第80話 アードルフの修行
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狼人族の青年アードルフ・カーラッカは、大陸最北端にあるスオムル王国で生まれた。
彼が属するカーラッカ家は、はっきりした記録が残っている分だけでも十数代は続く魔術師の家系であり、最盛期には高級官僚として国政に深く関与したこともあるほどの名門である。
過去には一代貴族に列せられたことが何度もあり、世襲貴族を増やさないという王家の家訓がなければ、今頃は伯爵くらいになっていてもおかしくなかったようだ。
今となっては往時ほどの力はなく、一世代のうちに軍や政府で中位の役職を得る者が1人出るか出ないか、といった程度ではあるものの、国内ではそれなりに名の通った家だ。
カーラッカ一族が代々の研究対象としていた物は魔道具で、その中でも武器型の魔道具が専門である。
だから、研究のために集められた迷宮産の魔法の武器や、カーラッカ一族が過去に製作した魔法の武器が屋敷中にあふれていた。
それに加えて、素材となる武器を作る腕の良い職人や、魔法の武器を求める一流の戦士たちが常に出入りするような環境でもあった。
屋敷を訪う戦士たちの中には、過去に探索者として活動して一定の成功を収め、引退した後に騎士団に取り立てられたという経歴の持ち主が何人もいた。
彼らが語る迷宮の話は子供たちにとって格好の娯楽であり、特に「巨大なモンスターを討伐し、宝箱を見つける」という物語は、幼い頃のアードルフを何よりも強く惹きつけた。
思い返せば、今もアードルフの中にある剣士と迷宮に対する憧れはこの頃に形作られていたのだろう。
剣士たちに憧れて見様見真似で剣を振り、時には戦士に剣の扱いを教えてほしいとねだるアードルフの姿を、大人たちは目を細めて見守っていた。
魔術師の父とそれなりに大きな商家の次女であった母は政略結婚だったが、2人の相性は抜群に良かったらしく、見ているこちらが恥ずかしくなるくらいに仲睦まじい。
夫婦仲が良かったおかげかアードルフの両親は次々と子宝に恵まれ、最終的に6人兄弟となった。
アードルフには兄と姉が1人ずつ、弟が1人に妹は2人いて、他人の家庭を覗いたことが無いので比較はできないが、兄弟仲も良い方ではなかっただろうか。
カーラッカ家に生まれた子女は、特段の事情がない限り10歳になる年の秋頃に魔術師ギルドに入り、見習い魔術師となる。
それから修行を積み、おおむね15歳になる前後には正式な魔術師となって、実家に戻って親の研究を継ぐなり、他の導師に師事するなり、魔術という技能を活かしてどこかに雇われるなり、自分の進む道を選ぶのだ。
穏やかに時は流れ、5歳上の兄と2歳上の姉は順当に魔術師となる道を選んだ。
姉を魔術師ギルドへ送り出す前日、家族だけが参加するささやかな宴が催された。そこで、幼い日のアードルフの運命を決めた1つの質問が投げかけられる。
「明日になれば、ペトラは家を出てしまうのね……再来年にはドルフも。寂しくなってしまうわね」
「ハハハ、母さんは気が早いな! もう二度と会えないって訳でもないんだし、子供が立派に育ってくれているんだから喜ぼうじゃないか!」
「そうね、悲しんじゃいけないわね! そう言えば、ドルフは10歳になったらどうするの? 最近は剣の練習を頑張っているみたいだから、剣士になるのかしら」
「おお、それもいいな! 俺の祖父さんの代には鍛冶師になった人がいたし、その何代か前には剣士になった一族もいたって言うからな」
両親としては、上の2人が魔術師の道を進むと決めてくれたこともあり、下の子には自由に道を選ばせるつもりだった。
だから、アードルフが剣の素振りを日課とするようになっても止めたりはせず、練習用の木剣を用意してやるなどむしろ応援していた。
