反抗
両親が死んだ、その知らせを受けて背筋が凍る
(きっと事故に見せかけて殺されたんだ)
証拠がないが私はそう確信していた。両親がいなければ公爵家を手に入れることは簡単だと思っているんでしょうけど公爵家もアミアも好きにはさせない!
今回の事故についての調査には王家直属の騎士団が派遣されるらしいのできっと証拠が残っていても消されるはず、調査もすぐに切り上げて両親の葬儀を始めるつもりなのだとしたら時間が無い。お父様が教えてくれた計画がどこまで進められているのか確認しないと。
「お嬢様!国王陛下からお手紙が届きました」
メイドが慌てた様子で運んできた手紙を読んで怒りが込み上げてくる。
『フェリシエ嬢、アミア嬢 両親を亡くし不安に思っている事だろう。2人は我が息子の婚約者になるかもしれない大事な子だ。葬儀のことは王室が責任を持って済ませよう2人には王宮で過ごして貰いたい。準備は済んでいるから安心して良いし、荷物は大事な物だけ持ってくること。』簡単に言えばこんなことが書いてあった。
他にも両親には世話になったから恩返しがしたいとか色々書いてあるが大事なのは私たちをすぐにでも王宮に連れて行きたいということだろう。
両親が亡くなった知らせを受けた翌日にこんな手紙を送ってくるなんて自分たちが殺したと怪しまれるとは思わないのか、いや怪しまれても何もできない事を知っているから出来るのか。自分の無力さが悔しくてしょうがない…
「返事を書くから準備して貰える?」
葬儀を任せるわけには行かない。私たちのいない間に王家の都合のいい噂を流すに決まっている両親とちゃんとお別れがしたいと言えば葬儀には出さしてもらえるだろう。時間を稼いでそう間に公爵家とアミアを守る方法を考えないと
葬儀の日はあっという間に来た私たち姉妹がいるので国王も王妃も普通にしていたが最後に王子の婚約者候補なのだとこの場で発表し、このまま私たちを引き取ると言い出した。大勢の前で言われてしまったので断ることが出来ない私は感謝しながら
「領地も陛下が管理してくださるのですか?でしたらお願いがあります。両親が最後に視察に行ったヴェルカー領だけは私に残してくださいませんか?」最後に両親との思い出がある場所なのですと、周りの同情も利用して一番奪われてはいけない領地だけは守れるように交渉する。王妃はそれが気に食わないのか機嫌が悪くなっていくが気にしない。
そこに神殿の大神官様が来た
「許可します。数日前公爵様が亡くなる前に私の所に契約書を持って参られました。内容は公爵様に何かあった場合その権限の全てをフェリシエ・ヴィエルシュに譲るということです。」
「ですが、フェリシエ嬢はまだ7歳です。公爵家の仕事をするには未熟です」
王妃がそう言うと周りの人が確かにと納得する。私はこのチャンスを逃さないように反論する
「その為にたくさん勉強しますわ。私が1人で仕事ができるように大神官様と王妃様に手伝って頂きたいのです。領地の仕事は将来の為にも役立ちますでしょう?」
少し反抗的な態度をとってしまったかと思ったが、周りの貴族たちには立派な考えだと言われたので大丈夫だろう。
「わかりました。貴方の仕事は王家が責任を持ってサポートしましょう」
「私たち神殿もできるだけ手伝わせてもらいます」
大神官様と王妃の許可が貰えたので私は満足だった。このまま少しずつお父様の計画を進めていけば逃げられるかも知れない。
私はこの日を乗り切った安心感で王妃の機嫌を損ねたことを忘れていた