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アサガオが咲くときまで  作者: 筑波みらい
第一章 ファーストアタック
20/71

第二十話 沈静化命令

最初に声をかけてきたのは、

生徒指導主任の高橋先生だった。


生徒指導室でも、

職員室でもない。


放課後の、

誰もいない廊下。


「……少し、いいか」


それだけ。


呼び止め方は、

いつも通りだった。


「最近の選挙活動」


先生は、

前を向いたまま言った。


「少し、熱が出すぎてる」


「……そうですね」


俺は、

否定も肯定もしなかった。


「暴力事件が起きたんだ。

 学校としては、これ以上刺激を増やしたくない」


「分かるな?」


分かる。


言われなくても。


「成田旭」


先生は、

名前を出した。


「彼は、

 頭がいい」


「だが、

 空気を読まない」


「今、

 学校に必要なのは

 改革じゃない」


一拍。


「沈静化だ」


その言葉で、

全て理解した。


「……具体的には?」


俺は、

あくまで確認した。


先生は、

一瞬だけこちらを見る。


「支持率」


それだけ。


「数字は、

 言葉より効く」


「下げろ」


命令じゃない。

でも、

拒否できる言い方でもない。


「……」


「嘘を書けとは言わない」


すぐに続ける。


「事実を、

 “冷静に”扱え」


「今、

 どんな声が多いか」


「それを、

 拾えばいい」


つまり。


反対派の声を集めろ。


俺は、

小さく息を吐いた。


「分かりました」


そう答えたのは、

反射だった。



新聞部室。


ホワイトボードの前。


「支持率、

 二割で行く」


俺が言うと、

部員がざわつく。


「そんなに……?」


「昨日まで、

 もう少し

 ありましたよね」


「下げた」


俺は、即答した。


「……意図的に?」


部員の目が、

真っ直ぐ向く。


俺は、

少しだけ間を置いてから言った。


「上からの指示だ」


空気が、固まる。


「先生から?」


「正確には」


ペンを回す。


「“空気を落ち着かせろ”」


「でもな」


俺は、続けた。


「やり方は、

 こっちに任された」


「だから」


ホワイトボードを指す。


「反対派を中心に取った」


「嘘じゃない」


「ただ、

 偏ってるだけだ」


「それって……」


「編集だ」


きっぱり言う。


「新聞は、

 常に編集されてる」


「完全な公平なんて、

 どこにもない」


「特に、

 今みたいな時期はな」


「成田が、

 暴力を止めなかったのも事実」


「学校が、

 火消しに走るのも事実」


「だったら」


一拍。


「俺たちは、

 “秩序側の数字”を出す」


誰も、

反論しなかった。


できなかった。



掲示板に貼られた紙面。


成田旭、支持率低下二十%へ


それを見た生徒たちが、

ざわつく。


俺は、

少し離れたところから

その様子を見ていた。


胸が、

全く痛まないわけじゃない。


でも。


「……これでいい」


俺は、

自分に言い聞かせる。


成田は、

勢いがありすぎる。


今は、

止めるべきだ。


それが、

教師の判断。


そして、

新聞部の判断。


もし彼が、

この程度で潰れるなら。


最初から、

扱うには危うすぎた。


俺は、

そう結論づけた。


筑波みらいです。

この作品を読んでくださりありがとうございます。


ようやく二十話まで連載ができました。

いよいよ!選挙まであと3〜2週間ほどとなってきました。

こんな状況の中旭くんはどう立ち向かっていくのか気になります。

拙作を楽しんでいただけましたでしょうか?

楽しんでいただけましたら幸いです。


今後ともよろしくお願いします。

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