第29話 変化する日常
ハンナとの再会から1週間が経過した。
あれから2回、つまり2日間は迷宮入口から探索者パーティを尾行して遊んでみたが、最初に尾行した新人パーティが並外れて有能だったと判明しただけに終わった。
最初に"順路"から外れるパーティを尾行しているので実力的に劣るのが当然ではあるが、それを割引いて考えても酷い。
2回目に尾行したパーティについても酷いと感じたが、その次を考えればそれでもまだマシな方だった。
3回目のパーティについては、これより酷いパーティは世界中のどこを探しても見つけられないのではないか、と言っても誇大表現ではないくらいに酷すぎた。
パーティに偵察者が含まれていないのは、仕方がない。
上層のそれも序盤のうちはほとんど偵察の必要なんて無いし、隠密行動をしようと思えば必然的に軽装になってしまうのでパーティの戦闘能力そのものが多少は落ちる。
将来的に必要になってくると言っても、今を乗り越えられるかどうも分からないのに将来など考えようがない。
差し引きで欠点の方が大きいと判断されれば、その要素が削られるのはごく当然の成り行きだ。
その役割を専門的に担う人間がパーティの中に存在しないなら、メンバー全員が分担してその役割を埋めるのが"普通"だと思うが―――そいつらは周囲を警戒するどころか、大声で益体もない雑談に興じていた。
上位種でもないただの小鬼人から先制攻撃をかけられる大馬鹿がこの世に存在するなんて、それを目の当たりにするまで想像すらしていなかった。
ゴブリンは足音を忍ばせるどころか常にギャアギャアと騒がしい声を上げ続けているモンスターなので、普通の探索者にとっては数の多さ以外は特に注意すべき事も無いはずなのだが。
そいつらの頭がゴブリン以下だったとしても、流石に体格と装備は優っているだけあって同数のゴブリンならば何とか勝てるようだった。奇襲をかけられたと言っても、相手は訓練も受けていないゴブリンなので当たり前の話だが。
ここで懲りて引き返すなり、せめて大声で雑談するのを控えるならまだ救いがあったが、全員がゴブリン未満の知能しか持っていないという類稀さを持ち合わせていたそのパーティは当然のように探索を続行した。
ここまで酷いと逆に興味が出てきてしまい、怖いもの見たさもあってケンはそいつらの追跡を続ける事に決めた。
それ以降は流石にゴブリンから奇襲をかけられる事もなく、順調とは言い難いが大きな問題は起こらずに探索を続けていった。
そして、運命の時は訪れる。
彼らの進む先に、洞窟内なのに明るく照らされたモンスター部屋が現れたのだ。
そいつらは背中の荷物を下ろし、円陣を組んで大声で気合を入れてから意気揚々とモンスター部屋に乗り込んでいき、全滅した。
突入から数分後には中から漏れてくる気合の喚き声が聞こえなくなったのでもしやとは思ったが、約30分が経過しても荷物を取りに戻ってくる様子が無かったので慎重にモンスター部屋の中を見通せる場所まで忍び寄ると、パーティメンバー全員の死体が部屋の入口から少し先の地面に転がっているのが見えた。
一応そいつらが部屋の中に居たモンスターを何匹かは倒したのか、部屋の中にはゴブリン・ファイターとゴブリン・アーチャーが1匹ずつしか残っていなかった。
多少の手傷を負っていた2匹は両方とも探索者達の死体を打擲するのに夢中になっており、こちらには全く気付いている様子がない。
ケンは荷物の中にいつものように弩を入れていた事を思い出し、実験を兼ねて通路から部屋の中を狙撃してみることにした。
モンスター部屋は天井や壁が何故か発光しているので明るく、通路は光源が無いので暗い。
従って、暗い通路に潜むケンから部屋の中に居るゴブリンはよく見えるが、ゴブリンからケンは全くと言って良い程見えない。
