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長政はつらいよっ!弱小浅井はハードすぎ!!  作者: 山田ひさまさ
 ~ 『 涙まじりの雌伏編 』 ~
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仕事の鬼?

仕事と言うものは大変です。

皆様も、おつとめご苦労様です!!

海北友松のお仕事?


海北友松、みなさん覚えているだろうか?


え、影が薄い?

知らない?

そんな奴居たの?


 それを云うのは、あまりにも可哀想である。

やしゃ君の時代から、忠実な近習として、「あちらに」、「こちらに」と

しっかりと、お遣いをしていたのだ。


 「な~んだ、おつかいか~ショボいな~」とか言ってはいけない。

 猿夜叉丸君は、存外人使いが荒いのだ。


 就職氷河期を勝ち抜き、デフレという闇の時代生き抜いて社会の荒波に揉まれた、ごく普通の青年。それが、やしゃ君なのだ。


やしゃ君方式では。

全体での大まかな方針と、各人が目指すべき目標・方向性を決めたら、後は簡単なアドバイスをしつつ、

『やれ』と指示するのみなのだ。


 もちろん、随時進捗状況を確認し『必要ならば』手を打つが、基本お任せなのである。

お任せするから、担当者なのだ。 責任を『担』うのが『当』然の『者』なのだ。


会社と云おうモノは、そんなもんである。


『出来て当たり前』、『出来ないのなら頑張れ!』

なのだ。

 現実社会は、甘くは無いぞ。 



 お偉いさんに、へいこらへいこら頭を下げるのは、デフォルトなのである。

『プライドで飯がくえるか、会社を守れるのか?』が、基本のごく普通の日本人なのだ。

頭を下げたぐらいで、そう簡単に人は死なないモノなのだ。プライドをはき違えてはいけないよ。


 というわけで……。

 『美濃紙に勝る和紙を作れ』と言われれば、作らないとイケナイのだ。

まさに夜叉である。


 まあ、このプロジェクトを曲がりなりに成功させただけでも、友松は立派である。

わら半紙を作り、量産。そしてさらなる高品質品の開発と本当に大変だった。


 江州紙の製造も何とか軌道に乗りそうな、今日この頃なのだ。




「あ~やれやれようやく上手くいきそうだ、は~疲れた~」

と思っていた矢先、戌亥町のアトリエでようやっと寛いでいたところだったのである。


「ごめんくだされ、海北殿、若がお呼びです」

と、小堀殿が呼び出しを伝えてきた。


「はて、なんだろうか?」

訝しみつつも、田川にかかる大橋を渡り、秋葉権現を横手に見ながら、雲雀山の屋敷に向かった。



新しい建前の屋敷は、手入れが行き届いている。


「すまん、海北、仕事だ、絵を描いてくれ」


「絵と言われますと、屏風絵のことでしょうか?」

「それもなるだけ早く頼む」


「では、版下に使う仏画の下絵のことでしょうか?」

「そっちは、多少遅れても構わない」


「ああ、昨日頼まれた旗指物の図案のことですね。」

「出来たのか?」


「いいえまだ手を付けてはおりませんが……」

「そちらもなるべく、急いでくれ、頼みというのは他でも無いゴニョゴニョ……」


「……はあ、判りましたが……」

「手空きの者には既に伝えてある、安心して作画に取り組んでくれ、じゃあ頼んだぞ」



~ ・ ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~



― 蹟理絵アトリエ、"海" ―


 小谷城下は戌亥町の彼のアトリエ、そこは只今絶賛修羅場中である。

それはもう「締め切りが迫った漫画家の如く」、と言えば良いのだろうか?

 弥太郎や勝太郎をリーダーに、手空きの小姓と町人の丁稚を使い総動員体制で頼まれモノをこしらえている。

もちろん、他の職人も居るが、それぞれが分業でこなしている。

何故か、年若い板倉勝重が総指揮を執っているのだが、今や誰も気にしちゃあ居ないのである。

「それよりも納期だ。」このままでは、お正月を返上せねばならないのだろうか?

暗澹たる気持ちになる友松であった。



 海北友松と言えば絵描きなのである。

史実では、日本トップクラスの画家さんであるが、それは浅井家が滅んでからのことである。

本当は海北家を再興したかったのだ。


 こちらの友松は、押しも押されぬ武士である。

だから、名将海北綱親の息子としては、絵描き扱いははなはだ不本意なことなのだ

 しかし何というか、あの井伊直虎とか遠藤直経の鬼のような訓練から逃げるために、あえて『文系あぴ~る』してしまった……だから……。

若君(やしゃ君)には、文化人=友松=絵描きの式が完全に定着してしまった訳である。(設定通りなのだ)

 という訳で、「意外に絵がへたくそな友松」にみっちりと絵を仕込んだのも、やしゃ君である。

なんとまあ、ヘンテコな話だろうか?

まあ確かに、適性はあったようで、今は絵師としてやっていけるぐらいには上達している。

不本意ではあるが。


何故こんな事を言う? そうそう只今絶賛お絵かき中であるという事だ。


とある、一室からは、小姓組の悲鳴のような声が聞こえる。


「ひい~まだあるのか?」

「ん~まだはんぶんだ」

「ひょえ~」

「頑張れ」

「おい其処はみ出しているぞ、ちゃんと塗れ。」

「手を止めるな、もう少しで半分だ。」


「うう~なんでおれまで、手伝いなんだ?」

「人手がいるんです頑張って下さい。」


大勢の若者が、目的を果たすべくそれぞれ、仕事に勤しむのであった。



そんな、ある昼下がり。


「おう、友松!元気に頑張ってやっているか?」

遠藤直経が現れた。


「直経、これが元気に見えるかい?」

くっきりと隈ができた、友松が恨みがましく言い返す。


「おやまあ、なんとも、まあ酷い顔だ。どうだいこれから温泉でも?」


「そんなヒマがあるか、手伝ってくれよ~」


「別に良いが、本当に俺が手伝っ……」


「スマン、手を出すな、触るな、壊すなよ、汚したら絶交だかんな~」

割と気が短い直経に、細かい作業は無理であった。


「へいへい、じゃあな友松!!」

手ぬぐい片手に、直経は颯爽と須賀谷を目指し歩き去って行った。

鍛錬後のひとっ風呂は格別であろう。


「……あの野郎!!くそ、羨ましい。」

泣く泣く仕事を再開する友松であった。



さあ、六角を籠絡すべく、やしゃ君の活躍が始まります。


やしゃ君は、『企業戦士』です。(起業戦士としても頑張ります。)

燃え上がれ、!、!!賢政君よはしれ~。

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