第51話 雪解け
お待たせして申し訳ありません、第五章の開始です。
しばらくは導入部であまり話の動きは無いと思います。話の動きがあった時の方が少ない気もしますが。
春は「出会いと別れの季節」と言われる。
前の世界でよく言われていたその言葉は、春の間に卒業やら入学やら入社やらが一斉に行われる関係で、既存の社会集団の構成員に変化が起こることから特に言われるようになったものではないだろうか。
つまりは学校という一つの社会が一斉に人を放出し、そして吸収することによる影響である。
今の世界では学問という物は未だ一部の限られた人間だけの物であり、存在する教育機関も特定の時期に人の出入りをまとめて行うような習慣も無い。
だから殊更に春が出会いと別れの季節だとされているわけではないが、やはり他の季節に比べれば出会いや別れの数は多いと言える。
春になって様々なものが活発に動き始めるのは、冬の間に変化が抑制されていた反動でもあるのだろう。
マッケイブ周辺は寒冷な気候であり、冬になれば数日に一度は雪が降る。
だが、海から遠く離れた内陸である上に近隣に大河や大きな湖も存在しないという立地であるため、あまり湿度が高くならない関係で町と町の往来が不可能になるほどの降雪量ではない。
しかしそれほど多くないとは言っても、雪が降り始めれば冬の間は地面の上から雪が完全に消えることはないし、積もった雪は長距離を旅する者にとって少なからず障害となる。
街道を国という生物の血管だと考えた時、血管の中の血液としての役目を負っている旅商人たちであれば、多少の困難があろうと雪を踏みしめて町と村の間を流れていかざるをえないが、そうではない人々は自分の棲み家に篭もってしまう。
家業を継げない次男坊以降が成年を迎えた後に止むに止まれず、もしくは自ら望んで故郷を離れるというのはこの世界でごくありふれた話だが、それにしてもわざわざ移動が難しい季節に旅立ちたくないと思うのは人情の常だろう。
交通機関が発達していないこの世界では、いったん故郷を離れてしまえば簡単に帰郷するという訳にもいかない。
特に、探索者や冒険者という不安定かつ危険度の高い稼業に就くのであれば、二度と顔を合わせる機会が無いかもしれないのだ。
冬の間は家族で過ごして別れを惜しみ、雪解けと共に家族や友人に見送られつつ村を出るというのが農村における春の風物詩である。
ケンの元から今の世界で体験する6度目の冬が去り、7度目の春が来た。
彼がこの世界にやって来たのは春の終わり頃だったから、もう少しで丸6年が経過することになる。
ケンにとってこの冬と春は別れと出会いの季節だった。
雪深くなってから何の前触れもなく現れた少女は、春の足音が聞こえ始めた頃に別れの言葉を交わす事もできないままに去っていき、代わりに1人の少女と再会することとなる。
「お久しぶりです、ケンイチロウさん」
「ええ、久しぶりですねリサさん―――グレイスさんとお呼びした方が良いですか?」
「もう偽名を使う必要なんてありませんので、リサと呼んでくださいな」
約5ヶ月ぶりに【花の妖精亭】を訪れたリサの姿は以前とほとんど変わっていない。服装が普通の町娘の着るようなものから、誰が見ても良いところのお嬢さんといった感じになったのが唯一の変化だろうか。
薄く化粧が施された白い肌の上には整った目鼻が配置され、同じ種族の男ならば誰もが彼女のことを美人だと評するだろう。
男に対して従順である女こそがいい女であるとする価値観が一般的であるため、勝ち気すぎるように見えるところについては好みが分かれるだろうが、美人ならば欠点の1つや2つは個性のうちだ。
その証拠に、食堂でとぐろを巻いていた顔見知りの親父どもにリサが笑顔を向けてやると、途端にデレデレとした様子になっている。ここが健全な食堂ではなく場末の酒場であれば、下品な野次や口笛の一つも飛んでいたのではないだろうか。
