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お布団被ってちょいと来ておくれ

作者: 北西みなみ

以前、友人に「乙女ゲーム転生系を書け」と言われたみなみさん。


けれど、ほぼ全くといっていいほど乙女ゲームを知らなかったせいで、どうしようもなかった。


そんな私に、友人はいくつもの小説を紹介してきた。特に、悪役令嬢についてのお話なんかを。



………うーん。


友人や、これを書くのは無理だよ。


取り敢えず分かったことと言えば、乙女ゲームって、女の子一人に男いっぱいで、この世の男女比率はどうなってるんだ、これ? という状態で、好きな男の子落とすゲームじゃなかったのか、ということ。


私のやってみた乙女ゲーは、女の子なんて出てこなかったんだけどなぁ。あれか、無料ゲームは駄目か。コンシューマ機のやつなら、ライバルの綺麗なお姉さんが出てきてくれるのか。


でもねぇ。


もう全部は読み切れませんってくらい見せてもらった小説の設定で多かったのが、攻略対象に婚約者がいて、それにちょっかい出したからいじめられるというもの。


しかも、主人公の方は男爵とか子爵家のしかも庶子とか養子。対して、いじめてる方は、侯爵とか公爵家令嬢で、普通に王家に嫁げるようなご身分。


えーっと。


ちょっと状況を整理してみようか。


まず、狙っている男の子には、婚約者がいます。……この時点で、私、そのゲームやりたくないな。略奪愛って、趣味じゃない。


まぁ、それはおいておいて、恋人や婚約者がいる相手に、猛烈アタックします。お相手がその場にいるのに。


そして、お相手である男がなびいてくると、婚約者がいじめを開始します。……うーん、そこは主人公にもそうだが、なびくような男の方に幻滅し、文句を言い立てるべきではあるまいか。せめて世間体というものを考えろ、と。


反対に言うと、男がなびくまでその婚約者は、誰をいじめることなく心安らかに過ごしていたわけだ。しかも、いじめるのはその主人公だけで、他は理由がないからいじめない。


そんな状態でも気にせず、男にアタック掛けると、最終的には男が婚約者を貶めて、主人公に乗り換えてくれてハッピーエンド。


………それ、嬉しいか?


自分の幼いころからの婚約者を、ぽっと出の女の子と付き合いたいからって言って、相手を悪者にして乗り換えちゃうような男、どう考えても不良物件だと思う。


そして、そんなのと結ばれた日には、その男がいつ心変わりして陥れられるか、戦々恐々とする日々の始まり。うん、いやだ。そこまでして、そんな不良物件掴み取ろうとする意気込みがまず分からない。


しかも、相手は一人じゃない。攻略対象は何人もいるので、上の茶番を何セット。婚約者たち、一致団結しないで一人ひとりいじめるって潔いな。


というかさ。あれだ。身分差って、大きいよ?


何やら、男が婚約破棄するのに、主人公をいじめていたからって理由で破棄するみたいなんだが、無理だろ、これ。


だって、冷静に考えてみて?


女の子たちは、自分の目の前で、自分の婚約者にちょっかい出す庶民を排除しようとしました。


普通に考えて、当然じゃない?


ましてや、自分は上位貴族。相手はほぼ平民に近い。この場合、いじめってあり得ない。基本的に、ただ目について邪魔だったから殺したって理由だったとしても、無礼打ちで、平民側が悪いことになるのが普通でしょ?


理由なくても、平民側が悪いのに、今回の場合は、正当な理由が存在する。どう考えたって、自分の未来の夫を誑かす虫は、排除の方向に進むのが普通だろう。


というか、普通そんな状態だったら、いじめといわれる程度のことしかされないって、物凄い温情じゃないかと。


普通、それはぷちっと殺すか除名後、島流しでしょ。だって、家同士の決めた政略結婚。例え子供がそこまで考えずとも、親が対処するよ。政敵が邪魔したり、とかはあっても、主人公を守る形で介入はしないだろうから、仲違いさせようとしたとしても、主人公は死ぬでしょ。


まぁ、物凄く低い確率で、ちょうどいい女の子がいないので、ちょうど攻略対象に惚れられた主人公を養子にして、自分の家とのつながりを、と考えるのもいないとは言えないが、やっぱり無理があるだろう。


だって、血がつながってない養子なんて、ないよりはまし、な縁にしかならない。そんなのよりも、遠縁でもいいから引っ張ってきた方がいい。なら、邪魔な主人公は、消した方が早い。


