『 遠藤直経という男 京にゆく 』 ティーブレイク05
今回は短め。
通勤・通学の合間にどうぞ。
『 遠藤直経という男 京にゆく 』 ティーブレイク05
私は、遠藤直経である。
この夏、目出度く 『京都守護職』になられた、『浅井長政様』
いつも颯爽と、さりげなく皆を率いて下さる。すばらしいお方だ。
殿と、浅井家を発展させることが、何よりの生きがいだ。
恐れ多くも、殿のお姉上『阿久姫様』を嫁に頂いた。
「儂も晴れて一門じゃ!」
悪堕ちしてしまったからであろうか、最近出番が少ないような気がする。
それはまあいい。
殿といっしょに、上洛軍について行きたかったのだが……。
「おまえ、六角・朝倉をみて堪えられるか?」
殿に、そう聞かれてしまった。
「ううっ」
六角の犬どもは散々切り捨てたので、今は溜飲が下がっているが……、
朝倉のバカどもを目の前にしたら、正直どうなるかわからん。
”奴らは、敵だ!”
「だろ? 俺でさえ怒りをこらえるのに素数を数え、フェルナーの定理を考察しているんだ。直経なんて我慢できないだろ?」
優しくそう諭され、すごすごと諦めた。
「殿と天下を取りたかった……」
大それた願望だとは思っている。
でも、儂が頑張れば……。案外やれば、できるんじゃないか?
そんな過激なことを思う、直経である。
~ ・ ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~
― 遠藤屋敷 ―
「朝倉の奴らも、皆斬り殺してしまえばいいんだぁ~!!」
そう叫びながら、小谷城下清水谷の屋敷で剣を振るっていると、殿からの出陣要請が届いた。
「俺の代わりに長島に行って成敗しろ!」とのご命令だ。
殿は、私を必要だと言ってくださるのだ。
全力で期待に応えねば。 喜び勇んで、殿に仇なす敵を葬った。
お陰で、多少溜飲が下がった気がする。
しかしよく考えてみると、織田信長と松平元康とかいう、鼻たれ小僧のせいで、ますます殿から遠ざかったではないか。
「いまいましい」
直経は早速部隊を招集し、はげしい訓練を行うのであった。
まだまだ戦では役に立たない腰抜けどもを叩き伏せ、実践さながらの戦いを学ばせる。
「これは、生き残るための訓練である。」
「「「「ありがとうございました)」」」」
(((隊長、今日は気合が入っているな~)))
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殿の弟君、政之様が京に登られる。
弟君を再起不能にして、替わりに儂が行くというのはダメだろうか?
そう思っていたら、嫁にボコられた。
仕方がないのでまた、剣を振っている。 (反省しなさいと言われたからな。)
昔の主君、久政様に「直経、稲葉山城(金津苑)にいかないか?」と、猫なで声で誘われた時には、サクッと葬って、上京しようかと思ったものだ。
思いとどまって良かった、久政様もたまには仕事をしているらしい。
六角など「皆」斬り殺してしまいたいが、さすがに残りが少なくなっている。REDデータだ。
(大抵は、殿の配下になってしまった。)
仕方あるまい。 私は深呼吸をし、乱れがちな息を整え……叫んだ。
「朝倉の奴らは、皆斬り殺してしまえばいいんだぁ~!!」
そう叫びながら、屋敷で剣を振るっていると、殿からの出陣要請が届いた。
「京に行ける!」
主君、は私を見捨ててはいなかったのだ。
「朝倉は、まだ斬り殺しちゃダメだけれど、三好をボコボコにしないか?」
手紙にはそう綴られていた……。
私は猛烈に感動した。
朝倉宗滴にボコられた先々代の恨みはともかく、殿の傍に行けるとは……。
三好か、おひと好しかは知らないが、溜まった鬱憤を晴らしてやるわ。
私は溢れ出る涙を拭い、阿久に告げた。
『出陣いたす!!』
斯くして、『軍神.上杉謙信』の替わりに、『炎の特攻隊長.遠藤直経』が戦いの場に現れた。
彼に率いられる5千の兵は、皆屈強であったという。
遠藤直経の参戦が、歴史にどのような影響をあたえるのか? それは誰も知らない。
遠藤直経は、過激な炎の特攻隊長です。
一番傍にいて欲しい、頼れる義兄です。
子供も出来ました。直経は、真面目に戦いますよ。
「ふぁっふぁっふぁ、ひとりのお人好しは、とにかく弱い!」
「しかし、三人のお人好しが集まれば、なにも怖くない!!」
「われら、おひとよし三人衆!!!」
おひとよし三人衆 !!! ← ううっ、攻撃しづらい。