リサがさも当然といった様子でケンの向かいの席に着くと、ウエイトレスのベティがすぐさま注文を取りに来た。
「いらっしゃいませー……あっ! お久しぶりですね、グレイスさん。いつこっちに戻ってきたんですか?」
「今日の昼過ぎ頃に町に着きましたのよ。ベティちゃんとエイダさんへのご挨拶も兼ねて、夕食はこちらで頂こうかと思いまして」
「ハンナさんは来てないんですか?」
「もちろんハンナもこの町に居るのですけれど、ちょっと用事があって今日は来られませんでしたの。ハンナはこのお店の料理が大好きなので、とても残念そうにしていましたわ」
「そうなんですかー」
ハンナが【花の妖精亭】に滞在していた時に、いつも至福の表情を浮かべながらエイダの料理を平らげていた光景が思い出される。
1ヶ月という滞在期間の最後の方では「持ってきた服がきつくなってしまった」と散々ぼやきながら、それでも食べる量を減らさなかったくらい気に入っていたようだから、来られないのはさぞかし残念なことだろう。
それから少しの間、2人の少女の間で近況報告と世間話に花が咲いた。女2人のはしゃぐ声を聞きつつ、蚊帳の外のケンは黙々と夕食を摂る。
ベティとリサの仲は一時期険悪になっていたが、いつの間にか仲直りしていたようだ。
当時のケンはいろいろとやらなければならない事があったのと、あまり重苦しい空気を味わいたくはないという理由からなるべく【花の妖精亭】の中には居ないようにしていたので、彼女たちがどういった経緯で和解したかは判らない。
何はともあれ、仲が悪いままでいられるよりは良い。
「それじゃ、これからはずっとこっちで暮らすんですか?」
「ええ、少なくとも3年間ほどはマッケイブで暮らすつもりですの。一生を共に過ごすことになるかもしれませんから、あまり性急に事を進めるのではなくじっくりと挑もうかと思っていますわ。時間をかけてでも相手を理解していきませんと」
商売の成否を見極めるのに3年という長さが妥当かどうかケンには判断がつかないが、3年後の時点で軌道に乗っていなければもう成功の目はないだろうし、軌道に乗っているならもう手を離しても大丈夫だということだろうか。
「わたしの方はもう少しで6年になるけど、まだまだ知らない事ばっかりかなー」
「仕方ありませんわよ。ベティちゃんはまだまだ子供なんですから、分からない事くらいあって当然ですわ。私だって、大人になってから知ったことがたくさんありますもの」
「……それでもグレイスさんよりは詳しく知ってますから、何か分からない事があれば遠慮せずに聞いてくださいね!」
「……ええ、その時はよろしくお願いしますね?」
ベティとリサがニッコリと微笑みを交わし合う。
仲が良いのは良い事だ―――例えそれが表面上だけのものであったとしても。
「何をやってるんだいベティ! 料理ができてるんだから早く運んでおくれ!」
厨房の中からエイダが大声で叱りつけると、ベティはやっと本来の目的を思い出したようだった。
「そういえば注文を聞きに来たんだった……今日はどうしましょうか、グレイスさん」
「そうですわね……今日は鳥の気分なので主菜は鳥肉料理として、その他についてはお任せしますので適当に見繕ってくださいな。エイダさんなら私の好みもご存知でしょうし」
「了解です。料理の量は前の時と同じくらいで良いんですか?」
「ええ、それで結構です。それとベティちゃん、これからはグレイスではなくリサとお呼びくださいな。前に来た時は、事情があって本名ではなく母の名前を使っていましたの」
リサから唐突に偽名使用を告白されたベティが小首を傾げる。
偽名を使うといえば貴族か有名人、さもなければ犯罪者の類である。リサが商人であることは既にベティやエイダも知っていたので、その情報と偽名を使うという現状が上手く繋がらなかったのかもしれない。
「グレイスさんはリサさん? ……ハンナさんは?」
「ハンナの本名はハンナですわ」
