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あの娘は二面性ガール  作者: 紙月三角
09章 Both sides now
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01 side-A 1

 日曜日の朝。

 結構みんなに意外って言われるんだけど私、休みの日だからって、だらだらとお昼過ぎまで眠ってたりなんかしないよ。どんなに遅くたって朝の八時半には起きてるんだ。健全でしょ?

 だって出来る人ってみんな、朝早く起きて活動するっていうじゃん?私の熱い朝活動、アサカツ!始めてるっていうじゃん?だから私も出来る女代表として、やっぱり朝から起きて活動的なことをしちゃうわけ。


 まあ手っ取り早く簡単に言うと、八時半から見たいアニメがあるってだけなんだけど…。


 その、お目当てのアニメも見終わって、朝ごはんもがっちり食べて、ちょうどいい具合に眠くなってきたんで二度寝でもしようかなあって思ってたんだけど、そう言えば…、って思い出したことがあったんで眠い目をこすってもうちょっとだけ起きていてあげることにした。



 何のことかって言うと、それは、この前の金曜日に……。


『時に皆さん!夏休みのご予定って、もう立てておいでかしら!?』

 いつもみたく私たちの教室にやってきて、大声でそんなことを言ってきたお嬢様。相変わらず突拍子もないことを言うなって思った。だって夏休みって、何か月先の話よ。そんなん、まだなんも考えてるわけないじゃん。

『実は最近私のお母様が、バリ島とハワイと沖縄に高級リゾートホテルを造ってね!その試験運用を兼ねて、わたしの友人をそのホテルに招待してもいいと言って下さったの!正直わたしとしてはそういう、なんていうのかしら……、皆さんをもので釣るようなことって、あんまり気持ちのいいものではないからしたくないのですけれど……』

 そして相変わらず、あのお嬢様はまごう事なき「残念お嬢様」だなって思った。言い訳に必死なわりには、考えてること丸わかりなんだよ。

『も、もちろんわたしの友人は誘いますけれど、それ以外にもし、皆さんの中でわたしの友人の振りをしてもいいという方がいらっしゃるなら…、その方も一緒にご招待して差し上げたいなー、なーんて……い、いえ、もちろん振りじゃなくってもいいのよっ!?本当の友人というつもりで……つ、つもりというか…、本当に友人チックな…、友人ライクな…、もうほぼ友人といっても過言でないような…、そんな関係性を築いてくださっても、い、いいのですけれど……』

 後から聞いたんだけど、これ、学校の全クラスにおんなじことを言って回ったらしいからね。

 必死過ぎでしょ。そんなだから友達出来ないんだよ。



 でもまあ、くれるっつうものは遠慮せずにもらうし、そのためなら悪魔に魂だってたたき売りしちゃう。お嬢様の友達の振りだって、全然我慢できちゃうし!

 ってのは言い過ぎか。別に好きじゃないけどお嬢様のこと、そんなに嫌いってわけでもないしね。


 そんなわけで、かなたもオンちゃんも私も、ひょいひょいその誘いに乗ることにしちゃったんだ。まあ、かなたは私が無理矢理参加させたんだけど。

 だって南国リゾート?バリとか沖縄とか、それってとりあえずお泊りってことだよね?

 かなたの水着姿……、ひと夏の思い出……、夏の日差しで開放的になったかなたは私と……って……、これじゃあいつぞやのちびっこストーカーみたいだし…。まあ何にせよ、今年の夏休みは楽しみ過ぎるぅ、ってこと!



「えぇー、どこにしまったんだっけなぁ……」

 自分の部屋の引き出しとかタンスを片っ端から開けて、中の物を放り投げながら、私はさっきからずっとあるものを探していた。

 だってお嬢様、『詳細は参加して下さる方が固まってから改めて連絡しますわね!おーほっほっほー』なんて言って、どこに連れてってくれるか教えてくれなかったんだけど、もしかしたらバリとかハワイかもしれないんでしょ?ってか、ぜひぜひそっちに行きたいし!

 うちは海外旅行とかしょっちゅう行けるほど余裕なくって、私がすっごい小さかったときに一回だけ、家族みんなで韓国に行ったことがあるきりなんだ。しかもそれだって、お母さんに写真見せてもらったからそうなんだ、って知ってるだけで、私自身に記憶なんか全然ないし。

 だからだから、なんとしてもお嬢様には海外に連れて行けって言いまくるとして、こっちとしても、もしそうなったときのための準備はしておかなきゃね。


「あ、あったぁー!」

 何故か洋服ダンスの奥の方、封筒みたいなものに入っていた黒い手帳、っていうか私のパスポートを見つけて、思わず小躍りしちゃった。もしもこれ無くなってて、私だけ海外いけません、なんてことになったら最悪だもんね。

「こんなとこに仕舞ったのお父さんかなぁ。あの人真面目な振りして結構いい加減なとこあるからなぁ。もぉう、私が見つけなかったらどうなっていたことかぁ!」


 引き出しとかタンスの中身が散乱している無残な部屋を見ないふりをして、ベッドに寝っ転がる私。部屋の片付けは、二度寝してからでいいや。ってか、お母さんになんか言われてからでいいや。

 そんなことを考えながら何となくパスポートをぱらぱらとめくっていた手が、急に止まった。



「え…?え…?え…?」

 あれ?おかしくない、これ?え、どういうこと?

 意味が、分かんないんだけど…。


 そのパスポートの、私の小さい頃の顔写真が載っているページ、国籍がJAPANとか、パスポートの有効期限がいつまで、とか書いてあるそのページの、名前の欄を見て、私は頭の中が真っ白になってしまった。


 姓 IMI。

 名 YOOKO。


 伊美よお子。

 どうして、あいつの名前が書いてあるの…?

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