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迷宮探索者の日常  作者: 飼育員B
第四章 メイド少女アリサ
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第46話 アリサの迷宮初探索

 アリサ用の迷宮探索装備が全て揃うまでにかかった時間は約3週間。その間に行われた彼女の訓練は概ね順調に進んでいた。


 アリサは真面目で物覚えが良く、身体能力が高い。

 身体の使い方についてならば、何度かやり方を教えて後で反復練習をするように言い付けておくだけで、次に会った時にはだいたいできるようになっている。

 武器を使った近接戦闘については特に優秀で、武器の扱い方を身に付けていくというよりも、一時的に忘れていた事を思い出しているだけなのではないかと思えるほどの上達ぶりだった。

 正面から一対一という条件であれば、アリサの腕前はもうケンを上回っている。ケンが様々な手管を駆使することによって訓練中の対戦成績はまだなんとか五分を保てているが、それも今のうちだけだろう。

 訓練で上手くできるかどうかと、それを実戦で成功させられるかどうかは別の話になってくるが、アリサならば緊張で身体が動かないなんてことにはならないはずなので、それについてはあまり心配していない。


 だが、全く進歩が見られない分野も有る。

 性格が素直すぎるせいで交渉事はあまり上手くないし、相変わらず演技力は壊滅的だった。

 交渉事については誠実な方が上手くいく相手や場面もあるし、他人との駆け引きが必要ならケンが引き受ければ良いだけなのであまり問題にはならないが、演技が全くできない事はケンの頭痛の種となっている。

 最初の目標が「迷宮上層を通り抜けて第一<転移>門から地上に戻ること」となっているのだが、地上に戻った時に迷宮管理局が発行する登録証を所持していなければ、登録証の発行のために個人情報の聴取が行われる。

 ケンも一度だけそれを体験しているが、殺人事件の容疑者を尋問するときですらここまでしないのではないかと思えるくらいに執拗な、何もかもを明らかにしようという執念に満ちていた。

 アリサの正体については関係者以外に秘密にしておきたいので、問われるままに明かされてしまっては困るのだ。

 一応、対策については考えてあるので、それが上手く行くことを願っておこう。




 ともあれ、今日はアリサが迷宮探索者として初めての活動を行う日である。


 ケンが1人で迷宮上層に潜る場合、いつも朝の鐘が鳴る(午前6時になる)しばらく前から迷宮入口前広場で待機し、朝の鐘が鳴ってからすぐに迷宮に入るようにしている。

 そうした方が1日目の活動時間を長く取れるという理由もあるし、同時に迷宮に入る他の探索者たちと途中まで行動を共にすることで、モンスターの襲撃からの安全を確保できるからだ。

 しかし、アリサを連れている今回は、朝の鐘が鳴り終えた後に迷宮入口前に到着するように行動している。

 その時間帯がおそらく最も迷宮入口前にいる人数が少ないと思われるからで、女探索者というだけで目立ってしまうアリサの存在があまり目撃されずに済むだろう。


 ケンがいつも通りの時間に商業地区にある【花の妖精亭】を出発し、そのまま迷宮に向かうのではなくダニエル邸の前で待っているアリサと合流する。それから迷宮に向かうことで丁度いいくらいの時間になるだろう。

 夜のうちに積もっていた新しい雪の上を、サクサクと音を立てて踏みしめながら2人で並んで歩く。日の出までには少し時間があるので、まだ周囲は薄暗い。

 常人よりもかなり夜目が効く上に凍った道を歩き慣れているケンの方は、この状況でも乾いた石畳の上を歩くのと特に変わりない歩調だが、まだ慣れていないアリサの方は比較的ゆっくりとした慎重に歩いている。

 彼女が普段よりもゆっくり歩いているのは、いつも着ているメイド服の上から防具と頭の天辺から足首までを覆うフード付きローブを着ているせいで、足元が見えづらいせいでもあるのだろう。