念のため退路の確認をしてから、まずはゴブリン・アーチャーから先に狙撃する。先制攻撃の一射は狙い過たずアーチャーの頭部に命中し、その一撃で斃す事ができた。
何が起きたか分からず混乱して棒立ちのまま辺りを見回しているゴブリン・ファイターを眺めながら矢の装填を行い、じっくりと狙いを定めてからの第二射はファイターの腹部に命中した。
そこまでくれば如何に頭が鈍いゴブリンでも通路に潜む何者かの攻撃である事には気付く。
怒りの表情を浮かべながらケンが潜む通路に向かって突進し、真っ暗闇で何も見えない事に気付いてまごついた所で足に矢を受けて転倒してしまう。そして、そのまま二度と立ち上がる事無く、鎚矛に頭を潰されて命を散らした。
本当は遠距離攻撃が可能なアーチャーを始末した後、ケンの存在に気づいたファイターがどの程度まで部屋から離れても追ってくるかの実験もしたかったのだが、安全に仕留められるならそれに越したことはない。
モンスター部屋の中に転がっていた魔石を回収し、探索者の慣例に従って全滅したパーティの荷物を探って魔石や財布を頂戴する。
曲がりなりにも中層で活動している探索者であるケンにとっては物足りないくらいの稼ぎでしかないが、今いる場所が迷宮入り口から数時間しか離れていない場所だと考えれば十分過ぎる金額になった。
毎回これだけ稼げるとすれば、迷宮に入ってモンスターではなく探索者を専門に狙う外道が存在するのも無理はない。
その昔、誰かから新人探索者のうち3割から4割は1ヶ月以内に姿を消し、1年後に残っているのは1割に満たないという話を聞いて随分大げさに言っているのだと思っていたが、今なら何の疑問も無く納得できる。
1つの疑問が解消されて視野が広がったことを一応の収穫として、これ以上は何か得ることができるとも思えない探索者の尾行訓練は切り上げた。
上層序盤の探索者は碌に周囲の警戒もしていないので訓練と呼べる程でも無かったが、最初から迷宮内部で行動するための勘を取り戻す事が目的だったのだし、それは十分果たせたと思いたい。
その後は迷宮の中に入るのを1日置きにして、迷宮に入らない日は様々な訓練をしたり魔道具店の【バロウズ】を筆頭に懇意にしている店を訪ねて探索の役に立つ道具を探したりして過ごした。
最近使用する機会が多いクロスボウについては、時間がある限り狙撃の訓練を行うようにしている。
狭くて曲がりくねった通路ばかりの迷宮上層では長距離射撃武器など使い物にならないと端から決めつけていたが、<暗視>ゴーグルのおかげでほぼ確実に先手を取れるケンにとっては、選択肢を増やすことのできる素晴らしい道具である事が最近解ってきた。
その他にも、迷宮中層を見越して町の外で活動する狩人や冒険者に野外での活動のコツや罠の仕掛け方といった技術を学び始めている。
以前から考えだけはあったが、教師となる人材に伝手がなかったので保留になっていた事だ。
大規模討伐の時に知り合った現役冒険者に実地で訓練を付けてもらうと高く付くので、引退して暇を持て余している人物を紹介してもらい、そちらに訓練してもらっている。
彼らは迷宮探索者とは違って技術そのものまで秘匿するという意識がごく薄いので、好物や酒を手土産に持って行った上で力仕事を引き受ける程度でいくらでも教えてくれた。
昔話が始まると長いのが玉に瑕だが、それも修行の一環だと思えばそれ程苦にならない。
ここ最近、迷宮の外で訓練をしている日は当然だが、迷宮の中に行く日も日帰りにしている。
これはいつお嬢様がやって来てもすぐに動けるようにと考えての事だが、最近は夕方になって【花の妖精亭】に戻る時に酷く気が重くなる。
前の世界に居た時に帰宅拒否症にかかる世の中の旦那様方について疑問を持っていたが、今はそれも無理がないと思うようになった。
