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アサガオが咲くときまで  作者: 筑波みらい
第二章 セカンドアタック
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第三十四話 何ニヤニヤしてんの?

朝のホームルーム前。


机に突っ伏しながら俺は鷹宮とのトーク画面を見ていた。


既読はついている。


(鷹宮は読んでくれたんだ)


それだけで少し肩の力が抜けた。


(よし、返事は来るだろ)


そう思っていたところに、

画面が震えた。


通知。


【@鷹宮】


反射的に、

背筋が伸びる。


メッセージを開く。


——


「……それって立場の話?

それとも個人的な話?」


——


……?


一瞬、意味が分からなかった。


(立場?個人的?)


どっちも同じじゃないか?


生徒会長としての立場で、必要だから言ってる。


それ以外に、何があるんだ?


(変なところで引っかかるな……)


俺は首をかしげながら、そのまま返信を打った。


——


「立場の話に決まってるだろ?」


「お前が一番欲しいって思ってるっていう。

 それだけ」



こう書いて送信ボタンを押した。


一ミリも迷いはなかった。


(これで伝わるだろ)


俺としては、ちゃんと誤解を解いたつもりだった。


送信した後、すぐにスマホを机に伏せる。


前の席で、

真昼が振り返った。


「……何ニヤニヤしてんの?」


「してねぇよ」


「してたよ」


「してない」


「顔、緩んでたくない?」


(そんなつもりはない)


でも否定するのも面倒で、

話題を変える。


「それよりさ」


「なに?」


「今日から色々動くんだけど、生徒会の引き継ぎとか忙しくなるから......」


真昼は一瞬、

俺の顔をじっと見てから遮って言った。


「……ところで鷹宮さん、どうするの?」


「どうするって?」


「例の話」


「ああ」


俺は軽く答えた。


「必要だから誘っただけだし」


「……それだけ?」


「それ以外に何があるんだ?」


真昼は、

何も言わなかった。


ただ、

小さく息を吐いた。


(なんだよ)


(みんなして変な反応しやがって)



昼休み。


スマホを見る。


……返事は来ていない。


(まあ、すぐには決められないよな)


断られる可能性も、

当然ある。


鷹宮はそういうやつだ。


簡単に首を縦に振らない。


それは分かっている。


(それでも)


(話はした方がいい)


直接、

顔を見て話す。


それが一番だ。



一方。


成田旭は、

まだ気づいていなかった。


自分の送った言葉が、

「立場の話」としては

致命的に曖昧で、


「個人的な話」としては

致命的にまっすぐだったことに。


そして。


その返信が、

鷹宮の中で

どれほどのズレを生んでいるのかを。


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