「えっとね、僕は魔術も剣も両方やる! 魔法剣士になりたい!」
アードルフの中には魔術に対する興味と剣に対する憧れがあり、その2つは全く同じだけの重さをもっていた。だから、彼の答えがこうなるのは必然だったと言える。
しかし、少年の無邪気で本気の宣言に対して返ってきたものは、両親のみならず祖父母を含むその場にいる大人たちからの否定的な反応だった。
「それは……ちょっと難しいかしら、ね?」
「うーん、そうだなあ……片方だけでも簡単ではないのに、両方共となるとさらに厳しいな」
「良いかいドルフ。魔術師として一人前になるには、どんなに早くても十年以上かかるんだ。そして、一人前になってからもずっと勉強を続けなくてはいけない。一人前の剣士になるのにも、たぶん同じくらいの時間がかかるだろう?」
「そうねぇ……私も2つじゃなくて1つにした方がいいと思うわよ」
当時のアードルフには真っ向から反抗する勇気はなく、彼の中にあった迷宮探索者になりたいという夢は表に出されないまま燻り続ける。
大人たちから否定されても夢を諦めきれず、何とか叶えることができないかと必死に考えた結果が、世界四大迷宮の1つを国内に抱えるレムリナス王国への留学と、魔術を学びながら独学で剣の修行を行う道だった。
剣の修行は素振りをすることくらいしかできなかったものの魔術の修得はそれなりに順調に進み、"遺跡"調査計画への参加という絶好の機会を得て、アードルフは探索者としての第一歩を踏み出した。
優柔不断なアードルフは、半強制的に探索者として活動させられる今回のような事がなければ、死ぬまで普通の魔術師のままだったかもしれない。
アードルフが、ベイジルと共に試験官として派遣された【ガルパレリアの海風】という群れは、とても良い所だった。
魔法剣士という夢を肯定し、探索者としてのイロハを惜しまずに教えてくれたからそう言っているのではなく、掛け値なしにいい人たちだと自信を持って言える。
ギルドに所属する人たちはみんな明るく、気安くて、家族のように仲が良い。探索者は排他的なものだと噂に聞いていたが、彼らに限っては当てはまらないようだ。
猿人族と比べ、狼人族は集団の序列というものを重んじる性質が強い。アードルフは狼人族の中でも特にそういったことに敏感で、集団の中できっちりとした順位付けがされていないと落ち着かないところがある。
その点【ガルパレリアの海風】は、カストやポールというリーダーを中心にしてよくまとまり、秩序が保たれている。
理想的な群れの形にとても近いのだが、アードルフには【ガルパレリアの海風】について1つだけ気になって仕方がないことがあった。
ナンバー1のカストは、おおらかで優秀な群れの長だ。
群れの人間を何も気にしていないように見えて、実はギルド全体をきちんと把握している。
彼には人を惹きつける魅力があり、決断力もある。ただし、腰が軽すぎるのはリーダーとして玉に瑕かもしれない。
ナンバー2のポールは、カストとは全く違うタイプの優れたリーダーだ。
自分と他人に対して厳しいが情に厚い。駄目なものを駄目とはっきり言ってしまうので苦手としている人もいるが、個人の意思を無視しているわけではない。
普段から細かいことを色々と言っているが、それは全て仲間たちを思っての行動なのだ。
甘いリーダーのカストと、厳しいサブリーダーのポールが絶妙に調和している。
しかし、ナンバー3のケンイチロウは―――正直に言ってよく解らない。
人前ではカストとポールを立てた行動をするし命令にも従っているのに、何かが違う。群れの中に居るはずなのに、どうしてだか群れの外に居るような印象を受けるのだ。
四十半ばのカストと三十を超えたくらいポールに比べ、ケンイチロウはかなり年齢が下だ。狼人族のアードルフには猿人族の年齢は見分けにくいのだが、ギルドの中で最も若い部類に入るのは間違いない。