 周囲に人影が無い今のうちは頭巾(フード)まできっちりと被らなくても良いのだが。



 あまり他人にアリサが会話している場面を見せたくないので、周囲に人が居ない今のうちに本日の予定を確認しておこうと思い、声をかける。

「ああ、アリサ。今日の事について、念の為に確認しておきたい」

「は、キャッ! ……はい、旦那様」

「大丈夫か?」

 勢い良く振り向こうとしたアリサが一瞬だけ足を滑らせるが、何とか転ばずに立て直す。フードの影になっている彼女の表情は見えないが、きっとはにかんでいるのだろう。

「これから、アリサは初めて迷宮探索をする訳だが……準備は大丈夫か?」

「はい、旦那様。買って頂いた装備や道具、水と食料5日分の準備は抜かりありません」

「うん。予備の分や今後の事も考えて水と食料は多めに用意しているけれど、今日はまだそれほど奥には進まない。午前中はモンスターとの戦闘もしつつ奥に進んで、昼食休憩を取ったら帰り始める。途中で問題が起きなければ夕の鐘が鳴る(午後6時になる)頃には迷宮の外に出られるように行動しよう」

「はい、承知しております」

 現在の予定では、3回ほど日帰りで迷宮上層の浅い部分を探索することでアリサの適性を見た後、ケンが問題無いと判断すれば一気に上層を突破してしまうことになっている。

 ケンとアリサの2人組であれば、これから今すぐに第一<転移>門を目指して進んでも突破できてしまうのかもしれないが、初めてやることにはどんな落とし穴が隠れているか判らないものだし、誰かと競争しているわけでもないのだからそこまで無茶をする必要はない。

 一般的な尺度からすれば1ヶ月未満で中層到達という時点でかなり無茶な行為なのだが、ケンにとっては過去に何十回と往復した道を通る時の同行者が1人増えるだけでしか無いし、同行者のアリサは普通の少女ではないから無茶の範疇には入らない。


 その後も細々とした注意事項を確認しながら歩いていると、すぐに迷宮入口が見えてきた。

「それじゃ、これ以降はしばらく喋らないでいてくれ。必要な対応は全てこっちでやるから」

「はい、承知しました」

 アリサがきっちりとフードを被っているのを確認してから、迷宮入口前に設けられている広場の中に入る。

 事前に予想していたとおり朝一で迷宮に入る探索者たちは既に出発済みのようで、今は丸々と着膨れた中年の徴税官が1人と、制服姿で寒そうに震えている警備員が2人だけしか居ないようだった。

「お早うございます」

「お早うございます。迷宮に入る方からは入場税を頂戴しております」

「はい。ここに2人分あります」

「はい……2名様分、ぴったり頂きました。では、お気をつけて」

 定形の挨拶を交わしながらケンが2人分の入場税をまとめて支払い、迷宮入口に向かう。

 徴税官と警備員の3人は、フードを目深に被って顔を隠しているアリサに興味を引かれたようだったが、特に何も言ってこなかった。

 入場税さえ支払うなら、相手が転んだだけで天に召されてしまいそうな老人でも生まれたての赤ん坊でも迷宮に入るのを止めてはいけないし、この国の王族でも稀代の大悪党でも個別の事情を詮索しないというのがここのルールなのだから当然ではあるが。

 ただし、彼らが興味を持つことや後で噂話をすることについては止めようがないので、今後のことを考えてアリサには「無口で正体不明な女」として振る舞ってもらうようにしている。


 迷宮の中に入ってしばらく歩く。

 外にいる人たちからは姿を見られず、話し声も届かないくらいまで奥に行ってからアリサがローブを脱いで<暗視>ゴーグルをかけた。

「では、行くとしよう」

「はい!」

 ケンがここまで点けていた<持続光>の明かりを消したのを合図として、アリサの迷宮初探索が始まった。




 明かりのない真っ暗な迷宮の中をケンとアリサの2人が進んでいく。

 足場に問題がない場所で歩くことだけに専念できるならば、今はアリサも完全に足音を立てずに歩けるようになっている。

 別の事に気を取られたり進む速度を上げたりするとすぐに足音を立ててしまうが、訓練期間の短さを考えればこれでも大したものだろう。人間では無いとは言え、数年の鍛錬にたった1ヶ月で追いつかれてしまってはケンの立場がない。