新人探索者の死傷率についてもそうだが、"百聞は一見に如かず"と諺にもあるように自分が体験してみないと中々解らない事が世の中にはいくらでもあると強く思い知らされた1週間だった。
1週間前にハンナから「逃げても無駄」と釘を刺されたが、なかなか鋭く先を見通していた事に今更ながら気付く。
一時的に逃げる事は出来ても、逃げ続けるための場所も資金も当てがないケンには最初からその選択肢は選べないので、無駄と言えば無駄な釘だったが。
今日も、町の中に響く夕の鐘の音を聞いて訓練を切り上げたケンが【花の妖精亭】の近くまで辿り着いた。
すぐには中に入らず、建物の周りを一周する。今日も馬車が乗り付けられていたり、常連客が店に入らず入口を遠巻きにしていたりはしないようだ。
街中を歩く時には不十分だったと言っても、一応は一般人に見えるように格好を取り繕う事ができるグレイスお嬢様だ。
わざわざ正体を喧伝するような豪勢な馬車で乗り付けたり、他の客が入り辛くなるような行動をしたりするなんて思っていないが、これは最早覚悟を決めるための儀式に近い。
ケンは知らないのだが、マッケイブの街中で大通り以外に馬を走らせる場合、搭乗者が爵位持ちの貴族本人であるか事前にかなり面倒な手続きを踏んで許可を受ける必要がある。
だからお嬢様が馬車で直接乗り付ける事は無いので、全く見当外れの心配である。
結局【花の妖精亭】の周りを5周もした所でやっと覚悟を決め、裏口から店に入った。
「た、ただいま…」
「おかえりー」
小声で帰宅の挨拶をするケンの前を、食堂から皿を回収して厨房に戻る最中のベティが通りがかった。ここでエイダやベティから特に何も言われなければ、今日も無事乗り切ったのだと安心できる。
果たしてベティは普段通りの挨拶以外は何も口にせず、厨房の中に入って行った。と思ったが、皿を置いてからひょこりと顔だけを廊下に出してケンに話しかけてきた。
「あっ、そうだ。ケンの部屋なんだけどさ、悪いんだけど今日から真ん中のトコにしてくれって伯母さんが言ってるんだけど、大丈夫?」
「エイダさんが? 別に構わないけど、どうしてだ」
「えっとね、奥の2部屋をながとうりゅう? のお客さんに使ってもらうからだって」
嫌な予感がする。マッケイブは探索者でもなければ長居するような場所ではないし、探索者ならば普通はそんなに長期に渡って連泊しない。
「俺もかなり長期だと思うが……長逗留ってどのくらいだ?」
「とりあえずは1ヶ月って言ってた。ケンはそのうちにまた何日か続けて迷宮に入るようになるでしょ?」
とても嫌な予感がする。自分でも声が震えているのが分かる。
「ふ、ふーん、珍しいな。この町で探索者でも始めるのかな」
「何をやってる人かは知らないけど、探索者じゃないと思うよー。2人とも女の人で、1人はすっごい美人だったんだよー!」
もう悪い予感しか感じられない。いや、ただ美人というだけならこの世にいくらでも存在するのだから、全くの別人という可能性もある。
「もう1人はなんか、どんな人か全然よく分からないんだよね……私、一回見た人の事はだいたい覚えてる自信があるんだけど、ベンさん家のお爺ちゃんみたいにボケちゃったのかな」
ケンが抱いていた予感は確信に変わった。もう何も言うまい。
「ベティ! 出来たから運んどくれ!」
「はーい! じゃあケン、鍵はいつものトコで元の部屋にあった荷物はもう運んであるからね!」
エイダからの催促を受けたベティが厨房の中に姿を消す。
ケンもこのまま【花の妖精亭】の外に消えてしまいたいが、逃げるにしても一度部屋に行って荷物を取ってこなくてはいけないし、逃げ出したところでどこにも行き場はないと自分自身に散々言い聞かせたはずだ。