【ガルパレリアの海風】では本人の適正と経験を重視しているので年齢だけで立場は決まらないが、それでもギルドに入ってからたった3ヶ月でこの地位に就いているのは、異常なことのように思える。
だが、そう感じているのはアードルフぐらいのもので、他のギルド員たちは特に不自然だとは思っていないようだった。皆、ケンイチロウの存在を違和感なく受け入れている。
群れの長を差し置いてケンイチロウが外部と交渉しているようなのに、カストもポールもそれを咎めない。
具体的に何をしているかアードルフは知らされていないが、ギルドにとってかなり重要な事を決めているとしか思えないにも関わらず、である。
ケンイチロウに関しては、他にも色々と不思議に思うところがあった。
最も不可解なのは、普通の人間が持っているはずがないような知識をいくつも持っていて、魔術についても一般人とは思えないくらいに詳しいことだ。
本人に聞いてみたところ「魔術師に憧れていたので本を読んで勉強した」という答えが返ってきたが、その程度で身に付けられるほど底が浅い知識ではない。
もちろん、魔術師ギルドには彼よりも魔術に詳しい人間はごろごろしているが、魔術師であっても普通は知らないようなことを言っていた時もある。
例えば、初日に全員の前で魔術を披露していた時のことだ。
「アードルフ。剣と魔術を同時に使おうと思ってるなら、普段から左手で杖を扱った方が良いな。剣型の<魔法の杖>を手に入れるつもりなら別だけど、あれはすぐに手に入るもんでもないだろ?」
「あ、はい。おっしゃる通りなのですが……ずっと右手でやってきたので、変えるのはけっこう難しいかもしれないです」
「魔力制御を左右逆にすれば良いだけだから、簡単だろ。これから魔法剣士なんてものを目指そうとしてる奴が、この程度で怖気づいててどうする。あれは本気じゃなかったのか?」
「いいえ! 本気です!」
「だったら今すぐやってみせろ。目標は……10回以内に成功だな。本気だったらこのくらいは軽いもんだろ?」
「はい! 絶対に成功させてみます」
その場では気付かなかったが、ケンイチロウは確かに<魔法の杖>や"魔力制御"と言っていた。
これらのことは魔術師にとっては常識であっても、魔術師以外にはあまり知られていない。魔術師以外には全く意味がない知識なので、学ぶ意味もないからだ。
ケンイチロウは他にも、魔術について深く知らなければ到底出てこないような発想をしたことがある。
あれはアードルフが武具工房に連れて行ってもらい、自分の体に合った長剣を手に入れた日。【ガルパレリアの海風】が訓練に使っている広場で、片手剣使いのダミアーノから手解きを受けていた時のことだった。
きちんと剣術を教わるのは初めてだったこともあり、まずは正しい剣の握り方と構え方、そして振り方という基礎中の基礎から訓練は始まった。
手の動きと足の動き、体全体の動きを1つずつ確認しながら何度もゆっくりと剣を振る。ゆっくりと動いているだけなのに、体の様々な部分が痛みを訴え始める。
これまでの数年間、アードルフがずっと我流でやっていた剣の素振りは、腕の力を鍛えるぐらいの意味しかなかったのだとその痛みが示しているような気がしていた。
訓練の最中、近くをケンイチロウが通りかかった。彼は一心不乱に剣を振るアードルフの姿を見て、すぐにある一言を発した。
「左手は開けておかないで、杖を持った方が良いんじゃないのか?」
探索者の場合、片手武器を使うなら逆の手に盾を持つのが一般的だったが、アードルフの場合は杖を持つために左手を開けてあった。
「おお、そう言われりゃ確かにそうかもしんねぇな。アードルフ」
「はい、やってみます」
ケンイチロウの指摘はもっともな事だった。だから、少し離れた場所に置いてあった短杖を左手に持ち、同じように剣を振ってみる。
