坊ちゃんであり、そんな彼らにはかなり足を踏み入れにくい場所だろう。
強い興味があり、欲求もあるが解消する手段がない。
そこで、夜の街の先輩がその手引きをしてやり、感謝と連帯感を得るという寸法である。
不健全な女で良ければ【黒犬】傘下の娼館で選り取り見取りだし、絶対に健全な女でなければ嫌というのであれば、【ブルー・ダリア】の女店員たちに協力してもらうこともできる。
女たちに「真剣に探索者をやっている姿が素敵です」とでも言わせておけば、格好つけたがりな年頃の魔術師たちは発奮してくれることだろう。
男なんてちょろいもんである。
これは全くの余談だが、少し前にこれらの策を伝授すると共に工作に利用できる娼館を紹介したところ、探索者たちの間でケンの株がいきなり高騰した。
問わず語りに聞かされた話によれば、大事な新人を連れて行く前に自らの身をもって試してみたら、いつもと同じような値段で一段上のご奉仕を受けられ、大層満足できたということのようである。
こんなに簡単に信頼度が上がると知っていればもっと早くにやっておいたのに、と後悔しきりだった。
それはともかくとして、今日のケンはそういった複数の意味で生臭い話ではなく、穏やかな気分のまま過ごせる仕事を順番にこなしていった。
まずは朝からモーズレイ邸を訪ねて"遺跡"調査計画の進展具合を聞き、その後は久しぶりにダニエルと会って彼の研究対象について語らい、リサのご機嫌伺いをするために帰りがけには【ブルー・ダリア】まで足を伸ばした。
それから【花の妖精亭】に戻ってエイダの料理に舌鼓を打ち、食欲旺盛なヴェイラにたらふく食べさせてから寝かしつける。
策謀を巡らせる必要のない、平穏な時間だ。
そして午後になって、ケンは【風の歌姫亭】を目指して町を歩いていた。
目的はギルド連盟に関係するいくつかの報告と相談だ。モーズレイから聞いた最新の情報のうち、一部を共有するという目的もある。
迷宮に潜っている時でもない限り、カストとポールのどちらかは常に【風の歌姫亭】の中で待機しているため、事前の約束なしで適当に行って用事を済ませて適当に帰ればいい。
「こんにちは。ギルドの連中は奥にいますか?」
昼食時の忙しい時間を終え、夜に向けた仕込みが始まる前に束の間の休憩をとる料理人の男に、挨拶がてら店内の様子を聞いた。
「ええ、いつも通りに……いえ、今日はどうしてだか普段より人数が多いみたいです」
「ほう、そうですか。おやっさんかポールさんと話をしにきたのですけれど、奥に居ますかね?」
「ええと、どうだったか……昼の営業が始まる前に、お二人が険しい顔をしながらそろって出かけた場面は見ましたが、その後は姿を見ていません。私が気付かなかっただけで、とっくに帰ってきているのかもしれませんけれど」
「二人そろって……? とりあえず奥に行って確かめてみます。休憩中すみませんでした」
「いえいえ、お気になさらず」
あの2人が同時に出かけなければいけない用事なんてあっただろうか。
多少の疑問を抱きつつ、ケンは店の奥にある個室を目指す。
店を訪れる客が他人からの耳目を避けたい時に利用されるその部屋は、【ガルパレリアの海風】の会議室であり溜まり場でもある。主に、男どもが店内にいると邪魔な場合に、そこに押し込まれるのだ。
「――! ――――!!」
ケンが扉の前に辿り着くと、中からは緊張した空気と押し殺した怒声が漏れ出していた。感じ取れる気配の数は1人や2人のものではない。
不穏な状況に身構えつつ、ケンは扉を開く。一瞬遅れて、部屋の中からむわりとした熱気と汗臭さが押し寄せてきた。
大陸の北の方にあるこの国は真夏になっても比較的過ごしやすいが、そう広くもない空間に十人近い男がいればこうなるのも当然だろう。
「邪魔するぞ」
「……ああ、テメエか」
闖入者に対して向けられる強面の男たちからの視線には構わず、状況を詳しく確認する。
部屋の中にいる男たちは、全員が【ガルパレリアの海風】のメンバーだった。
中央ではしょげ返った様子のロドリーゴが椅子に座らされ、その周囲を殺気立った男たちがぐるりと取り囲んでいる。
よく見れば、ロドリーゴの左頬が少し赤くなって腫れていた。まず間違いなく殴られた跡だろう。
「……喧嘩でもしてたのか?」
「喧嘩じゃなくて懲罰だよ。この野郎がとんでもねえ事をやらかしやがったもんでな!」
聞けば、今は吊し上げの真っ最中ということだった。
メンバー間の中が良く、体育会系の集団にしてはあまり上下関係に厳しくない【ガルパレリアの海風】だが、それでも保つべき規律というものがある。
何か問題を起こした者に対する制裁も時には必要になるだろう。ロドリーゴの状態を見る限り、暴力の加減は弁えているようなので万が一の事態はあまり心配せずとも良い。
骨の5本や10本くらいであれば、神官のパヴリーナが僅かな後遺症も残さず<治療>してくれる。
