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賢政、承禎に言いわけする! 「俺悪くないです」

ここら辺は似たようで違う、微ギャグパート。


流し読みください。

一方、

浅井の兵は城の前の空き地を占拠していた。

和やかなムードである。

「ご苦労さん」

こちらの都合の良い流言を放った。足軽潜入部隊を指揮した親衛隊に肩をたたき親しくお礼を伝えた。

借り出された湖東の農民足軽に混ぜておいたのだ。

「ありがとう、とりあえず半分終わったよ。」

「ははっ」半分の意味はわからなかったが、殿の感謝のお言葉は身に沁みた。


 そこには、陣幕を張り、悠然と将棋に腰を下ろす浅井殿の姿があった。

おや、何かございましたか、蒲生殿の御家中の方?

息を切らせ馬を走らせようやく追いついた。

しかし、ここにたどり着いたのはわずか百と数十騎しかいない。

8千に攻撃されたらひとたまりもない。

それでも聞かねば。

「はあはあはあはあ、浅井殿、観音寺のお城を攻撃なさるとは、お気は確かですか?」

「・・・・・・・。」

返事がない、とても焦る。罵倒された方がマシだ。

「はあはあはあ、一体どういうことなのです?」

「いやいや、肥田城主高野瀬殿が御謀反と、あらぬの疑いで責められていて困っているとお聞きしたので、

お城のどなたかに、あるいは六角義治様ご本人に事の次第をお聞きしようかと思いましてな。

何せ家の家中の者が戦だ戦だとひどく息んでおりましてな。困りました。」

心底困ったように苦笑いを見せる賢政どの。

「一応、軍役に従事出来るように出撃の準備はいたしておりますので、まあ、とりあえず確認の後、・・・。」


がたっ、ごとっ、ばさっ。

騎馬部隊に守られ張り詰めて賢政の様子を窺っていた蒲生賢秀は脱力し、警戒してさらに後ろに隠れていた後藤賢豊は腰から崩れ落ちた。

つまらないご冗談はおやめ下され、賢政殿!!

いや、冗談ではありませんよ。高野瀬殿は本当に死ぬ思いでお城におられるハズです。

まさか、ちょっと気にくわないなどという子供じみた理由で肥田の城を攻められているのでしたら高野瀬殿に加勢しなければなりますまい。そう思われませんか?蒲生殿?


浅井殿、そのような戯れ言では事態は収まりませんよ、どう責任を取られるおつもりです?


 何、義治殿が浅井の誠実さを理解なさらず、本気で排除しようとされるのでしたら罠ごと噛み破るまでです。

蒲生殿が是非にとご希望でしたら今から一戦お相手いたしましょうか?

あまりの迫力に一歩下がる、賢秀、目を見張り驚く賢豊。






まあ、今、義賢様に進退を伺っております故、お待ち下さい。

義賢様ですか?

義賢様、いえ失礼!今はもう承禎様でしたか?