そうすると、自分の腕と同程度の長さしかないワンドを持っただけなのに、ずいぶんと勝手が変わる。
左手を意識しないまま動いていると杖が自分の体に当たったり、剣を振る動きの妨げになったりする。だからと言って左手を意識しすぎると、今度は右手や足の動きが疎かになってしまう。
「ほら、体の動きがチグハグになってんぞ! 腕だけ、足だけを別々に動かすんじゃなくて、体全部で1つの動きを作れ!」
「はい! すいません!」
アードルフが試行錯誤しつつ懸命に剣を振っていると、腕組みしつつ様子を見守っていたケンイチロウが唐突におかしな事を言い始めた。
「……左手を遊ばせておくのはもったいなから、ただ杖を持ってるだけじゃなくて積極的に活用していこう。剣と杖の変則二刀流……なかなかカッコイイじゃないか。魔術も組み合わせて三刀流か?」
「そりゃオメェ、言うのは簡単だけどよ、二刀流のやり方なんてオレには教えらんねぇぜ?」
「将来的にはともかく、最初のうちは左手を防御専門にしときゃ良いだろ。小型盾を扱う時の応用で何とかならないか?」
「イヤ、応用もなにもぜんぜん違げぇじゃねぇか。まあ、これから受け方も教えなきゃなんねぇんだし、少し考えてみっか……アードルフ、いったんヤメだ」
ダミアーノの指示に従って構えを変える。元は剣を握った右手を前に出すような構え方だったが、左手に握った杖を前に突き出して体を守る構え方になった。
そのままの流れで防御の訓練が始まった。ダミアーノがゆっくりと振り下ろしてきた剣を、アードルフが左手の杖で受け止める。左手に感じる衝撃はずしりと重たい。
「オイ、盾代わりつっても盾じゃねぇんだから止めようとすんじゃねえ! 武器が傷んじまうし、自分より力がある奴にゃあ押し負けんぞ。正面から当てて止めるんじゃなくて横から当てて流せ」
「はい!」
「……積極的に攻撃と防御に使うなら、木製の杖じゃなくて金属製の方が良いな。後で探しておくか」
防御の訓練は体力以上に集中力を消耗する。
ダミアーノの動きは緩やかで、剣の軌道ははっきり見えているのに、いざ受け流そうとしても簡単にはいかない。途中で何度も受け流しきれずに攻撃を当てられてしまった。
そこまでの力は込められていないし、剣身には何重にも布が巻きつけられているので毛皮が切れて血が流れることもなかったが、痛いものは痛い。
「ヨシ、ちっと休め。オメェはアレだな、なまじっか腕力があるもんで力に頼りすぎてるな。体にムダな力が入ってっから動きがニブくなるし、ちょっと動いただけで疲れちまうんだ」
「はい……」
休憩を告げられた途端にアードルフが地面にへたり込む。
剣を合わせたのは回数にして数十回、時間にして数分しか経っていないのに、素振りを1時間ぐらい続けた時のような疲れを感じていた。
精神的な緊張も相まって体がかなりの熱を帯びている。アードルフが猿人族であれば全身汗まみれになっていただろう。
「ところでアードルフ、良いことを思いついた」
大きく口を開いて舌を出し、荒い息を吐いて体温を下げようとしているアードルフのすぐ隣に、いつの間にか音もなく黒尽くめの男が立っていた。
「えっ……なんでしょうか」
また突拍子もない事を言い始めるのではないかとアードルフはあからさまに警戒するが、ケンイチロウが気にする様子はない。
「剣と魔術の組み合わせ方だ。理想は『剣で戦いながら魔力を制御して、魔術を発動する』だが、その前段階として『事前に魔力の制御を終わらせておいて、剣で戦ってる最中に発動する』ことにしよう。これなら魔力制御の訓練にもなる」
「それは、剣を使う前に魔術を発動させるのと何も違いがないのでは?」
「元の方法だと<怪力>や<幻覚分身>のような補助魔術しか使えないが、こっちの方法なら攻撃魔術も使える。普通の敵なら距離を保って攻撃魔法を使えば良いだけだから、少しでも距離があると射撃を避けられるような格上相手の戦術だな」