 アリサには忍び足でケンの後ろを付いてくる事だけに専念させておき、モンスターやごく少数だけ存在する迷宮の罠に対する警戒は3メートルだけ先行するケンが担当する。

 現在は探索者たちの間で"順路"と呼ばれる比較的広い通路を歩いているが、朝一で迷宮に入る探索者集団が通り過ぎてからあまり時間が経っていないせいで、進行方向には全くモンスターが存在しないようだ。

 アリサの初戦闘の相手を見つけるために横道の先にも注意を払いながら進んでいくと、30分程度で手頃そうなモンスターの気配を捉えた。ギャアギャアと喚くような声が微かに聞こえてくる。

 数十秒待ってみても気配までの距離が近づきも遠ざかりもしなかったので、休憩でもしているのだろうと予測できる。

(右方向の中距離。小鬼人(ゴブリン)が3から4匹)

 小声で話していればモンスターがいる場所までは届かないだろうが、訓練も兼ねているのであえて言葉は発せずに手信号(ハンドサイン)でモンスターの存在をアリサに伝える。

((クロスボウ)で1匹を残して始末する。合図をしたら突っ込め)

(了解です!)


 背嚢を地面に下ろし、武器だけを持って気配を感じる方に向かう。

 数十メートル進んだところで、松明の灯りに照らされた3匹のゴブリンが車座になって座っているのを発見した。普通のゴブリンには見張りを立てるほどの知能がないので、周囲に対しては全く注意を払っていない。

 ケンがクロスボウを確実に命中させられる距離にまで忍び寄っても、ゴブリンどもは全くこちらの存在に気付いた様子がなく、無警戒の馬鹿面を晒したままだった。

 太矢(ボルト)を装填済みにしてあったクロスボウを構え、ゆっくりと狙いを定める。まず狙うのは、ケンから最も遠い位置に座っている松明持ちのゴブリンだ。

 どういう原理かは全く分からないのだが、迷宮の中で暗視能力がない人間型のモンスターが湧いた場合、群れの中に松明などの明かりを持った個体が必ず1匹以上は含まれようになっているらしい。

 ケンの第一射は狙い通り顔の真ん中に命中し、その一撃だけでゴブリンはあっけなく絶命した。ゴブリンの死体は空中に溶けこむように分解されていき、後には小さな魔石だけが残る。

 モンスターが死んだ場合はその装備品も含めて全部消えてしまうので、唯一の光源だった松明もその場から消え去ってしまう。つまり、周囲は完全な暗闇になった。

 唐突に暗闇に放り込まれて混乱し、ギャアギャアと喚くだけで何もできないゴブリンを横目に見ながらクロスボウを再装填し、残った2匹のうち向かって右側に狙いを定める。

 胴体を狙って放たれた第二射は服も着ていないゴブリンの貧相な腹に命中し、衝撃で倒れたゴブリンが地面の上でのたうち回る。


 まともに動ける敵が1匹だけになったところで、ついにアリサの出番だ。

「行け」

「はいっ!」

 ケンの声を合図に、出番を待ちかねていたアリサが鎚矛(メイス)を構えて猛然と突進していく。

 話し声とアリサの足音でやっと敵の存在を知ったゴブリンが、粗末な木の棍棒を慌てて構える。しかし、暗闇のせいで敵がいる方向すら把握できていないのか、明後日の方向に武器を向けている。

