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アサガオが咲くときまで  作者: 筑波みらい
第二章 セカンドアタック
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第四十話 今さら

放課後。


掲示板の前に、

人だかりができていた。


「なにこれ」


「新聞部、仕事早すぎ」


「え、マジで?」


白い紙。

太字の見出し。


次期生徒会長の成田旭が風紀委員長かつ元選挙ライバルの鷹宮澪に廊下で土下座——公開告白か


一瞬、時間が止まった。


「でも成田は違うって叫んでるね」


「いやいやぁ〜これは告白でしょ〜」


「てかこれ動画付きなのがえぐい」


QRコードが貼ってある、

それを読み込むと短い動画が見れる。

膝をつく成田と頬を赤らめる鷹宮、そして周囲のざわめき。


「……この動画、完全に告白だろ」


「それな、これで違うは無理ある」


この場には笑い声や興奮、好奇心が混ざっていた。


噂はもう事実のようになっていた。


——


……最悪。


掲示板の前で、

私は立ち尽くしていた。


見出しや文章、さらには動画。


(……全部)


(全部、ひどい)


「公開告白」


その四文字が、

目に焼き付く。


(違う)


(……でも)


廊下で土下座。


「隣にいてほしい」


これを言われて拒否しきれない自分が、一番腹立たしい。


「……これ見た?」


背後から、誰かが聞いてくる。


返事をする気力はない。


周りの視線が痛い。


同情や好奇、面白がりの目が向けられる。


(……逃げたい)


でも、逃げられない。

プライドが許さない。


「……」


拳を握る。


(新聞部……)


怒りより先に、

恥ずかしさが来るのが、

悔しかった。


——


放課後の帰り道。


真昼に、無言でスマホを突き出された。


「……これ」


画面を見る。


アワストだ。


(SNSに無断転載してんのかよ......)


この学校のネットリテラシーが心配だ。


そこに載っていたのは

新聞と動画。


コメント欄を見ると......


「告白確定」

「次期会長やばすぎ」

「禁断の恋だ!」


……。


(……は?)


頭が、

一拍遅れて動く。


「……あ」


ようやく、

理解した。


(俺、やっぱりとんでもないことやったのか?)


土下座。

廊下。

みんなの前。


「俺を支えてくれ!」


……。


(落ち着いてみるとこれ、やっぱどう見ても公開告白だわ)


「……やっちまった」


膝から、

力が抜ける。


真昼が、

深いため息をついた。


「今さら?」


「……今さら」


鷹宮の顔が、

脳裏に浮かぶ。


赤くなって、

怒って、

逃げるように去った背中。


(……そりゃ、

 そうなる)


「……どうすんの」


真昼が聞く。


俺は、

即答できなかった。


ただ一つ、

はっきりしたことがある。


これはもう、

「誤解」で済む段階を

完全に超えている。


そして。


このまま放置すれば、

鷹宮はもっと追い詰められる。


(……逃げるな、って言ったのは俺だ)


自分に言い聞かせる。


「……ちゃんと、説明する」


「本人に?」


「ああ」


真昼は、

少しだけ笑った。


「……それ、告白の続きにならなきゃいいけどね」


その一言が、

胸に刺さった。

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