「何をやったかは知らないが、まあ程々にな。ところでおやっさんと話をしたいんだが、どこに居るか知らないか? ポールさんでも良い」
「おやっさんも兄貴も今は出かけてるよ。このクソ野郎の尻拭いをするためにな!!」
「なに?! どういうことだ。あの2人が揃って出向かなきゃならないくらいの大問題なのか」
「……アードルフが街でとっ捕まった。おやっさんたちは、アードルフを放してもらえるように話を付けに行ってる」
「……はぁっ?」
◆
事の始まりは前夜に遡る。
夕の鐘が鳴る頃に迷宮から戻り、【風の歌姫亭】で本日分の稼ぎを分け終えた後はすぐに解散となった。
翌日は丸一日休みと決まっていたので、翌々日の朝に設定された集合時間になるまでは、何をするのも自由の身である。
新人を連れているせいで、最近はずっと迷宮上層のごく浅い部分での探索だが、積極的にモンスターとの戦闘を繰り返したお陰で懐はそれなりに温かい。
中層探索を行った場合に得られる金額には遠く及ばないが、それでも一晩遊ぶには全く不自由しない額である。
そうなると、体の中に飼っている見えない虫が疼き始める奴はいるものだ。
その筆頭が、言わずと知れた"女好き"ロドリーゴである。
「アードルフの奴は女を知らねえって話だったんで、これはいっちょう男として夜の楽しみ方を教えてやらなくちゃな、って思ったんだよ」
攻略パーティで偵察者を務めるロドリーゴは、女という存在を何よりも愛する、色欲に塗れた漢だった。
ここまでの人生の中で、彼が女関係にどれだけの額をつぎ込んだかも分からない。
酒、女、賭博のせいで身を持ち崩す探索者は多いが、彼に限って言えば稼業に支障が出ない程度に抑え、迷宮に潜る前夜には女の所に行かないなど節度を弁えていたため、周囲からとやかく言われることはなかった。
むしろ、夜を存分に楽しむために他の誰よりも体調に気を使い、夜遊びの資金を稼ぐためにきっちりと働くので、半ば推奨されていたと言っていいかもしれない。
「同族以外じゃ勃たない奴も多いし、そうじゃなくても初めてぐらいはやっぱり同族が良いんじゃねえかって思って、ちょっと探したら【クリーチャーズ・ハウス】って店に犬人族の若いのが居るって分かってよ。狼人族じゃねえけどまあまあ近そうだし、値段も手頃だったんでそこの店にするかって思ったのよ」
迷宮都市マッケイブを支配するレムリナス王国は猿人族の国であるため、この町の住人もやはり猿人族が圧倒的な多数派である。
普通の男は同人種の女を好むため、需要を考えれば必然的に娼婦も猿人族が多くなる。
だが、世界四大迷宮の1つを抱えるマッケイブの町には、遠方からやってくる猿人族以外の人種もいた。町の全人口に占める割合としては微々たるものだが、それでも1つの勢力として見なせるくらいの規模はある。
そうした猿人族以外の探索者、および特殊な嗜好を持つ一部の猿人族の需要を満たすための娼館も存在し、中には猿人族以外の娼婦のみを取り揃えた店というのも何軒か存在する。
【クリーチャーズ・ハウス】は、そういった特殊な娼館の1つであるようだ。
「まずは風呂屋に連れてって汗を流して、まだ早い時間だったもんで飲み屋に行ってほろ酔い加減にしてから、【クリーチャーズ・ハウス】に連れてったわけだ」
超高級店になればまた話は変わってくるが、普通の娼館に風呂はない。
だから、ある程度以上の娼館に行く場合、探索者は事前に風呂屋に行って体を清めておくことが、通人にとっての必須事項とされていた。
娼婦が不快になるからという理由だけでなく、そういった気遣いができない質が悪い客をふるい落とし、清潔にすることで性病や感染症から娼婦の体を守るという意味もある。
「アードルフの分は、先にこそっと行って手付まで払って予約しておいたからな。店に入ってすぐに、あいつは奥に通されてったよ。ん? 今回は俺のオゴリだよ。当たり前だろ」
こういうことは考える暇を与えてはいけない、我に返って怖気づく奴もいるから勢いが大事である。ロドリーゴはそんな含蓄深い言葉を残した。
「店に誘った奴が金だけ払って先に帰っちまうのもアレだからな。俺もいっちょ新境地を開拓するかってことで、女を選んでウキウキしながら部屋に行ったんだけどよ……ありゃダメだな。値段の割に部屋の作りがチャチいし、女の状態も―――そんな話は聞いてねえって? ごもっともです、はい」
話が脱線しそうになるロドリーゴを、周囲の男全員が睨みつけて止めていた。
「まあ、金も払っちまったし、何とか奮い勃たせて楽しもうとしたんだけどよ……いざって段階になって急にでけえ音が響いてきたもんで、俺は慌てて廊下に飛び出したのよ」
他の部屋からも男や女が顔を出し、周囲の様子を窺っていた。
すぐに店の用心棒らしき厳つい男が何人も現れ、周囲は騒然となった。用心棒たちは音の発生源と思われる部屋に突入し、中からは怒声と人間が暴れる音が響いてきたという。
