「君はハエから生まれてきたんですよね?」
今回主人公とかのキャラがだいぶ変わってしまいました…。
次から気をつけます!
おれさ、昨日の事を冷静に考えてみたんだよ。
んで、客観的に見たら昨日のおれって
ただのストーカーじゃね!?
いや、もうアレ客観的に見なくてもストーカーだよな!?
嫌がる女の子を無理やり追いかけてく最低な奴だよ。
あーやベーどうしよー。
変なうわさとかたってねーよな!? 大丈夫だよな、おれの社会的地位。
う、うん、今日から気をつけよう。
なんか、こう、やんわりと市原に話しか、対応するんだ。
ジェントルマンでいこう。
うん、いける!
おれならたぶんいける!
「おーい、大丈夫かつかさ」
その声でおれは現実に引き戻された。
目の前にあったのは高瀬の見飽きた顔だった。
「ああ、これはこれはモブキャラの高瀬君。気持ち悪いからどいてくれないか」
「なんかいきなりひどいこと言われた!」
ああ、もう朝からうっとうしいなあ。
ていうか考え事をしているうちに教室についていたらしい。
おれは高瀬をよけて自分の席に向かう。
横を見ると、今日も市原は無表情で本を読んでいた。
「…おはよう市原」
どうせ今日も無視されるんだろうが…、仲良くなるためにやはりあいさつは欠かせないだろう。
「おはようございます」
………ん?
あれ、今、おはようという声が聞こえたような…。あれ、幻聴?
おれは隣の市原をがん味する。
「なあ市原、もしかしてお前今おれにあいさつした?」
「しましたが何か?」
それを聞いた瞬間、奥底から叫びだしたい衝動がこみ上げてくる。
「ほんとか!? ほんとに言ったんだな!? よっしゃ、市原がおれにあいさつしたぜ!」
心からの笑顔でガッツポーズを決める。
「ちっ。うるさいですね。ただたんに無視すると昨日のように面倒くさいことになると分かったのでとりあえず返事をしただけです」
市原が眼鏡越しにも伝わる絶対零度の視線を向けてくる。
だがそんなものも気にならない。ツンデレか? ツンデレなんだな!
「なんだか今すぐ君の事をどぶ川に落としてゆっくりと時間をかけて溺れ死にさせたい気分なんですが…」
「いや、むごいなソレ!」
「とにかく耳が腐るので話しかけないでください」
「おいおいつれないこと言うなよ~。おれ達もう友達じゃん」
「……………」
「無視!?」
やっべ、こっちに目もくれない。
確かにおれ達もう友達じゃんはとてつもなくイタかったけども。
おれ完全に空気じゃん。
無視ってさ……意外と一番辛いよな…。
たぶん今何を言っても返事をしてくれる気がしなかったので、おれも席に着き本を読み始めた。
*
一時間目の英語では、前回予告されていた(らしい)小テストがおこなわれた。
マジか。全然知らなかったぞ、そんなこと。
まあ、別にテストなんてどうでもいいけどな。
用紙が配られ、はじめっの合図で表に返す。問題をざっと見てみると、驚くほど簡単だった。
うん、これならたぶん半分は余裕でいけるな。
隣の市原をちらりと見てみると、カリカリと止まることなく解いていた。
あー、市原はきっと点数いいんだろうなー。頭のレベルが違うんだ。
およそ20分ほどでテストは終わり、用紙が集められた。
*
「このコロッケピクルスマヨネーズパンうまくね?」
昼休みの屋上。
高瀬がとてもどうでもいいことを話題に出してきた。
おれはドン引きしたような顔をする。
「なんだよ、その顔! 別に普通の事いっただろ!?」
「お前アホか。普通の男子高生の会話を聞いてみんなが喜ぶわけなかろう!?」
「いやしらねーし!」
「ハア…つっこみまで普通とは…」
「お前はおれに何を望んでいるんだ!?」
「おれのお前への恋心に、気づいてくれること…」
「びっくりなきり返し! ていうかきもっ!?」
「――というような意表をつくきり返し」
「嘘だったのかよ!」
そこでおれは言葉をつむぐのをやめ、ため息をつく。
「やっぱお前、どこにでもいるモブキャラだな」
「さんざんつっこませておいてその結論!?」
高瀬がえらくショックを受け、ガクッとうなだれていた。
そこへ須田が「がんばって! 高瀬はおもしろいよ」と励ましていた。
ふむふむ。
「よし、高瀬、須田に告白しろ」
「「!?」」
「ほら、そうすればお前は凡人から抜け出せる」
「いや、気持ち悪いキャラになるだけじゃね!?」
「まあ、大丈夫だって。須田可愛いし」
「ぃや…まあ、可愛いけども」
俺たちの言葉に須田が少し顔を赤くしてうつむく。
なんだコレ! 須田がすっげえ可愛くみえるぞおい!