ベティが首を斜めにしたまま、黙々と食事を摂っていたケンに質問を投げかける。
「グレイスさんじゃなくてリサさんだってこと、ケンは知ってたの?」
「ああ、実は前から知っていた」
「ふぅん、そうなんだ……まあいっか。じゃあリサさん、すぐ伯母さんに作ってもらうので少しだけ待っててくださいね」
「お願いしますわね」
「ベティ! 早くしないと料理が冷めちまうよ!」
「はーい!」
痺れを切らせた様子のエイダに慌てて返事を返しつつ、ベティは小走りに厨房の方へと戻っていった。
ベティを見送った後、こちらに向き直ったリサに対して先刻から気になっていた事を聞いてみる。
「リサさんが今ここに居るということは、やはりウェッバー商会のマッケイブ進出は実行されるということですか」
「ええ、もちろんです。市場としては申し分ない規模があることは自明でしたし、幸運なことにお膳立てを整えてくださる協力者も得られているんですもの。やらないなんて選択は最初からありませんでしたわ」
マッケイブは王国第二位の人口を誇る大都市であり、経済規模では王都やその他の商業都市を凌ぐ第一位である。
近隣に海も大河もなく、物流に船が使えないという不便な立地にあるマッケイブがどうしてそこまで発展したかと言えば「そこに四大迷宮の1つが存在しているから」の一言に尽きる。
都市部では生活の隅々にまで魔道具が入り込んでいることから、魔道具の動力源となる魔石は比較的高価な消耗品であるにも関わらず、需要は全く衰えを知らない。
その魔石を迷宮から持ち帰る探索者たちは一般人と比較すれば遥かに高収入であり、日常的に危険に晒されている反動からか享楽的な性質を持つものが過半を占めているため、入る金が多い分だけ出る金も多い。
巨大な迷宮とそこに群がる探索者たち、そしてその探索者相手の商売がマッケイブの中核を成している。
その巨大な市場はごく一部の大商会によって完全に独占されている状態であるため、どんなに美味そうに見えても外から手を伸ばすのは不可能に近かったのだが、ウェッバー商会に対しては三大盗賊ギルドの1つである【黒犬】が全面協力を約束している。
地歩を固めるまでに様々な困難はあるだろうが、決して無謀な挑戦ではない。
「それにしては、こっちに戻ってくるまでに結構な間が空いたようですが」
「商会がマッケイブに進出すること自体は、幹部会でも圧倒的多数ですぐに承認されたのですけれど……具体的な計画を立てる段階になって少しばかり紛糾してしまいまして」
「紛糾、ですか」
「ええ。私としては、最初から私自身が直接指揮を執るつもりで話を進めていたのですが、どうもそれでは嫌だと駄々をこねる方が複数いらっしゃいまして……これほどまでに重要な計画を、私が人任せにするはずがありませんのにね? 幹部の方々は少し前まで自分の商会を率いていた人ばかりなので、叶わぬ夢を見るのも理解できなくはありませんけれど」
王国東部にあるウェッバー商会の本拠地と西部にあるマッケイブのはかなり距離を隔てているため、何かをするのにいちいちお伺いを立てていては間に合うものも間に合わなくなってしまう。
<遠隔通話>の魔道具などを利用することで会話だけなら可能だが、こういった魔道具は定時連絡に使うためのものであって、長々と議論するために使うものではない。行動方針の指示くらいは可能だろうが、やはりその場にいなければ分からない事も多いだろう。
迅速に行動するためには責任者にかなりの権限を持たせる必要があるだろうし、自分が中心となってマッケイブ進出を成功させた暁には、逆にウェッバー商会を飲み込むことも夢ではないかもしれない。
それができるだけの才覚を持ち合わせているなら最初からウェッバー商会に飲み込まれていないだろう、なんて事は言わぬが花だ。
「なるほど。そのせいで計画の開始までに時間がかかってしまったと」