せっかく諱を戴きましたのに、寂しいものですね。賢秀殿、賢豊殿。


殿!!観音寺城内より使者が訪れております。


では、参りましょうか、蒲生殿、後藤殿。


勝手知ったる我が家のように蒲生賢秀・後藤賢豊を従え登っていく。

謁見の間にて

承禎さま、お騒がせして申し訳ありません。


「物々しいな賢政。」

六角承禎は怒っていた。手塩にかけて育てたはずの飼い犬におもいっきり手を噛まれたのだ。


「書状はご覧いただけましたでしょうか?」


「義治が一色の義龍、京極に踊らされているというヤツか?」


「はい、それです。」

ザワっ控えている諸将がざわめく。


「ふん、ばかばかしい、証拠は?確証はあるのか?」


「今のところ状況証拠のみにございますれば、しかとは。」


「証拠がないとは話にもならん。」

「確かに、まったく話になりませんね。私としては信じていただかなくても構いませんが?」

「どう見た。」

「私をおびき寄せるために肥田城の高野瀬殿を攻めさせたとしか思えません。

2万もの兵を出す必要もございませんし。ましてや水攻めもどきなどという小細工など意味がわかりません。

浅井といたしまししても、本来であれば、近江守護の六角さまの下知に従うのみでありますれば。

降伏勧告だけでも城は落ちましょう。」


「浅井が肥田城の救援に向かうと云われていたが?」


「浅井が救援に向かうという噂は確かにございますし。救援に向かわねば、浅井は笑いものです。

実際高野瀬様からも援軍のお願いがございました。私めも正直お助けしたいと思い行動いたしました。

でも、私の心の内はともかく、義治殿の出兵の報告を聞くよりも早く噂が広まっておりました。」


「浅井は嵌められたと、だから責任はない。お主はそう申すのじゃな。」


「嵌められているところ、現在進行形でございます。

浅井が大軍に囲まれている肥田城の救援に出ようとするならば、江北はまったくのカラです。

実際に、今は兵が出払いほぼからですし……、その報告を聞いた一色義龍はさぞ喜んでおることでしょう。

義治殿は浅井が憎いと思うあまり、近江守護としての自覚がござらんようですな。」

「義治を愚弄するか」

「臣従をしている者を罠に嵌めるとは、論外でしょう。

浅井は斉藤、六角この二つに挟まれば、罠を噛み破り、小谷に逃げ込むしか手はございません。

江北の柏原、醒ヶ井、浅妻を斉藤にくれてやっても佐和山が手に入れば御の字。

六角は江南さえ良ければ良いのでしょうか?」


「なぬ、斉藤?」


「一色を名乗ってはおりますが、やることは斉藤道三殿と変わりません。

義龍は息子ですし。出自など全くのでたらめですよ。」


「では、一色、いや斉藤が攻めてくると申すか?」


「おそらくは。」


「大変ではないか。」


「大変です。」


「こうしてはおれん、出陣の支度を…。」


「出陣しないでいただきたい。ご心配にはおよびません、これより引き上げますれば。」


「六角も援軍をつけよう。」


「それは無理にございます、浅井勢みな大人しく私の下知に従ってはおりますが。今回の件で、援軍を江北に迎えることは出来なくなりました。

義龍の策でいまや完全に江北と江南は割れてしまいました。」

「ぐっ」

「承禎さまでなければ私めも手放しで従うわけにはまいりません。」


「斉藤にまんまと謀られたか。」


「謀られ申した、義治様が私に隔意があるのは見る物が見れば判りやすいゆえ。

たとえ斉藤勢が出陣しなくとも、近江の守護六角の結束に罅を入れることはできたという事です。」


「むむ、義龍め。」


「斉藤の件はあくまで私の推測ですので、義龍の調略がどうなっているか、承禎様の方で裏を取っていただけませんか?」


「わかった。」


「それではすぐに陣を払います。」


「すまぬな、埋め合わせはいずれする。」


いえ、すでに承禎様からは過分のお心遣いをいただいておりますゆえ、お気になさらず。


側に控えていた後藤、蒲生は固まっていた。


六角承禎の仲裁により、後藤、進藤、蒲生が六角の兵を鎮め騒ぎは収まった。


世に言う「肥田の戦い」(六角の大崩れ、六角総崩れ)である。



愛知川以北が浅井の配下となった。



六角承禎は家督を息子に譲り出家・隠棲したものの、斉藤の調略を警戒する必要にかられた。

あっさりと義治が一色と交わした密約が判明した為である。

浅井との友好を取り戻し、さらに連携を深める為に、わずか一月あまりで観音寺に戻ることとなった。


浅井賢政が観音寺城にて会談をおこなっている頃、遠藤直経率いる部隊は用は済んだとばかりに早々に引き揚げていった。


六角勢は、整然と部隊として観音寺に帰ったものは少なく、皆が敗残兵であった。

六角勢は皆が脱力した……、ほとんど戦闘がなかったが、多くの脱落者を生み出してしまった。

名のある武将の中には自分を恥じて身を隠した者もいたという。また、多くの者が浅井家に仕官を願い出たのも事実である。

家老の赤尾清綱、雨森清貞、秋貞が戦後処理に奔走する中、

浅井賢政はといえば、陣を払い……。



改装中につき、細かく訂正を入れて行きます。

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