遠藤直経という男 (ティーブレイク01)
直経の出番がまだまだず~つっと先なので、チョットしたお話しをお届けいたします。
短いですが、直経視点でどうぞ。
~ 遠藤直経という男 ~
この春、目出度く 『浅井 新九郎』になられた、『猿夜叉丸様』
いつも颯爽と、さりげなく皆を導いて下さる。すばらしいお方だ。
主君(?)、久政様に「直経、観音寺城へ行ってくれ」と、猫なで声で言われた時には、サクッと葬って、出奔しようかと思ったものだ。
思いとどまって良かった、六角など「皆」斬り殺してしまいたいが、さすがに無謀な願望だとは思っている。
あの日、私は……
殺伐としたまま、私は他の奴ら(糞ども)とともに、観音寺城下に赴き猿夜叉丸様に拝謁した。
猿夜叉丸様は、にこにこと機嫌良く我らを出迎えて下さった。
(ナニを呑気な、ガキが!!)
私はほとばしる怒りを抑えられなかった、いま浅井は危機に瀕しているのに、敵地でのうのうと暮らしていている若君が……
憎かった。
私は未熟者だった・・・。
穏やかに微笑みながら、若君に誘われ、夕食を御相伴にあずかった。
囲炉裏に招かれた。
にこにこと食事される若と、給仕、そして私だ。
囲炉裏で作られる食事はおいしかった、しかしまだモヤモヤは収まらない。
すると、「若」は灰に文字を書かれた。
筆談?
「見張られてるかもしれない」
(むっ、なに?)
「つまらんことで心を乱すな」
(え?)
「遠藤、ムキになるな、ここは敵地だ」
(どういうこと、だ)
「俺がここにいるのは江北の為だ」
(えっ?)
「男なら堪えろ」
くううっ、「猿夜叉丸」様は、声に出して本心を吐露する事もお出来にならないのだ……。
過酷な人質生活。なんと私の未熟なことよ。
穴があったら入りたい。
全力で御護りせねば。
私は心の中で、ひっそりと『我が主君』に永遠の忠誠を誓った。
~時は経ち~
「ぐぬぬぬ、あの井伊直虎のヤツめ~。」
余所者のくせに、「新九郎様の護衛」と称し、いつもいつもベッタリ。
「うらやましいわっ。」
新九郎の忠臣、遠藤直経。彼の出番はもう少し先の話だ。
遠藤直経は、過激な炎の特攻隊長です。
やしゃ君が、「観音寺城に最も来ては行けない男」と、評しただけのことはあります。
ですが、
一番来て欲しかった、頼れるアニキです。