「……一応、どういったものか聞かせていただけますか?」
攻撃魔術を避けるような相手なら何をしても勝てないような気もするが、魔力制御の訓練になるというなら聞いておいて損はない。どうせ聞くだけなら無料だ。
「射撃系の魔術なら、魔力の集中、圧縮、元素変換、照準、射出って感じか。集中から変換までは1つの流れになっているから中断は難しいが、照準から先はある程度の自由が効く」
「―――はい?」
「照準をつける段階まで来たらそのまま維持しておいて、敵が至近距離まで来てからブチかましてやれば良いんじゃないかと思ったわけだ。激しく動きながら魔力を練るのは難しいけど、維持するだけなら比較的簡単だろ?」
「……確かに、理屈上はそうなりますが……」
理屈上はそうなるが、そんな理屈を魔術師のアードルフは考えようとしたこともなかった。恐らく、他の魔術師に聞いても同じ答えが返ってくるだろう。
魔術師の常識では詠唱の開始から発動の瞬間までがまとめて1つの行為であり、それを工程ごとに分割して扱うという発想がない。
これを本当にケンイチロウが考えたのだとすれば、彼は世の中にいる大半の魔術師よりも、魔術というものについて理解していることになってしまう。
ケンイチロウには他にも不審さを感じさせる点がいくつもあったが、群れに入ってたった数日のアードルフごときが、先輩に対して陰口は叩けない。
しかし1人で悶々とし続けるのも辛い。
だから、悪口にならないように注意を払いつつ、抱えていた疑問をベイジルに洗いざらい打ち明けた。
ベイジルは天井を見上げて少しだけ悩んだ後、控えめに頷く。
「うん……僕も、ドルフと同じ。でも、悪い人じゃないって、思う」
現在、アードルフとベイジルが居るのは、この国に来てからずっと住んでいた魔術師ギルドの寮ではなく、町中にある古びた宿の一室だった。
粗末なベッド以外には何も置く場所がないような狭苦しい部屋だが、どうせ寝る時にしか帰って来ないのだから贅沢は言うまい。
【ガルパレリアの海風】で紹介された比較的安全な宿の1つで、同じギルドの人間は他にいないから万が一にも話が漏れる心配はないだろう。
「じゃあ、ベイジルはケンイチロウって人が信用できると思っているのか?」
「たぶん、ケンイチロウさんは……ドルフが信じていれば、ドルフのことを信じてくれる人だと思う。カストさんと、ポールさんはケンイチロウさんのことを信じてるから、ケンイチロウさんもカストさんとポールさんを信じてるって、気がする」
「……つまり、こっちが裏切るような真似をしなければ、向こうも何もしてこないってことか?」
確かに、ケンイチロウは度々変な行動をしているが、悪意を感じたことはない。悪意がないからこそ厄介と言った部分が無きにしも非ずだったが。
「うん。ドルフはたぶん、気に入られてるから、大丈夫なはず」
「そうか。ベイジルがそこまで言うなら間違いないんだろうな。じゃあ、俺も疑うのはやめてケンイチロウさんを信じるよ」
「うん」
こういったことでベイジルが間違えたことはない。
自分で決断ができない時は、ベイジルの判断に従う。これでアードルフは今まで上手くやってきた。
彼らをよく知らない人間は「猪突猛進のアードルフにベイジルが引っ張られている」と思いがちだが、実際にはベイジルが決定権を握っていてアードルフがそれに従っている、というのは単なる余談だ。
「よし! じゃあ今日はもう寝るか。明日のためにちゃんと寝ておきたいからな!」
「うん。おやすみ、ドルフ」
「おやすみ、ベイジル」
悩みの1つを解決してスッキリとした気分でベッドに横たわる。
明日はついに、アードルフが生まれて初めて迷宮に入る日だ。
魔道具研究者と魔道具製作者は、建築家と大工のような関係です。




