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記憶の部屋

作者: しゃん

ほら、またお呼びだよ。

お声がかかったんだから。

ほら、さっさと出なさいな。


呼ばれるがままに、起きあがると

グイッと引っ張られた。


ここ最近呼ばれる頻度が増えた気がする。

あくまで気がするだけで前のことはあまり覚えていない。


前はもっとこう、、、

ちゃんと名前があった気がする。

でも今は呼ばれず、ただ引っ張られる。


でも呼ばれたかと思ったらものの数秒で、

気づくとまたこの部屋にいる。


日を追うごとに部屋は陳腐に、

どこか殺風景になっている気がする。


なんでこんな目に……

なんて思ったところで誰かに何かできる訳でもないことを自覚している。








ほら、またお呼びだよ。

今日はお連れもいるみたいだよ。

あんたの役も一人じゃ物足りなくなったんだろうね。



まったく、、、部屋は限られてるんだから住人増やさないでほしいもんだよ。

管理するこっちの身にもなってほしいよねぇ。

まぁ、あんたに言ったところでどうしようもないんだけどさ。


ほら、はやく一緒に行ってらっしゃいな。

でないとまた次暴れるからわかったもんじゃないんだからさ。



連れ…?

これまでずっと一人だったような、

そうでもないような気だけした。


あ、よろしくお願いします。

すいません、私も何がなんだか。

急にあなたと一緒に呼び出されたみたいです。

急に豪華な部屋になったし何がなんだか…。

ひとまず、行きませんか?



良かった。

謙虚で助かった。

何はともあれ一緒に行くなら、謙虚な方がいい。


でもなんで部屋がそんなに豪華なんだろうか。

また、グイッとされたその一瞬、そっちの部屋を見たが確かに私のいるそれよりは数段豪華にも懐かしくも見えた。





ほら、あんたたちまたお呼ばれだよ。

まったく売れっ子は大変だねぇ。



連れ立って呼び出されることがその後も何度か続いた。

でもその度に豪華だったその部屋はどんどん寂れて、私のと遜色なくなっていった。


それに悲しむことなく

ただルールだからと従っているようだった。




ほら、お呼びだよ。


あー、まーそうなるわよね。

今日はなんで一人かって?

あんたがはじめてじゃないよ。

よくあることさ。

まぁ、ほら行ってきなさいな。



気づくと連れはなくなり

一人でまたグイッとされた。


ただ、これまでいた部屋と自分がほんの少しだけ大きくなった気がする。



グイッ、グイッ、グイッ、、、。


そんなことが続いてまた私は

大きくなる前の私と今の私を区別できなくなっていった。



そんなことが続いたある時、

呼び出されないことがあった。


ふん、珍しいね、

今日はあんたじゃないよ。

なんでかって、私にもしらないわよ。

ただ引っ張りだすのが私の仕事。

それ以外のことは知らないよ。

今回はあっちが呼び出されてるみたいよ。


それを期にどんどん私と私の部屋は小さくなっていった。


それからなんどか他が呼び出されるのが続いたある時、

けたましいサイレンが響いた。



おい!どこにいる!

探せ!

探すんだ!

何か手がかりがあるはずだ!

探せ!!


なんだか騒がしい。

何ごとかと思い外の様子を見ようとしたが、開かなかった。

開ける力も、開けるための手も、足も、もとからなかった。





































やっべえ、、、

前のパスワードなんだっけ??

ログインできねーわ。

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