表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

~第二の錦織圭たちに贈る言葉(20)~ 『相手からの返球が自分のリズムに合った球かどうかを感じてから強打しろ!』

作者: 目賀見勝利

           〜第二の錦織圭たちに贈る言葉(20)〜

   『相手からの返球が自分のリズムに合った球かどうかを感じてから強打しろ!』


1. まえがき;

上海マスターズ2018の準々決勝で錦織選手はフェデラー選手に4−6、6−7で敗れた。敗因はエースを狙ったストロークが度々バックアウトやネットしたことである。

フェデラー選手からのスピードがないと見える返球を強打したが、バックアウトやサイドアウト、ネットすると云うミスを錦織選手は繰り返し、重要なポイントを落としていた。試合内容はかなりの接戦であったので惜敗である。(この強打がエースになっていれば錦織選手に勢いが付き、勝利していただろう。)

「相手からのストロークによる返球が強く打てるタイミングになっているかどうかを感じ取らなければならない。相手からの返球が早くなくても、自分のリズムに合ったタイミングで強くボールを叩けるかどうかを感じ取れなければならない。(一見するとイージーボールと思える球でも、自分のリズムに合わない球は強打するな)」と贈る言葉(5)で述べた。

宮本武蔵は五輪書・風の巻の『他流に目付と云事』の項で『観見二ツの見やう、観の目つよくして敵の心を見、其場の位を見、大きに目を付けて、其戦のけいきを見、其おりふしの強弱を見て、まさしく勝事を得る事専也』と書いている。

「其場の位を見、其戦のけいきを見、其おりふしの強弱を見て」は観の目をつよくしてその場の状況や状態を感じ取っていなければならないと言っているのである。

更に『他の兵法にはやきを用いる事』の項で『はやきと云所、実の道にあらず。はやきと云事は、物毎に拍子の間にあわざるによって、はやきおそきと云心也。・・・・はやくときれば、少しもきれざるもの也。』と書いている。

要約すれば、『太刀の振り方は速い、遅いではなく拍子リズムの間に合っている事が重要である』と武蔵は述べているのである。

今回は、自分のリズム(拍子)とは何かを考え、拍子に合わせるにはどうすれば良いのかを述べる。


2. 贈る言葉;

物理学において質量(M)のある物体はその固有振動数(毎秒1/2π√(K/M)回の振動)を持つとされる。

テニス選手(人体)は地面に固定(支点)された片持棒とみなす固有振動数を持つ弾性振動体になる。

Kは弾性体としての比例定数であるが人体の場合、力の入れ具合で筋肉の剛性を変化させられるので、Kの数値が変わり固有振動数を変化させられる。

また、脈拍(心拍)数や呼吸数のバイオ振動を持っている。

振動はサイン曲線を描くから、山(頂ピーク)と谷(底ピーク)があり、リズムが山の時にラケットでボールをインパクトすれば強い球が飛んで行く。

呼吸は止めることができるが空気を吸い込んだ状態から吐き出す瞬間に力が外へ発揮される。(呼吸を止めた瞬間が山となるが、山は大きい方が良いので充分に空気を吸い込んで止め、一気に吐き出すと大きな力がでる)

相手選手からの返球をどの位置でインパクトすることになるかを感じ取り、打点位置に向かって動いて行くことになるが、その時、インパクトの瞬間は自分の呼吸のリズムと固有振動数のリズムが山頂ピークになるかどうかを感じ取れるように普段の練習や試合で意識して体得しなければならない。


3.あとがき;

  私はサーブアンドボレーを目指して10年間練習・試合を繰り返してようやく自分の物にした。サーブアンドボレーでサービスゲームをキープし、レシーブゲームはストロークからのネットダッシュから相手からの浮き球をボレーでエースにすることを練習した。この、ストロークからのネットダッシュをする時には、相手のオープンスペースに出球アプローチショットを強打して、相手に浮き球を打たせてポイントを取ったものである。この時、出球が打てるボールかどうかを常に感じ取ることを意識しながらストロークラリーを行ったものである。

 なお、大坂なおみ選手のサーシャ・バインコーチは強打することを120%の力と表現し、『必ずしも120%の力で打球する必要はない。』と述べている。『コースを狙い、相手選手を走らせ、エースが打てるタイミング(拍子)を作り出せ』と述べている。また、『80%の力で打球すれば良い』とは述べていない。彼の考え方を推測すれば、100%の力とは打球する強さではなく、最大限に神経を使い、正しく調整された筋力で打球のコース、落下点をめざしてラケットを振ることを謂うのであろう。

宮本武蔵が謂うところの『物毎に拍子の間にあわざる』ことがないようにする事が100%の力であり、常に100%の力でラケットを振ることが肝要である。


          『諸君の健闘を祈る』

        目賀見勝利より第二の錦織圭たちへ

           2018年10月27日

         

参考文献:

宮本武蔵五輪書   神子侃訳   徳間書店   1963年8月  発行

宮本武蔵五輪書入門 奈良本辰也著 徳間書店   昭和47年10月 発行

宮本武蔵五輪書入門 桑田忠親著  日本文芸社  昭和55年4月 発行



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