オドロキ!!アイのお家訪問!!
た、倒しちゃったピコ……
変身もしないで……?あり得ないピコ……
愛は心臓を貫かれた怪人27号の胸からずるりと腕を引き抜くと、踵を返して立ち去ろうとした。
あ、いかんピコ、お話しないといけないピコ!!
「ま、待って欲しいピコ!!」
「む?」
愛がこちらに振り返る。
「え~っと……愛……だったピコ?ボクはピコ!!魔法の世界からやって来……ま、待ってピコ!!」
話している間に立ち去ろうとする愛。
「む?」
愛は再び振り返った。
良かった止まってくれたピコ。
「だ、大事なお話があるピコ!!魔法少女になって欲しいピコ!!」
「否」
またしても立ち去ろうとする愛。
この人(人?)話聞かないピコ!!?
こ、このままじゃ不味いピコ!!何か引き留める方法は……あ、そうだピコ!!
「た、戦う事に興味はないピコ?」
「……」
歩き始めた足が止まったピコ、これは……
「魔法少女になって戦って欲しいピコ、悪い奴等を倒して欲しいピコ!!」
「……」
今度は立ち去る様子が無い……これはイケる!!
更に捲し立てて興味を惹き付けるピコ!!!
「さっきみたいに騒動を起こして暴れ回る奴等を、魔法少女に変身して倒して欲しいピコ!!」
「……」
愛はこちらに振り返った、ヨシ食いついてるピコ!!
「強者足るや?」
え?強者?相手は強いかってことかピコ?
「そ、そう強者ピコ!!スッゴくスッゴく強者ピコ!!」
実際強いかは知らないピコ、とりあえず合わせておいておくピコ。
魔法少女になって貰わないとボクが極刑になりかねないピコ、いや、あの国だからきっとされるピコ。
「……是」
是……お、OKってことでいいピコ?
た、助かったピコ~……とりあえず首の皮繋がったピコ……
「そ、それじゃあこれから宜しくピコ!!今日から君は『魔法少女マジカルアイ』ピコ!!」
瓦礫の散乱する中沈んで行く夕日。
ビルの影から何処かへと連絡をしている戦闘員は、通信を切るとコソコソと立ち去った。
……
…………
すっかり日も暮れ街灯が灯る中、ボクと愛は住宅街の中を進んでいたピコ。
【ズキュ!!ズキュ!!】
愛が歩く度に変な足音がするのは何なんだろう。
暫く進んでいると、一軒の家の前で立ち止まり、門を開けると愛が中に入っていく。
ここは愛の家ピコか。
表札には【姫野】と書かれている。
姫野愛、それがこの人間(?)の名前ピコか。
…………見た目と名前が真逆にも程があるだろう。
家に入ると奥から人が出てきた。
愛の母親ピコ?
細目に美女で、立派過ぎるオパーイ、そして縦セタエプロン。
エッッッッッゥッッッッ!!!!!
ドすけべ過ぎるピコ、これは堪らんピコ!!
「帰った」
愛は下駄を脱ぎ(下駄なのにあの音何なんピコ)玄関を上がる。
「お帰りなさい愛ちゃん。あら?愛ちゃんそれは?」
愛のママがボクを不思議そうに見ている。
あ、しまった、姿消すの忘れてたピコ!!
ど、どうしようピコ!!
ボクがあわあわしていると。
「取得」
愛はそう言うと二階へと歩いていく。
「あらあら、愛ちゃんが動物拾って来るなんて何年ぶりかしら」
どうやら捨てられた動物と思ったみたいピコ、助かったピコ。
別に捨てられていた訳じゃないけど、そういうことにするピコ。
二階には扉が手前と奥に二つあって、愛は真っ直ぐ奥に向かう。
扉にはピンク色の木製のハートマークに【愛ちゃん】と書かれた札がかけてある。
ここは愛の自室みたいピコ。
…………掛札が全く合ってないピコ。
中に入ると畳部屋で…………ほぼ何もない。
丸い座敷テーブルと座布団に、畳まれた布団、後は何故かデカい木人。
木人には赤いランドセルがかけられているピコ。
…………ランドセル???
よく見ると、テーブルの下には幾つか本が積んであった。
愛は座布団にあぐらをかいて座るとテーブルの下から薄い本を一冊と、鉛筆を取り出した。
そしてその本にはこう書かれていた。
【小 学 三 年 漢 字 ド リ ル】
?????
小学三年!!!!!!!???
思わず目玉が飛び出る。
小学三年!?
愛は小学三年生ピコ!!?
どう見ても悪鬼羅刹にしか見えないのだが、よりによって小学三年生!!?
そのとんでもない衝撃の事実に呆然としていると、階下から声がする。
「愛ちゃん、ごはん出来たわよ~」
愛は立ち上がると部屋を出て降りていく。
ボクも後について行くピコ。
リビングにある大きいテーブル(多分愛に合わせてる)には食事が並べれれているピコ。
二人分用意されていて、ライスが盛られた皿とハンバーグとつけ添えの野菜が乗った皿が置かれている。
テーブルの下にはドッグフード。
……ああ、これはボクの分ピコね……ペットとして認識されてるピコ……
愛ママと愛が席に着く。
つか愛の分量おかしいピコ……ライスもハンバーグも天高くそびえるエベレストみたいになってるピコ。
これ重量幾つピコ……?
「今日はお父さん遅いらしいから先に食べちゃいましょう。では頂きます」
「うむ」
二人は手を合わせ食べ始める。
ボクもモソモソとドッグフードを頂くピコ。あ、割といけるなこれ。
食事を終えて愛ママは片付け、愛はテレビを見てるピコ。
鬼平●科帳…………何か渋いの見てるピコね。
「愛ちゃん、壊れた名札新しくしておいたわよ、はいこれ」
「感謝」
愛ママから名札を受け取る、名札にはこう書かれていた。
【大豪寺小学校 三年二組 姫野愛 9歳 女】
へ~
……
…………
9歳、女の子ぉぉぉぉぉ!!!??