「そいつらが『魔術師が』どうのこうのって怒鳴ってるのが聞こえたもんで、辺りを見回したがアードルフの姿がねえ。慌てて捕物をしてた部屋を見に行ったら……」
ロドリーゴが入口にいた野次馬どもを掻き分けて部屋の中を覗くと、そこにあったのは壁の大きな穴と、ベッドの隣にへたり込んでいる犬人族の女。
そして、3人の用心棒によって床に押さえつけられているアードルフの姿だった。
「正直、何が起こったのかは全く分かってなかったんだけどよ、そいつは俺のツレだって言って店に謝って、後でちゃんと弁償しに来るから何とか穏便に済ませてくれって頼んで……」
部屋の状態、アードルフや娼婦、用心棒の口から出た断片的な情報から推測すると『アードルフが娼婦を連れだそうとして、魔術で壁を破壊した』ということになる。
店に無断で娼婦を連れだそうとするだけでも問題なのに、建物まで破壊していては「解放しろ」なんて要求が通るはずもない。
「こりゃあもう、俺ひとりの力でどうにかなる話じゃねえな、って悟って……」
ロドリーゴは急いで【風の歌姫亭】に戻り、そこに居たポールに事の次第を明かしてアードルフの救出を願った。
話を聞いたポールはすぐさまカストを探しに人を遣り、おっとり刀で【風の歌姫亭】に駆け付けたカストと今後の方針を相談した上で、2人で【クリーチャーズ・ハウス】に向かった。
昼前にカストとポールがいったん戻って来たが、そこにアードルフの姿はなかったようだ。
交渉の首尾を尋ねるロドリーゴたちに多くは語らず、ポールがギルド資産が入れられている金庫からかなりの大金を持ち出して、それを持ったまま再び店を出て行ったという。
◆
「……話は分かった。ずいぶんと厄介なことになってるな……」
状況はおよそ最悪だった。
アードルフは現在、魔術師ギルドから派遣された"遺跡"調査計画の試験官という立場にある。
今回の事が魔術師ギルドに露見すれば、アードルフ個人の立場だけではなく【ガルパレリアの海風】の立場も危うくなり、ギルド連盟に崩壊の危機が訪れる。
そうなれば、ケンが"遺跡"調査計画を影から支配するための計画が大幅に狂い、モーズレイや【黒犬】との協力関係に悪影響を及ぼすことは避けられないだろう。
同じことがあっても、時期が1ヶ月後であればそこまで問題にはならないかもしれない。
ああいったお役所的な機関ならば、いったん決定してしまった内容を覆すことを嫌がるものだし、正式な契約を破棄する理由としては弱い。
しかし、今はまだ仮採用の状態だ。問題を起こせばあっさりとクビを切られる。
だが、問題を起こしたのは試験官のアードルフだ。
【ガルパレリアの海風】の一員として扱われているが、名目上は単なる外部の人間である。アードルフを切り捨てて、【ガルパレリアの海風】自体には問題がなかったと強弁すればどうだろうか。
いや、発端になったのがロドリーゴの行動である以上、こんな屁理屈を押し通せるとは思えない。
それに、カストたちはアードルフを見捨てることを良しとはしないだろう。
彼らにとってアードルフはもう仲間であり、ケンと違って何が何でも"遺跡"調査計画に参加しなければいけない理由もない。
アードルフを見捨てるという提案は、ケンの信用を失くすという結果しか招かない悪手である。
「まずは、おやっさんとポールさんが帰ってくるのを待とう。話を聞く限りあんまり良い結果はでなさそうだけどな……」
「ああ。俺らが下手に動くと、もっとややこしい事になっちまいそうだからな」
既に本日の予定は大幅に狂っているが、やらなければいけないことが無くなるわけではない。
ずっと正座をさせているせいで「足が痛い」と訴えるロドリーゴの監視を他の男に任せ、ケンは外に出た。
ちなみに、正座の存在をケンが「俺の故郷には、反省の意を表すための特別な座り方がある」などと言って教えた結果、ロドリーゴに対する罰として採用された。
今回の事件で最も責任があるのはアードルフだが、大切な時期に大人しくしていられなかったロドリーゴも罪は免れない。
ケンが用事を済ませてから再び【風の歌姫亭】を訪れても、まだカストとポールは戻っていなかった。
夕の鐘が鳴り、日没を迎える頃になってようやく彼らが戻って来た時も、人数は3人ではなく2人のままだ。
極めて不機嫌そうな表情で【風の歌姫亭】の奥の部屋に来たカストは、荒々しく椅子を引いてその上にどっかりと座った。
聞かずとも結果は分かりきっていたが、ケンが動くためにも詳しい情報は必要だ。
「……どうだったんだ?」
「どうもこうもねえよ! あのヒキガエル野郎は話になりゃしねえ!!」
そう怒鳴りながら拳でテーブルの上を強く叩き、憤慨した口調で交渉の様子を語ってくれた。
幸か不幸か、ケンの手回しは無駄にはならなさそうだ。




