表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/63

【1-1】新町 桜

 肉が腐る時のあの独特の臭い。

 眉をしかめることになるが、本能はそれを欲する。

 腐りかけの肉が発する甘い香りが鼻に届くと、人間は皆、つばを飲む。

 それが一番のご馳走だと昔は言った。

 現在ではそれを食すことは禁じられている。

 腐りかけの汁を吸いこむあの感じは一度知ると二度と忘れることはできない。


 新町桜はK大学に通う大学1年生だ。 1限目から講義がある時は満員電車に揺られて行かなければならない。

 彼女はこの満員電車が大嫌いだった。


 目と鼻の先に汗をかいたおやじがいるだけで、バイト代をはたいて買ったお気に入りの洋服に匂いが付きそうで、朝から不機嫌になる。


 梅雨も明け、これから本格的に暑い季節になる。あと半月大学に行けば2ヶ月という長い夏休みが待っている。


 その為に5月のゴールデンウィークから休み無しにレストランバーでのバイトをこなしてきた。

 お金も貯まったし、この夏は彼氏と、それから仲の良い友人とその彼氏とで泊まりがけで海に行こうという話になっている。


 行き先は伊豆だ。

 海水もエメラルドグリーンで海底まで見え、関東とは比べものにならないくらいに綺麗だとパンフレットで読んだ。

 新しい水着も買ったし、体重だって4キロも落とした。


 夏は短い。それに若い時なんて一瞬で終わるという。多少無理をしてでも遊ぶべきだ。いつまでもその若さが続くと思うな! 

 と、バイト先の店長が言っていたことを思い出した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