「よし、高瀬、いまだ! いっけぇぇぇええええ!」
「わ、わかった」
高瀬が須田に向き直る。
そしておれは携帯をかまえ、録画ボタンを押す。
「須田、おれ、ずっと前からお前のことが好きだったんだ!」
「えーと、あの…たかs……」
「はい、そこで高瀬抱きつく!」
おれの言葉に、反射的に高瀬が須田をガバッと抱きしめた。
ぽちっ
よーし録画完了。
「ってつかさ! てめぇなに撮ってんだ!」
「高瀬…お前、最高だぜ!」
「いい笑顔で言うな! 消せー消せーーーー!」
「さてyoutubeで流すか…」
「やめろぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおお」
おれ達が追いかけっこを始めたときも、須田は一人顔を赤くしていた。
あれ? なにこれやばいんじゃね?
おれしーらねっ
*
「つかさ、今日の昼休みのお前なんかおかしかったな」
放課後、高瀬がぐったりしながら話しかけてきた。
「ああ、もともとおれの性格があんなんだったってのもあるけど、ただのストレス発散だ!」
「だろうな…」
そこで市原が教室から出て行きそうなのを発見する。
「やべっ、高瀬じゃあなっ!」
「また市原かよ…」
高瀬が物好きだなーという表情をしていたが、別におれ市原の事好きなわけじゃないから。いや、ツンデレじゃなくてね。
「おい、市原ー」
後ろから呼びかけると、市原はめんどくさそうにだがふりむいてくれた。
「さっさと帰りたいのでうじ虫の相手をしている暇はないのですが」
「うじ虫!?」
「君はハエから生まれてきたんですよね?」
「いや、ちげーよ!?」
「帰っていーですか?」
「はやいっ! もうちょっとねばってくれよ」
市原はマジでめんどくさそうで、早く会話を切り上げたい感じがメッチャでていた。
だがそれでもおれは粘り強く話しかける。
「市原部活入ってねーの?」
「はい。入る必要がないので」
「ふっふん。おれは入ってるぜ」
「ふーんそうですか。毎日一人でおつかれさまです」
「いや、部員たくさんいるから!」
「過去の話でしょう。君が入ったら全員やめてしまったんですよね」
「おれメッチャ嫌われてるな!」
「あ、もしかして自覚がなかったんですね。ごめんなさい、軽はずみな発言を…」
「いや、申し訳なさそうにしないで! 傷つくから!」
「もちろん確信犯ですが」
「だよな。でさ、おれバスケ部なんだぜ! 青春じゃね」
「バスケ部でその身長…。希望がありませんね」
「いや、まだいけるよ!?」
確かにそんな高くないけど、チビってほどではない。はずだ!
「とにかく私は帰ります。さようなら」
市原は唐突にそう告げると、呼び止めるまもなく足早にその場を立ち去ってしまった。
うーん、まあ、今日はおれも部活があるししょうがないか。
さっきから帰りたそうだったし、今日は何か用事があったのかもしれない。
いやそう願おう…。
…そういえば全くジェントルマンにいけてなかった気がする……。
完全に忘れてた。
やっぱだいぶキャラ崩壊してましたよね…。
しかも市原さんとの絡みが少なめです。
モブキャラのくせに高瀬君がでしゃばっちゃいましたww