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あの娘は二面性ガール  作者: 紙月三角
07章 チョコレートは誰が為に
67/152

05 検討3

……………【美河かなたの証言】……………


「だからさっき言ったよな?あたしは澪湖にチョコなんてやってない。もしあれなら誓ってもいいよ?神にでも、何にでも」

「え?…っ、だーかーらー、先生に呼ばれたんだよっ!なんか授業の準備でさっ!これも、さっき言ったよな…?」

「……うん、そういうこと。なんかそれ、ちょっと大袈裟だな……だけどまあ、お嬢様の言う通りだよ。あたしには、この件については『アリバイ』があるってこと!はははは」

「えっ?ああ、まあ、確かに作業中にあたしが一回トイレに行ったけど……でもたしか五分もかかってないと思うよ?先生に確認してくれてもいい。だって、授業の準備は昼休み中に終わらせないといけなかったから、あんまりちんたらやってるわけにもいかなかったしさ」

「あのねえ……。先生の教官室からこの教室まで、そりゃ大した距離じゃなけどさ、それでもトイレ行ってる振りして五分間で行って帰って来ようとしたら、結構本気で走らなきゃ無理だよ?そんなことまでして、なんであいつにチョコあげなきゃいけないんだよ?しかもハートって……。誰だか知らないけどさ、悪いけど、常軌を逸してると言わざるを得ないよ……」

「だってあの澪湖だよ!?日頃散々迷惑かけられて困ってるって、みんな言ってるよ。そんなやつになんでチョコあげなきゃいけないんだよ?きっとあいつにチョコあげたところで、食べるだけ食べて感謝の言葉の一つもないんだぜ?理由がないし、メリットもないよ」

「ああそうだねー、恋人ならあり得るよねー、って………だからそれは、あいつが勝手に言ってることなんだって……。あいつに聞いたのかそれ?あ、もしかして音遠?言っとくけどあたし、別にあいつのことなんかこれっぽっちも……」

「そ、そりゃ……あの時はちょっとどうかしてて……その場の勢いで………い、一回だけ……キスを………って、ちょ、ちょっと待ってっ!?これ関係ないよな!?今ってチョコの話してたんだよなっ!?言わないし!そ、そんなの言えるわけないし!……あっぶな…」

「……チョコ?あたし?ま、まあ嫌いってわけじゃないけど、自分で買ってまで食べようって気は起きないかなあ…澪湖じゃあるまいし…」


「え……?」

「ちょ、ちょっと……」

「な、……なんで知ってんのっ!?せ、先輩、先週あたしが買いに行ったの見てたの!?わざわざここから離れたスイーツショップまで、行ったのに…」

「い、いや…あれは…、み、澪湖とか、特定の誰か用ってわけじゃなくって…………と、友チョコ…っていうか……」

「……ああもう!わかったよ!言うよ!」

「だってさあ…、みんなバレンタインどうするのかな……って思ってさ……あたしなんかが自分から聞くのも……ちょっと恥ずかしいし…。も、もしかして、みんな当たり前みたいにチョコ買ってきてあって、みんなで交換とかはじめて、あたしだけ買ってきてなくって………とかなったら、気まずいじゃないか……」

「だ、だから…念の為、っていうか……、もし必要な時に渡せるように……って意味で買っておいたんだよ…」

「あ、ああ…その日から毎日学校に持ってきてるんだ……多分今日も、あたしのバッグの奥に入っていると思う………」

「勿論ハートの形じゃない。確か…こう、一口でつまめるような四角い形をしたやつが、何個か入っているようなチョコだったよ、うん」

「はは、あたしって…、普通の女の子、とかよくわかんなくってさ…。だから、こういうイベントもどうしたらいいのかわからなくってさ………。実はこれでもね、小学校までは、それなりにモテてたんだよあたし…、貰う立場だったんだよ、バレンタインは……」

「どうせ、先輩たちは全部知ってるんだろ?中一の今頃……いろいろあって…あたしが孤立するようになったこと…………」

「………もういいよね?」

「あたしには『アリバイ』がある。疑う余地はない。だったらこれ以上の事情聴取は必要ないよね……じゃ、これでおしまい」




……………【本前川音遠の証言】……………


「んー?かなたちゃんが教室に帰ってきたときい?ああ、そおいえばわたしい、ちょっと席外してたかもおー」

「ええー?女子にそれ聞いちゃうう?お手洗いだよお?普通にい」

「んんー……でもお、十分以内には戻ってきたと思うなあ…。だってわたしがいない間にかなたちゃんが帰ってきてえ、寝てるミオちゃんになんか変なことしたりしたら嫌じゃなあい?だからわたしい、なるべく早く帰ってこよおと思ったのお」

「ねーえ?かなたちゃんってそおいうとこあると思わなあい?あんまり悪口みたいなこと言いたくないんだけどお、手が早いってゆうかあ、泥棒猫っぽいてゆうかあ…」

「二人が付き合ってるのとかもお、実はかなたちゃんがミオちゃんに無理強いしてるんじゃないかなあって、思ってるんだあ。なんかミオちゃんが弱み握られてるとかあ……」

「え…?この話、もおいいのお?わたしまだ言い足りないことあるんだけどお……」

「チョコお?用意してるよお?でもお、よお子ちゃんが言ってたあ、簡単に口の中に入っちゃうようなショッボいのじゃないよお?」

「すっごい大きくってねえ、ほんとお、普通の人なら一週間あっても食べ切らないんじゃないかなあ。あ、もちろんミオちゃんなら二日ももたないんだけどお」

「ええー?どのくらいー?大きさはねえ、ちょおどわたしと同じサイズなんだあ……この前、型とったばっかりだしい……」

「あれえ?どおして実物大のわたし型チョコ像だってわかったのお?ミオちゃんにしか見せてないはずなのになあ……」

「毎年わたしの成長に合わせて、おんなじ形のチョコ像プレゼントしてるんだあ。ミオちゃんがわたしの形したチョコを舐めたり、かぶりついたりするのを見るのがホントに楽しくてねえ!」

