『新たなる秩序を求めて』 その弐
前回の続きです。話は、淀の戦の後まで戻ってきます。
『新たなる秩序を求めて』 その弐
― 長政君の京でのお仕事 残業 ―
関白様・お公家さんと共謀して、新たな位階・官職を割り当てる素案を作成した。
浅井家の分は、先に確保しておいたからな。
公卿補任 (素案)
三位以上の公家
~
国司の任命(春の国の司召・県召除目)
諸大名.他
浅井長政、京都守護職。山城・近江・美濃守。従四位下左近衛中将
浅井久政、下野守
浅井政元、伊勢守
浅井政之、佐渡守
斎藤竜興、越中守
ここ迄の位階と官職を俺が先に買った。もちろん今後の布石も踏まえている。
その他、味方の分も確保しておこう。
松永久秀、従五位上大和守
内藤長頼、従五位下丹波守
松永兄弟には、大和守・丹波守に相当するように位階を引き上げる関係で、率先して献金してもらおう。
『献金すれば位階があがると』 皆の手本になってもらいたい。
畠山高政、従五位上 河内守 修理介
畠山昭高、河内介 左衛門大尉
土岐頼次、従五位上 左京大夫、陸奥守
斯波義銀、正五位下 侍従 武蔵守
尼子義久、 出雲守
こちらは家臣(国人の分)だ
井伊直盛、尾張介
海北綱親、長門介
赤尾清綱、美作介
雨森弥兵衛、摂津介
阿閉貞征、淡路介
磯野員昌、丹波介
~
遠藤直経、若狭介
将監
勘解由判官
判官
少外記
少内記
衛門府大尉
少尉
大膳少進
衛門少尉
軍監
↑
まあ、あとは響きの良さそうな官職を適当に選ばせよう。
どうせ実体はないからな。
とはいえ……。
井伊掃部頭直弼なんて、朝廷内の掃除当番の班長さんみたいなもんだよな。
シルバー人材センターの職員クラスかな?
実体は、しょぼいのに胸を張って自慢しているところが滑稽だ。
(人材センターの方ごめんなさい、井伊家35万石の大名と同じだということで笑って許してね)
石田佐吉にも、令史ぐらいもらってやるかな。
(※作中の長政個人の感想です、実態は違う場合がございます)
……まあ、こういったところかな?
で、各大名の割り当ても一応、考えておかないとな。
「ええっと」 「どれどれ、ふむ」
(関白様、身を乗り出さないでください。)
「少し位階を下げましょう」
とりあえず、”国司位階相当”を逆利用して、官職に合わせて位階の方を下げよう。
朝廷への貢献が少ないことを口実に、下げれば良い。
位階が下がらないものと決めるところが、お役所仕事なのだ。
国司のくせに朝廷に一貫も金を払わないヤツは、少初位下からやり直せばいいのだ。
上げて欲しかったら献金すれば良いのだ。
毛利元就、贈.従四位下 右馬頭 治部少輔 陸奥守だ。(献金の功績)
毛利輝元、従五位下侍従。幼少のため。 夕霧と同じだ感謝しろ! 右衛門督
織田信長、正六位下上総介(追認)
(これを追認したのは、故.織田信秀の功績によるものとして発表する。
信長は現在浅井家と対立関係にあるが、朝廷は公正・中立であることを示すのだ。 )
以前、信長が間違って私称した『上総守』にしようかとも思ったが、大人げないので止めた。
(上総国は親王の任国であるため、介が事実性の最上位である。)
今川義元、従四位下→正五位上・治部大輔兼駿河守
武田信玄、従五位上大膳大夫、信濃守
上杉謙信、従五位下弾正の少弼
三好義継、 (空白) 左京大夫 阿波守
(あくまでも、素案です。)
あとはどうなんだろう?
まあ、いま名乗っている位階・官職を、早い者順、献金額で決めていこうかな。
位階の方は抑えめにしよう。
そこらへん辺りは、公家さん達にお任せしようと思う。
― 御所.内裏清涼殿 ―
そうして、素案をまとめた上で朝議にかけることとなった。
まずは、俺が近衛さまに促され、概要の話をする。
目の前には、公家達がひしめいている。
二条晴良、近衞前久、一条内基。 最終的には、お三方が主導して話をお決めになられる。
久我通堅殿も居た、彼は弟の政元の義兄となる
「まあ、こんな感じでいったん不正な官職を取り上げたうえで、改めて販売するということでいかがでしょう?」
「おおっ、さすがは長政殿」
「目の付け所が違いまするな」
「これは相当な収入になるでおじゃるよ」
言継卿が、合いの手を入れてくれる。
「だいたい守護が勝手に官途状なるものを持ち出したのがわるいのじゃ」
「これを使えば、新たなる屋敷も建てられようぞ」
「あまり、やり過ぎないでくださいよ」
皆さんが興奮気味なために、釘を刺す。
「判っておるでおじゃる。長政殿には、苦労をかけるの」
「好きな位階・官職を譲るゆえ、協力して欲しいのでおじゃる」
「細かいところの話し合いや、各大名への通達は麻呂達が責任を持ってやるでおじゃる」。
「こんなに楽しみな春の除目も、久方ぶりよのう」
近衛様が、まとめに入った。
「ほんに楽しみでおじゃる」
「浅井家は、ほんに帝を想う志が厚いでおじゃる」
久しぶりに大口の収入が見込めるとあって、公家衆の反応は上々だ。
誰も異論を言わない。
『来年、永禄11年(1568年)以後、受領名としての、私称を禁ずる』として、位階・官職を販売開始だ。
もちろん、審査をキチンとするぞ。
官職が収入(貫高・石高)に見合っていること。
過去の朝廷への貢献度。
朝廷への献金額。
その他、贈り物、姻戚関係など。
そこを踏まえた上で、厳格に申請を受ける必要がある。
公家衆は早速、献金を督促したようだ。
朝倉と三好の睨み合いが続いている。
北陸に異変があって、状勢が厳しくなってきた。
「まずいな、直経を連れ出してテコ入れをさせよう」
上杉殿を越後に返すために、少々時間を取られてしまった。
少しばかり予定が押してしまったな。
「仕方がないな」
今年の官吏の任命を、年末に発表する運びとなった。(追儺召の除目)
そして、国司・県の除目を春に行う予定である。
献金・功績が多大にある大名クラスを国司(守)に、有力国人クラスを(介・丞)に。
朝廷が、正式に位階・官職を授ける。
まったく献金のない大名を、典膳・判官・掾に仮任官(翌年以降の献金がない場合はさらに降格)
”先の○○の守☓☓判官”何某だ。
もちろん、最後のイベントが、将軍宣下の予定である。
それだと連中も、迂闊に文句は言えないよな。
ああ、上洛できないヤツは来なくていいから。
将軍家に対する忠誠のなさと。 朝敵と言うことで、ファイナルアンサー?
『アートインながはま』楽しかったです。
明日もあります。