呑気に、いじめにあってる暇なんてないと思う、私。よって、そんな荒唐無稽な話(いや、ゲームに転生ってのが一番荒唐無稽だとかいうのは言っちゃだめ!)、書けないよ。



もし、そんな物語を私が書けるとしたらだな。


 「ふふっ、ルル、みんなのこと、だーい好き!」と、大勢を侍らせながら、無邪気に笑う主人公。


 「ライさまはマーのものなんですからねー! とっちゃダメー!」と泣きながら、ぽかぽかと主人公を叩く婚約者。


 「ルルをいじめるな、マー! お前なんかこんやくかいしょうだ!」と、二人の間に割り込む攻略対象。


 「そうだそうだー」と容赦なくマーちゃんを寄って集って非難する他の攻略対象者達。


 それを見て、自分の婚約者と喧嘩になったり、泣き出したり、ぼーっと見ていたりする他の婚約者たち。


くらいしか書けん。因みに全て五歳児。あ、年上と年下もほしいものらしいので、ルルちゃんに抱き付いて離れないマーちゃんの弟(二歳)と、ルルちゃんのご近所のお兄ちゃん(六歳一カ月)も付け加えておきましょう。


身分違いが一堂に会しているのは、まぁ、貴族の王様へのお子様お披露目会みたいなものに、皆が出たと思いねぇ。


他の子達は、身分の高い攻略対象者達に、気軽に話しかけるような無礼な真似はしなかったんだけど、ルルちゃんだけはちょっとおバカさんだったせいで、話しかける人の少なかった彼らに話しかけちゃって、好かれた感じ。


因みに、大人は全部見ていて、ルルの両親は真っ青、攻略対象者の親は微笑ましいものを見る目、婚約者の親の一部は我が子を馬鹿にされて青筋、といったところ。


どうだ、これでいいかね、友人や。


ところで、皆様すっかり忘れてる気もします(私が忘れてたってのは内緒)が、タイトルの「お布団被ってちょいと来ておくれ」について。


皆様も、ご存知かと思われます。


隣のおばさんちょいと来ておくれ♪ おに~がいるから 行かれませんよ♪ お布団被ってちょいと来ておくれ♪ お布団ずたぼろ行かれませんよ♪ おかーま被ってちょいと来ておくれ♪ おかーま底抜け行かれませんよ…… と続く、花一匁。


鬼がいるってのに、お布団やお釜被ったくらいで出歩けるのか、とか、この掛け声はどれだけ大声なんだ、普通居場所ばれないように気配消すだろ、とか、色々突っ込みがある歌ですが、まぁ人身売買の歌だ、とかいう話もあるようなもんだし、子供の遊び歌って、残酷な歌詞多いし、気にしたらいけませんね。


何故、この「お布団被ってちょいと来ておくれ」というタイトルで、いきなり乙女ゲーム転生の話になったかというと。


友人に紹介してもらった小説の内、いくつかは頑張って読み続けてます。全部は無理(というか、更新なしで一年とか、普通に読んでたら次の日、作者退会エラーとか、そんなのもあった)だけど、面白いと思ったのを、ちまちま読んでたわけですよ。


で、そんな転生系で多かったもの。


「夜着を着る」令嬢たち。


まだ、夜着を羽織る程度なら……。いや、でも、そのまま出歩いてるし。


これ読む度に、着る毛布思い出す。着るバスタオルも。


多分、多分なんだけど、作者は、夜着を寝間着と間違っていると思うの。ギャグだったり、怠惰系女子だったりして、寒い時に布団から出たくないから、着る毛布作って、毛布と共に屋敷を徘徊しているって話ではないと思うの。


だけどねぇ。何か、異様に多いんだよね、夜着を着る人。


一人の作者さんなら「あぁ、言葉の意味を間違って覚えてるのね」で済む。何だったら、メールで「夜着ってのは、お布団って意味ですよー」って忠告したって構わない。


だけどさ、複数いるんだ。というか、数人というレベルではないんだ。。。


何これ? 小説サイトでの流行りなの? 小説サイト流行の最先端・夜着ルック! 素肌に夜着を身に着け、エレガントな貴方を演出! とかそんなテレビ通販でも流行ったの? 着物の形に似た布団なら、着て歩いてもオッケー、とかいう、夜だけ堕落した生活送っちゃう女子が流行ってるの???


いや、小説サイト、ここしか知らないから、小説を読もう! 独自の文化なのかもしれないけど。思わず辞書を引いて夜着の意味、調べ直しちゃったよ。最新版はないけど、取り敢えずうちに置いてある大辞林の時点では、夜着にパジャマ的な意味は付け加わってなかった。大丈夫、いつの間にか言葉の意味が増えてたパターンじゃない。


でも、取り敢えず、普通の恋愛っぽい小説として読んでるところに、いきなり夜着に着替えちゃう女の子たちを見てると、どうしても笑ってしまうんだ。そして、花一匁が頭を流れるんだ。よって、シリアスな場面だろうが何だろうが、底抜けのお釜被ってお布団体に巻き付け、鉄砲担いだ女の子がじゃんけんし始めるんだ。


皆様は、いかがですか? 夜着を着ちゃう系女子はお好きですか?


私は結構好きですが、時と場合を選んで着てくれると嬉しいです。小説の中の紳士淑女な皆様、お寝間着、着ませんか?

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