置き場所から指定された部屋の鍵を取り出し、重い足を何とか動かして階段を上がる。ケンは普段からあまり物音を立てずに行動する癖が付いているが、今の彼は普段の倍は静かに行動している。
普段の5倍は時間をかけて部屋の前まで辿り着き、慎重に鍵を開けた。カチャリと響く鍵の音に罵り声を上げそうになったが何とか堪える。
だがそんな努力も虚しく、彼が帰ってくるのを扉の前で待っていたかのように―――実際待っていたのだろうが―――隣室の扉が開き、中から一人の女性が顔を出す。
「あ、お隣さんですか?! 初めまして、私はハンナと言います。これからしばらくこちらに滞在しますので、ご挨拶をさせてください」
予想通りに顔見知りの女性、グレイスお嬢様の付き人であるハンナが現れた。今日は太い三つ編みを真っ青なリボンでまとめている。
ケンがハンナを識別できることを彼女自身も知っているはずなのに、何故か初対面の人間に対する挨拶である。
その事を不審に思っていると、ハンナが一度背後を振り返って廊下の一番奥にある扉が完全に閉じていることを確認してから、静かにケンとの距離を詰めて囁き声で懇願してきた。
(この前会った時の話なんですけど、お嬢様には私の正体がバレてない事になってるので、お願いですから話を合わせてください!)
切羽詰まった表情で懇願するハンナに対し、なんとなく負い目を感じているケンは肯定の頷きを返す以外に選択肢がない。負い目を感じる様な事は一切無い筈なのに不思議なことだ。
「初めまして、ケンイチロウです。ここの宿は私もよく使いますので、これから何度か顔を合わせるかもしれませんね」
「そうなんですか! この辺りは初めてなので、良かったらオススメのお店とか教えて貰えませんか?」
「女性好みの店は残念ながら詳しくはありませんが、それでも良ければ」
ほっとした様子のハンナが挨拶が済んだ後も何とか話を続けようとする素振りを見せていたので、雑談に付き合う。
会話の所々で若干不自然に声が大きくなるのは、おそらく奥の部屋にいるもう一人に対して合図を送っているのだろう。
数分後、意を決したように勢い良く扉が開き、一人の少女が飛び出してきた。言わずと知れたグレイスお嬢様である。
「もう、さっきっから騒々しいですよハンナさん。……あら」
手入れが行き届いた髪は相変わらずだが、ケンの意見を容れたのか着ている物が庶民的な既製服に変わっていた。やはり、完全に着用者の体型に合わせられている仕立て服と、部分的にだぶついている既製服では受ける印象が違う。
吊り目がちだが整っている容姿も以前のままだが、前回とは違って全く化粧っ気がないせいで少し幼く見える。女性にしては高い身長と棒きれのような細い体つきのせいもあって、男物の服を着ていれば声変わり前の美少年だと言っても通じてしまいそうだ。
グレイスは出てくるなり動きを止めて、穴が空くほどにケンの顔を見つめ続けている。
以前のように精神的な不安定さを感じさせる視線ではなく、ケンを通して何か懐かしい物を見ているような視線だったが、どちらにせよ凝視された側の居心地はあまり良いものではない。
「あの……何か?」
まずはグレイス側の動きを確認したかったのだが、このままではいつまでも動きがなさそうだったのでケンの方から当たり障りないように声をかける。
「い、いいえ、行方知れずの知人にとてもそっくりな方が、また突然目の前に現れたので驚いてしまいました……その人がここに居る訳がないんですけれど」
「ああ! 貴女はこの前の!」
ひとまず、収穫祭の始まる前日に出会った事については「無かった事」ではなく実際に起ったことで、そこからの続きという事にしたいのだと判断して話を合わせておく。
多少棒読み気味の台詞になってしまったが、グレイスは全く気にしていない。
「はい。その節は大変失礼致しました。心より深くお詫び申し上げます」
