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確認2

 玄関のドアのぶをゆっくりと回す音が聞こえて全身に突き刺す恐怖が走る。

 

 なんで開けておいたんだろうとこの時点で思っても、遅い。

 

 ゆっくりと回るドアノブ。外の誰かに聞こえる様に咳をした。

 

 回されていたドアノブはぴたりと止まり、開けられる気配はそれを境になくなった。

 

 肩で呼吸をし、乱れた呼吸を整える。

 

 震える手でマグカップを持ち上げた。

 

 テレビには何も映っていない。いつの間にか消されていて部屋の中は無音だ。なんの音もない。


 映っていないテレビ画面は真っ黒で、そこにはマグカップを持って恐怖に震え、青白い顔をしている自分のシルエットが映されている。

 

 それだけじゃない。


 その後ろ、ベッドの上には誰かが立っていた。足が映っている。

 

 振り向けない。体が動かない。

 

 頭上から見下ろされているの。足から上は画面からはみ出ていて見えない。


 暗い画面の中では、よくわからない塊がぼとりぼとりとベッドに落ちている。背中をベッドに預けているが、何かが落ちる感覚は分かる。ぶつっぶつっと音が聞こえる。

 

 視線だけをゆっくりとベッドの方へ向ける。

 

 背中に生暖かいものを感じ、恐る恐る手を触れるとぬめぬめする何かが張りついていた。

 

 無意識に背中を少しだけ離す。

 

 濡れた手を見て首筋に寒気が走った。黄色いような、オレンジ色のような、乳白色の粒の混じったべっとりとした液体は、ひどく好ましくない臭いがした。

 

 べっとりとするそれは、人間の脂肪のようなもので、ぐっしゃりと手の平に張り付いていた。

 

 悲鳴も出ない。

 

 気付いた時にはベッドと反対側の壁にいた。

 

 壁一面にはカラーボックスを置いて本棚代わりにしている。そこに背中を向けてベッドの方を向いた。

 

 ベッドの上には、誰もいない。

 

 もう一度手を確認した。

 

 汗だ。自分の汗で手が光っている。



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