月、影踏み
初投稿です。。お目汚しかとは思いますが、読んで頂ければ幸いです。
棚引く雲が薄く月にかかる。
朧げな夜気に二人。
私は千鳥足で自らの影踏み遊び。
貴方の視線をあっちこっちと背中で受ける。
私たち以外の静謐。
切なげで、包まれながら、私はこの何気ない遊びを延々と永遠にと…していたかった。
朝は離別の時。
そう…視線を背後で受けるのみで、私は貴方の顔を見ることが出来ずにいる。
さぞや滑稽に映っているのでしょうね?
子供じみた遊びに興じていながら、笑い泣きをしているちっぽけな背中。
『別れたくない』
そんなことは言えない程に離れてしまっていた。
心も、身体も。
立ち止まり、意を決して振り向いた。
彼の顔は逆光に埋まり、窺い知れなかった。
ただ、声だけが届いた。
「…ごめん。ごめんな」
月影に縁取られた私は、首を横に振ることしか出来なかった。
朝は離別の時。
月の傾きと共に、あの日在った二人も消えゆく。
「…うまくいくと、良いね」
震える唇から震えた言葉を発した。
彼の耳に届く前に、夜気に溶けてしまったかもしれない。
また影踏みを始める。
柔らかい黒の輪郭が、頼りなく揺らいでいた。
『さ』
『よ』
『う』
『な…』
『ら』
「…さようなら」
そう、やがて。
徐々に東の空は青の濃度を高めていく。
刻々と色と明度は変化を遂げていく。
西に追いやられた月は、その最期の最後まで、仄白い貌で私たちを見下ろしていた。
──そして、朝という終わりの始まりが訪れた。
淡々とした失恋話。。
一人よがりで駄文にも程がございましたが、読んで下さり感謝の極みです。
励みになりますので…何卒、生暖かい目で見守りつつ応援して下さいませ。