「いえ、そういった方々は私が最適任者であることを懇切丁寧に教えて差し上げたら、すぐに納得していただけたのですけれど……商会の頭領である父を説得するのに思いの外時間がかかってしまいましたの。まったく、いくつになっても子離れができない父で困ってしまいますわ」
「一人娘を手放したくない、という男親の気持ちも理解できなくはありませんがね……」
「私はもう子供ではなく大人なのですよ? そう遠くない未来には結婚をして、そうすれば私は父のものではなく旦那様のものになってしまいますのに」
いくつになっても親にとって子は子供のままだと云うし、ましてやリサはまだ16歳か17歳の若い少女なのだ。成人扱いされる年齢を過ぎているが、親としてはまだまだ手元に置いておきたいと思うのも無理は無い。
ケン自身は子供を持った経験がないが、例えばベティがあと4,5年後にどこかに嫁に行くことになったと仮定してみる。もちろん祝福するだろうが、夫となる人物に対して純粋に祝福の気持ちだけを抱けるかと考えてみると、全く自信がない。
「父親、か……」
自分の父、そして母であればどう思うのだろうかと考えてみて、両親の顔が朧げにしか思い浮かべられなくなっていた事に気付き、ケンは愕然とする。
はっきりと思い出せないのは両親だけではなく、この世界に来る直前まで毎日顔を合わせていた同僚や上司についても同様で、それどころか前の世界での自分の顔がどうだったかについてもあやふやになっている。
この世界に初めて鏡を見た時、前の世界での面影をがありつつも全く別人の顔が鏡の中にあったのに驚いたことは覚えているが、今はもうどこがどう違っていたのかさえ正確には思い出せない。
だが、それも仕方がない事だろう。
この世界に来てからもうすぐ6年が経つ。
全く同じ場所で暮らしていたとしても、6年もあれば様々な変化がある。住む場所が違っていれば、何もかもが変わっていたとしても全く不思議はないのだ。
今のケンは迷宮探索者のケンイチロウであり、日本人の鈴木健一郎は過去に見た物語の中の登場人物と大差がない存在でしかない。
ふと気が付くと、テーブルを挟んで正面に座っていたリサが失敗したとでも言いたげな、申し訳無さそうな表情でこちらを窺っていた。
ケンとしてはリサにそんな表情を向けられる理由に心当りがない。
「何か?」
「ええっと、その、ケンイチロウさんはご家族のことを……」
「ああ。いえ、そうではなく、ただ単に『もし自分に娘がいたらどう思うか』なんて下らない事を考えていただけですよ」
「そうだったんですの。私ったらてっきり……」
リサに対してはこの世界に来た時点で記憶喪失になったという態で、この世界における過去の記憶が無いことを既に明かしている。
リサが父という単語を出した後にケンが難しい顔で少し考えこんでいたせいで、家族のことを考えて落ち込んでしまったのだと思われたのかもしれない。
「そんなに気を使わなくても良いですよ。この数年で家族のように親しくしてくれる人もできましたし、これから先も少しずつそういう人を増やしていければと思っていますから」
「はい、私で宜しければ喜んで!」
「ん? ……ああ、そうですね。リサさんとは今後も色々とあるかもしれませんから、できるだけ仲良くやっていきましょう」
「仲良く……」
リサとは【黒犬】との関係もあるし、現在はケンの物となっている肉体の元々の持ち主についての情報や、今も生きているはずの肉体上の両親についての情報もいつか聞き出したい。
そういった話は抜きにしても、ウェッバー商会の実質的最高権力者であるリサとの関係を保っておくのには、様々なメリットが期待できる。
「グレイス、じゃなくてリサさん、お待たせしましたー。……顔が赤いですけど、何かあったんですか?」
頬に手を当てて身体をくねらせるリサを見るベティの眼は、氷のように冷めていた。
リサは基本的に理性的な女性だが、たまにこうやって突拍子もない行動を始める時がある。
「い、いいえ、別に何もありませんでしたのよ?」
「そうですか」
