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長政はつらいよっ!弱小浅井はハードすぎ!!  作者: 山田ひさまさ
~ 新たなる秩序をもとめて ~
74/111

『永禄の変』 そのあとで……

新章に突入です!


将軍足利義輝公亡き後、どのように歴史は動くのでしょうか?


 三好三人衆が二条御所を襲い、『将軍.足利義輝』を殺害した。


理由は、不明。



 というよりも京の町では…首謀者は『松永久秀』である…と、まことしやかに噂が流れているらしい。


 自前の情報網を持たない者は、容易に信じてしまいそうである。

三好や、もしかすると筒井の仕業であろうか?



 その松永からの情報であるが、篠原長房、岩成友通が三好長逸・三好政康と結託したらしい。

浅井に急接近して将軍家に取り入る松永久秀に、過剰な警戒感をいだいたのかも知れない。

と言っている。



「ままならない、やはり敵は、三好三人衆というわけか」

しかし、上様が易々と討ち取られてしまうとは……。


「さぞやご無念であったろう!」




~ ・ ~ ・ ~  ・~ ・ ~ ・ ~



― 回想 ―


伊勢にて、


「はあ? あんだけ二条御所の警備の強化を進言しといたのに、あり得ない」


これが変事の報告を聞いた、俺の第一声だった。


「くそっ!」


 将軍が殺されたとなれば、少数の手勢しか持たない俺も危ない。

三好の策謀、伊賀からの介入があれば、かなりやばい状況だ。


 これまでの苦労が、無に帰する可能性が高いのである。

とはいえ、即座に引き上げたくとも、慌てて逃げるわけにはいかない。

北伊勢の国人衆の動揺を誘うのも不味いのだ。


 俺は、動くに動けない状態となった。

北伊勢の国人衆を完全に掌握していないうえ、まだ俺に正式な命令権がないのが最悪である。

(将軍が弑され権力が不在となれば、俺の指揮権が溶けてしまう。)



 幸い佐和山の磯野員昌が、早急に追加の兵を送ってくれたので助かったが、正直やばかった。

このあたりの采配は、さすがは磯野である。

後で知ったが、三好・蒲生?の暗躍で、関氏・長野氏あたりが不穏な動きを見せていたようである。

本当に危なかった。



 しかし三好め、なんて事してくれる!

5月のXデ―が無事にすぎて油断していたら、いきなり『信秀の坊や』”将軍暗殺イベントのルート”に乗ってしまった。

(六角が衰えたのに、俺が出しゃばらなかったからなのか?)


 もちろん松永久秀・久通親子は、将軍暗殺に加わらなかったらしい。三好勢とは一定の距離を置いている。

今回は監視役を置いていただけだったらしく、救出は間に合わなかったらしい。


(俺とのお茶会でイイ人になったのだ。 と言うか、俺のご機嫌取りで将軍にたいしても叛意が無かったと思う。

三月みつきに一度は小谷に来ていたし。俺の子供を孫のように可愛がっている。

久秀を”おもてなし”し過ぎたのだろうか?)




 幸い浅井家は、それほど京の足利政権自体に執着していなかったから、その方面での被害は少ないが、

幕府体勢が崩壊した為、今後守護・守護代の権限が停止してしまう恐れがある。そこが地味に痛い!


再び戦国化するかも知れない。早急な戦国大名への転換が必要だろう。

「いや、その前にあの御仁を確保しておかないとな」

俺は、松永宛に書状をしたためた。



~ ・ ~ ・ ~  ・~ ・ ~ ・ ~


― 小谷城 ―



 なんとか北伊勢から引き上げてこられた……。

しかし、完全に後手に廻ってしまっているようだ。


 美濃からも悲鳴のような報告や書状が相継いだ、幸い大規模な謀反や反乱にまでは至っていないが。

正確な情報を求めて、皆が右往左往している。

『出元不明の噂』が先行して広まっており、消すのが大変らしい。


『浅井家が将軍の弑逆に荷担した!』


 一時、浅井が犯人であるという噂を撒かれたらしい。

どうやら信長や蒲生あたりの犯行のようで、小競り合い程度の騒動はかなりあったようである。


 というわけで、今は竹中重元と打ち合わせをしている。

状況は、絶望的とまではいかないが、予断を許さない。


「最悪の場合北伊勢の放棄は仕方が無いが、美濃を手放すわけにはいかん!」


「ははっ、それはもう重々心得ております」


雪の中を相当無理をして駆けつけた、重元に美濃方面の詳細な報告を受け、おおまかな指示を出した。



「特に織田家には注意せよ、こちらからおいそれと増援を送れない今、噂を口実に仕掛けてくるやもしれん」


「はい、そちらの方は、すでに対応を準備いたしておりますゆえご安心を……」


「あとそれと、身重の重虎は、絶対に無理をさせずに静養させるように」


「ははっ、お気遣いありがとうございます」


「頼んだぞ、今が一番大切な時である!」



美濃に関しても色々と気がかりなことは多いが、ここは正念場である。

踏ん張らねばならない。




~ ・ ~ ・ ~  ・~ ・ ~ ・ ~




 今は冬に入ったばかりだ、小谷は雪に閉ざされている。

関ヶ原にも雪が降り、美濃との連絡もひと苦労するありさまである。


雪解けの季節まで、本格的な行軍は不可能である。



いざ戦闘となった場合、佐和山に駐留させている兵力と、江南の兵を使わざるを得ない。


「してやられた! 三好め、こちらが動けなくなる時期を見計らっていたな」


(ああ、将軍の弟が心配だ。)


「まあ、松永が味方で良かった」

念のため、弟の内藤くん(松永長頼)にも陰謀に警戒をするように伝えておいた。

最悪は、丹波放棄もありえるだろう。


 三人衆は、河内にある三好家の本拠地、飯盛山城を襲撃し、『保護の名目』で主君.三好義継の身柄を確保したらしい。



 松永久秀は、思わぬ汚名を着せられ大きく出遅れたようである。

三好一族ではないうえに成り上がり者であるためか、この手の策略に弱かったとは意外である。

子飼いの家臣が少なく『将軍殺しの悪評』に苦労しているようだ。


やはり、強力な後ろ盾があってこそ 『松永久秀は、役に立つ能臣』となり、

独り立ちすると、その個性と他者からの妬みゆえに 『ワル』 になってしまうようだ。



~ ・ ~ ・ ~  ・~ ・ ~ ・ ~


― 大和国 ―


 あるじであるはずの三好家におのれを全否定されてしまい、松永久秀は苦境に立っていた。


「もはや、浅井家の長政殿に頼るしかあるまいて……」


大和の実情をよく知る久秀は、筒井家の工作にも気が付いていた。



『将軍の弟、興福寺一乗院の覚慶を浅井家に届ける』

これが彼に残された、唯一の起死回生の妙手であった。


「くくく、長政殿も気付かれておったか、これならばなんとか成りそうじゃ!」

追い詰められた状況ながらも、長政からの書状に一筋の光明を見出し。

久秀は、ニヤリとわらった。




『 大和国国主 松永久秀殿


 前置きはよしとして、興福寺一条院門跡.覚慶様のお身柄お頼み申します。


相国寺塔頭 鹿苑院の周暠様 すでにお亡くなりのご様子、おいたわしく存じます。

周暠様を殺害した以上、三好方は平島公方.足利義維の長男を擁立するでしょう。


 一条院覚慶様のお身が危のうございます。

是非、近江の浅井を頼られますようお口添えとご助力をいただきたい。


久秀殿の領国.大和の件、この長政がご協力いたす。      


                       浅井長政     』




ひさまさ独自の視点でお届けいたします。

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