「やっ!」

 ゴブリンの左手側に回り込んだアリサ敵の頭頂部めがけてメイスを振り下ろす。避けることすらできないゴブリンはまともにその一撃をくらって一瞬で絶命した。

 まだ地面の上を転がりまわっていたゴブリンにアリサが止めを刺し、アリサの初戦闘は特に盛り上がりもなく終了となった。


「簡単すぎて何の訓練にもならないな」

「そうですねえ」

 アリサが拾った魔石3個と太矢(ボルト)2本を受け取りながら、今後の計画を考える。

 普通の探索であれば先ほどの戦闘の流れで何も問題ないのだが、今回はアリサの実力確認と習熟も兼ねているのだから、一方的に殺戮してもあまり意味が無い。

 アリサはモンスターを斃す事に対して全く拒否感を持っていない、と分かったのが唯一の収穫だろう。

「視界を完全に奪ってしまったのが悪かったかな。次にゴブリンが出てきた時は同じように1匹だけ残すから、正面から戦ってもらうとしようか」

「はい、承知しました旦那様」



 その後十数分ほど進んだところで次のゴブリンの群れを発見し、襲撃を行った。

 同じように3匹の群れだったので、松明を持っていない1匹だけをクロスボウで始末してから残りの2匹を迎え打った。ケンが1匹を引き受け、もう1匹とアリサが対峙する。

 そして分かったのは、ただのゴブリンが1匹だけでは目が見えていようと見えていまいと大差がないという事実であった。

 ゴブリンが振るう木の棍棒をアリサが軽々と躱し、体勢を崩したゴブリンに対してアリサがメイスの一撃を加えるだけで、いとも簡単に斃せてしまう。

 アリサにはゴブリン2匹を同時に相手取らせてみても全く危なげ無かった。ケンが教えたように2匹から同時に攻撃されないような位置取りを行い、手早く片方を始末してしまえば後は一対一と全く違いがない。

 迷宮の外では倒したモンスターの死体は分解されずに残るのでそれに躓いたり、流れ出した血などの体液を踏んで足を滑らせたりしないように注意する必要があるが、迷宮産のモンスターは死体がすぐに分解されてしまうので残っても数秒だけだ。

 そのあたりの立ち回りが必要になるかは分からないが、念のため後で教えておくことにする。


 意外にも、洞窟狼を相手にした時は多少苦戦していた。

 ずっと訓練相手をしていたケンやゴブリンなどの武器を持った人間型と、四足獣である洞窟狼では攻撃の間合いや出所が全く違っていたせいで戸惑っていた、というのが苦戦した原因のようだ。

 一度だけ躱しきれずにふくらはぎの辺りに噛み付かれていたが、メイド服のスカートの上からだったので負傷せずに済んだようだ。

 噛み付いたせいで狼の動きが止まったところにメイスを叩き込み、たまらず口を離したところに追撃を叩き込んで洞窟狼を斃す。

「動物型モンスターへの対応は今後の課題だな。洞窟狼はそこまで強くないから怪我をしなくて済んだが、中層ではもっと強いのも出てくるからな」

「はい……申し訳ございません、旦那様」

「いや、こっちも対策を教えるのを忘れていたんだし、謝られるような事じゃない。アリサは期待以上にやってくれているよ」

「そう言って頂けると、とても嬉しいです!」

 大きな問題にはならなかったのだし、早めに問題点が分かったのは良かっただろう。アリサならば対応方法を身につけるのにそれほど時間はかからないはずだ。


 動物型ということで洞窟コウモリの群れとも戦ってみたが、無防備な幼児ぐらいしか殺せないモンスターが相手では苦戦しようがなかった。

 アリサがメイスを1回振る毎に洞窟コウモリは1匹ずつ数を減らしていき、群れの半数が倒されたところで群れは逃亡していった。意外と移動速度が早いし、倒しても魔石の価値が低いので追撃はしない。



 その後も数回モンスターの群れと戦闘を行い、全て怪我もなく全滅させたところで正午となった。

 モンスターを遠ざける特殊能力を持つ安眠草(スリーピング・グラス)がそれほど遠くない場所にあったので、そこまで行ってから昼食休憩にすることにする。幸いなことに、先客はいなかった。