「いえ、そんなに気にしなくても良いんですよ。世の中には似た人間が3人居ると言いますしね」
「ご寛恕に感謝します。それにしても、この広い町のなかで2度もお会いするなんてとても奇遇ですね……私もこれから暫くこの宿に滞在いたしますので、これも何かの縁と思って仲良くさせてくださいね?」
グレイスとしてはここで遭った事について、あくまで偶然を主張するようである。
さり気なく他人の空似だと主張しても全く気にせず押してくるあたり、見た目以上に気が強い。恐らくハンナもこのお嬢様に気圧されてしまい、本当の事を言い出せなかったのだろう。
「そうですねえ。偶然も続けば必然と云いますし、貴女との間には何か運命的なものでもあるのかも知れませんね」
毒食わば皿まで、とばかりにケン側からも踏み込んでいく。
隠れるように行動して長期間付き纏われるより、グレイスの調査に協力して短期間で終わらせてしまいたい。あまり長い間彼女からの重圧に晒されていては胃に穴が空きかねない。
ケンが内実をある程度知ってしまっているから白々しく感じてしまうが、本来であればグレイスのやり方もそう悪くはないように思う。
知人が瓜二つだと始めに言っておき、実はその知人と親しい間柄だったと言えば周囲の人にケンがどんな人物かを聞いて回る口実になる。
男女間の感情を仄めかして聞きまわる事もできるだろうが、ケンが全くの無関係かつ自惚れ屋だった場合に本気にされて面倒な事になる恐れもある。
グレイスの素性が貴族の娘なのか商人の娘なのかは判らないが、年頃の娘に変な虫が付いてしまっては良い噂話の的だろう。
惚れた腫れたを明確に言わなくても、彼女から「仲良くしたい」と言われた時点で男の方が舞い上がってしまう可能性もありそうだが。
ケンの好みからは少々外れているが、グレイスが美少女であるのは間違いないのだ。
とりあえず、なるべく早いうちに最低限でもグレイスの家名や出身地ぐらいは聞き出しておきたい。
グレイスという名も偽名の可能性があるが、全ての情報を嘘で塗り固めるのは不可能なので虚実を取り混ぜているはずである。幾つか本当の情報が手に入れば、そこから正体を辿ることもできるだろう。
できれば彼女の探し人であるグレン・ビーチャムの詳細な情報や、グレイスとグレンの関係性についても何とかして聞いておきたい。特に、5年前に別れる直前にどんな関係だったかについてと、彼女がどういった心積りでグレンを探しているかについては重要だ。
「立ち話も何ですね……お二人とも、夕食がまだでしたらご一緒にいかがですか?」
「はい、是非!」
「場所はここの1階で構いませんか? ここの料理は至って庶民的ですが、味は抜群なんですよ」
「私達はお昼過ぎにこちらに着いたので、まだこちらのお料理を頂いてないんです。とっても楽しみです!」
何故かグレイスではなくハンナが嬉しそうに報告してくる。彼女は1週間前にここの食堂で遭った時も色々と注文していたようだが、そんなに気に入ったのだろうか。
「それは良かった。では、私は見ての通り帰ってきたばかりですので少々時間を頂けますか?」
「あら、そうでしたわね。失礼致しました」
適当に時間を決めて食堂で待ち合わせることにし、やっとの事で部屋の中に入ることができた。扉を閉めた瞬間に精神的な疲れがどっと襲い掛かり、椅子に座り込んでしまう。
どうしてかは判らないが、グレイスとは顔を合わせているだけでケンの気持ちが萎縮してしまう。
最初に遭った時はともかく、今回は特に精神的な痛手を受けるような行動を一切取っていないし、見た目だけならただの可愛らしい少女なのに、である。
早くも食事に誘ったことを後悔しながら、のろのろと着替えを始める。
胃薬はなるべく早く準備しておいた方が良いだろうか。