ベティが気のない返事をしながら、両手で持っていた料理を木製のお盆ごとリサの前に置く。
高級店では料理を頼むと前菜から順に一皿ずつ出されるものだが、大衆向け食堂である【花の妖精亭】ではこうやってまとめて出されるようになっている。
トレイごと料理を出すのは日本の食堂やファミリーレストランを参考にしたケンのアイディアで、マナー的に宜しくないとエイダは渋っていたが、料理の運搬やテーブル掃除の労力が格段に減ると分かってからはその魅力に抗いきれなかったようだ。
「では、ごゆっくりどうぞ……じゃなくて、忘れるところでした。リサさん、今日は【花の妖精亭】に泊まるんですか? 部屋は空いてるので、泊まるんだったらこれから急いで準備しますけど」
「いいえ、もうこの町で住む家は用意してありますのでご心配なく。後ほど場所をお教えしますので、ベティちゃんも暇な時にでも遊びにいらしてくださいね」
「そうなんですかー。じゃあ、今度遊びに行かせてもらいますね!」
「ええ、お茶とお菓子を用意してお待ちしていますわ。その時はベティちゃんのお友達もご一緒に―――」
「本当ですか! それじゃあ近所の―――」
再び盛り上がった世間話は、やはり厨房からエイダの叱り声が響くまで続いた。
ケンはとっくに食事を終えていたが、同じ席に着いた女性を1人だけで残すのも失礼かと思ったので、お茶を飲みながら会話に興じる。
周囲に居る常連客の親父と違い、洗練された所作で料理を食べるリサは少しだけ目立っている。目立っているのはなにも立ち居振る舞いだけが原因ではないのだが。
「ごちそうさまでした。相変わらずエイダさんの料理は素晴らしいですわね」
「ええ。この町で一番とまでは言いませんが、この価格でここまでの料理を出す店は他に無いでしょう」
「我が家のコックになってもらえませんかしら」
「どうでしょうね。今までエイダさんを見てきた限り、この店を離れるつもりはないようですが」
【花の妖精亭】の先代は、若くして亡くなった亡くなったエイダの夫だと聞いている。それから十数年切り盛りしてきた店をそう簡単に手放しはしないだろう。
リサにエイダの事について色々と聞かれたが、ケンが知っていることはあまり多くはない。
特に、何時どこであれだけの料理の腕前を身に付けたのかについては、古参の常連客の中にすら知る者がいない大きな謎だ。
「ところで、ケンイチロウさん。近日中にお暇はありませんか?」
「リサさんも御存知の通り、私は勤め人ではありませんので暇を作ろうと思えば作れますが、どんなご用件でしょうか」
「本日こちらを訪問したのは、最初に言ったとおりエイダさんやベティちゃんへの挨拶が主な目的だったのですけれど、実はケンイチロウさんに依頼したい件がございまして」
「どういった内容でしょう」
「私のお店に並べる商品について、ケンイチロウさんに助言を頂けないかと。マッケイブで商売をするにあたって、もちろん探索者さん向け商品も扱うつもりなのですが、生憎なこと地元から連れて来た店の人間は誰も知識がありませんので……となると、やはり現役の方に聞くのが確実ではないかと」
迷宮探索者という職業が存在するのは、王国国内では実質的にマッケイブだけである。
王国内にはマッケイブにある迷宮以外にも小規模な迷宮がいくつか存在しているが、近くに有名所が存在しているのにわざわざ無名な所に行く物好きは少ない。
その迷宮の地元に住む農民などが農閑期に潜ることはあるようだが。
「なるほど。そういう話であれば、微力ながら協力させていただきましょう」
「有難うございます。ケンイチロウさんが協力してくださるなら百人力ですわ」
「ただ、明日、明後日と仕事の関係で人と会う約束をしているので、早くても3日後になってしまうと思いますが……」
「実際に店を開けるまでにはあと一月ほど準備期間ありますので、それでも全く問題ありませんわ。従業員一同お待ちしております」