 いつもなら塩の味しかしない干し肉を薄く削いで噛み、堅パンを革臭い水でふやかして流しこむだけという楽しみも何もない時間だが、今回はアリサの手料理を食べる時間である。

 アリサは鍋と<加熱>の魔道具を使って湯を沸かし、干し肉と乾燥野菜と香辛料を入れてスープを作っていた。今日は最初から日帰りの予定だったので、堅パンではなく普通のパンを持ち込んできたようだ。

「如何でしょうか、旦那様?」

「うん……美味いな。ありがとう、アリサ」

「ふふっ、結構自信があったんですよ」

 今まで、迷宮の中で食べていたのは単なる()でしかなかったが、アリサと組んで行動する時はまともな食事(・・)が摂れるだろう。

 有難いことである。


 少々食べ過ぎてしまったので、長めの休憩を取ることにする。

 食後にはざっと洗った鍋で湯を沸かし、お茶を淹れた。これからすぐに帰るのだし、モンスターから多数の魔石を拾っているのだから水も<加熱>の魔道具に使う魔石もそれほど節約する必要はない。

 黒砂糖の欠片を安眠草に放り投げてやりながら、ゆっくりと時間をかけてお茶を飲む。アリサはいつものように黙ってニコニコとしながら、そんなケンの行動を見守っていた。



「じゃあ、そろそろ帰るとしようか」

 適当な時間だけ休憩した後、そろそろ帰ろうかと立ち上がったところでケンはアリサの様子に気が付いた。

 顔はケンの方を向いているが、目はただ開いているだけで焦点が合っておらず、何も映していない。

「アリサ……? 大丈夫か、アリサ」

 呼びかけながら軽く頬を叩いてやる、とすぐにアリサは復旧したようだ。

「……はっ、申し訳ありません旦那様! ちょっとだけ、ぼーっとしてしまいました」

「疲れて駄目そうだったら早く言ってくれよ? 怒ったりはしないからな」

「いえっ、大丈夫ですし元気です! そんなに疲れてはいません」

「……そうか。それなら良い」

 アリサがこんな状態になったのは実は初めてではない。地上での訓練中、何度か似たような状態のアリサを見かけた事がある。

 決まって模擬戦などの激しい運動をした後の休憩中だったので、恐らく疲れたのだろうと思って放っておいたし、声をかければすぐに元通りの元気な様子になるのであまり気にしてはいなかった。

 元気に見えても初めての状況で疲れているのだろうか、とケンは思う。帰りの道中では戦闘を控え、こまめに休憩を取ることで対応すると決めた。


 帰りの道中で特筆すべき出来事は何も無かった。

 横道にいるモンスターの群れは出来る限り回避して進み、避けきれず戦闘になってもあっさりと殲滅できてしまうので、予定していた夕の鐘が鳴る(午後6時になる)よりも大分早く地上まで戻ってくることができた。

 迷宮の中から出る前にローブをアリサに着させるのは忘れない。外に出た後はまた無口で謎の女をしておいてもらわなければならないのだ。


「ここまで来ればもうモンスターの心配はない。外に出た後、俺の方は迷宮管理局で魔石の処理をしなくちゃならないから、アリサは先に帰ってくれて良い。どのくらい時間がかかるか判らないからな」

「いいえ、お待ちしています」

「いいや、ジェマさんが心配して待ってるだろうし、別にアリサが居なくても問題ないんだから先に帰っておいてくれ……命令だぞ? 帰ったら今日使った道具の手入れをして、疲れてるだろうから今日は早めに休むようにな」

「はい、承知しました」



 こうして、特に大きな問題もなくアリサの迷宮初探索は終わった。

 あと2,3回日帰り探索をすれば、迷宮上層の突破を目指しても大丈夫だろう。

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