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掌編小説集9 (401話~450話)

大きな声で

作者: 蹴沢缶九郎

「世界中の人々が一堂に集まり、一斉に声を上げたらどうなるのか」


アホらしいとも言えるそのような疑問を、どこかの誰かが抱いた。きっと誰しもが一度は考えた事だが、口にはせずにいた。

しかし、興味があるのも事実。疑問は瞬く間に世界に広まる。わかりやすく、それが人間というものである。

好奇心に勝るものはなく、それならばと、老若男女、様々な世代、様々な国の人間が集まり、一斉に声を上げる事となった。


話し合いの末、選出された人物が言った。


「皆さん、私の合図で一斉に大きな声を叫んでください。よろしいですね」


どうなるかと、人々は期待に胸を膨らませる。それからしばらくした後、人物の号令に従い、集まった人々は一斉に声を上げた。



遥か遠くの木の枝に止まっていた鳥が羽ばたき、公園の野良犬は「ワン」と吠えていたが、そのいずれも、人間を支配した鼓膜の破けた静寂の世界では最早無縁の音である。

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― 新着の感想 ―
[一言] 自然界の音が聞こえないのは、なんと寂しい事でしょうね。海をみても波の音がしないのは、かえって不気味かもしれません。
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