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そうしてお姫様は、

捨てられた椅子が物語る世界

作者: 東亭和子

 小さな王国だった。

 どうしてこんなに小さくて今まで平気だったのだ、と思うくらい。

 小さくて平和な王国だった。

 王国に住む人々も陽気で穏やかだった。

 貧しい人は無く、皆が裕福に暮らしていた。

 この王国はずっと続くと誰もが思っていた。

 王様でさえも、王妃でさえも、国民でさえも。

 旅人でさえもそう思っていた。

 こんな王国に暮らしてみたい、と思った。

 王様は寛大な人で旅人が住みたいと願えば、この王国の住人になれるのだった。

 だから旅人は皆この王国に憧れた。


 一人の旅人がこの王国を訪れた。

 そうして惜しみながらも王国を去って行った。

 また、この王国へ戻ってくる事を希望として旅立ったのだ。

 旅人には目的があった。

 その目的を果たせば、またこの理想の王国へ来ることが出来る。

 そうして暮らすことが出来る。

 旅人はそれを楽しみにしていた。

 

 目的を果たし、旅人がこの王国へ戻って来たのは3年後のことだった。

 期待を胸に王国へ入った旅人は愕然とした。

 綺麗で陽気だった王国は荒れ果てた瓦礫に変わっていた。

 陽気だった人々もそこには存在せず、ただ廃墟があるばかりだった。


 王国に何があったのだろうか?

 噂は何も聞かなかった。

 旅人は王国の中央にある王宮へと向かった。

 王様はどこにいるのだろうか?

 崩れた王宮で見つけたのは壊れた玉座だった。

 ああ、理想の王国は消えてしまった。

 旅人は呆然と立ち尽くし玉座を眺めた。

 そうして日が暮れるまでそこに立ち尽くしていたのだった。


夢は夢のままに

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