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_記憶の泥沼_6
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砂嵐、ノイズ。
体が重い。力が入らない。
瞼がくっついている。目が開けられない。見えない。聞こえない。体が上下左右に揺れている。
次に気が付いた時、あざみはホームに設置されているベンチでじっと座っていた。
首を動かそうにも全く動かない。口も開かない。手は不気味に折り曲がり、指先に小さなウジ虫がはっている。
辺りは既に真っ暗で、なんの音も聞こえない。
風も無く、臭いも無い。色もない。
あるのは、無だ。
どうしてここにいるのか分からない。
ただただそこに、じっと座っていた。