「えへへ…、毎年わたしの形したチョコを贈るのが恒例だからね…、来年あたり、ホントのわたしに表面だけチョコレートコーティングして、プレゼントだよおって置いておいたら、ミオちゃん間違えてわたしにかぶりついてくるんじゃないかなあ……えへへへへえ」

「……ええ?またお手洗いの話い?しつこいなああ…」

「証明する人お?いるわけないじゃあん。誰かと一緒だったわけじゃないしい……ああ、でもお、クラスの誰かに聞いたらわたしのこと見てないかなあ…?」

「でもお、そもそも例のチョコをミオちゃんにあげたのわたしじゃないよお?だって今日はあげられるチョコなんか持ってなかったもおん。だいたいー、チョコ持ってたらあ、ミオちゃんが眠る前にあげてるってえ。そのときあげないでえ、ミオちゃんが眠ってからあげるなんてえ、そんなことする意味わかんないなあ」

「ううん。コンビニも行ってなあーい。ミオちゃんが眠っちゃってからはあ、トイレに行くまではずっとミオちゃんのそばにいたよお。隣の席でえ、ミオちゃんの寝顔を見てたのおー」

「ほんとだよおー?だってえ、あんまりずうっとミオちゃんの可愛い寝顔を見てたもんだからあ、そのうち居ても立っても居られなくなって、それでトイレに…………んんーっとお、何でもないよお?」




……………【千本木百梨の証言】……………


「えっ?何?わたしもやるの?…ま、まあ、いいけど……」

「でもわたしが『無実』なのは、ヨツハは知ってるでしょう?時間の無駄なんじゃないかしら?」

「まあいいわ、なんでも聞いてちょうだい」

「お昼休みになってからのこと?『アリバイ』?そうね、ええっと確か…、四限目の授業が終わったあとで、わたしたちはいつものように車を呼んで、この近くにあるわたし専用の高級レストランに行って昼食をとったのよね?」

「デザートまで食べ終わって学校に帰ったのが、ちょうど十三時くらいだったかしら?それから、クラスの友人と少しの間歓談をして…」

「あ?」

「……な、何よ?」

「…何か文句があるの?」

「あら……ちょ、ちょっと事実と違いましたかしら?そ、そう?あんまり些細なことなので、記憶から消え落ちてしまったのかしら!?おーほっほっほー!」

「………」

「………」

「………」

「…………歓談、してません」

「………話しかけたけど……、忙しいとかなんとか言って、皆さんに相手にされませんでした………」

「こ、これでいいんでしょ!?もう…」

「それでしょうがないから…い、いえっ、伊美澪湖たちがそろそろわたしに会いたくて寂しがっている気がして、ここに来てみましたの………そのときにはもう、ここにいるいつもの三人が揃っていましたわね。それで、チョコがどうのっていう、さっきの話しをしていましたわ」

「伊美澪湖にわたしがチョコ?ふっ!愚問ですわっ!」

「伊美澪湖はわたしのライバルですのよ!?そんな方に、バレンタインのチョコを渡すわけがないじゃないですの!」

「……ま、まあ!伊美澪湖がどうしてもって言うなら、庶民にはどう頑張っても手が出ないような最高級のチョコレートを、用意してあげないことものないのですけれどっ!」

「証明できる人…?何言ってるの?一日中貴女がずっとそばにいたじゃない?」

「え……ダメなの?身内はノーカウント?…そうなの?面倒臭いシステムですのね…」

「昼食のことは、レストランの店員にでも聞いてちょうだいよ。それか、わたしが車で移動しているところを見た人がいるかもしれないわね。このあたりじゃあまりリムジンで移動する人はいませんもの。学校についてからは…ま、まあ…わたしが話しかけた人たちなら、わたしの『アリバイ』を証言してくれるでしょうけれど……」

「……ど、どうしても聞かなきゃダメかしら…?」

「だって、ちょ、ちょっとアレじゃない?」

「………『昼休みに、誰かと話したそうに、ウロチョロしてましたよ』とか言われそうで……………」

「べっ、別にわたし!友達がいないわけじゃないのよ!?たまたま、皆さん今日はちょっと時間の都合がつかなかっただけよ!だって、『今忙しいから』って言ってたもの!だから……」

「え…?社交…辞令…?……NOと同じ意味………ま、マジですの………」


「……ちょ、ちょっと…休ませてもらっても、いいかしら……おほほほ……」

「あ……そういえばイク……貴女途中からいなかったけど、どこに行ってたの?昼食から戻ってきたとき、一人でどこかに行ってしまったみたいだけど………」

「トイレ…?あら、そうなの?」





…………………【荊の証言】…………………


「ああ、代わってるぜ…」

「なんでも聞いてくれ。カナの『無実』を証明できるなら、なんでも言うぜ」

「………?」

「そ、それが、この件と何か関係が……?」

「あ、ああ、そっか。わ、分かってる。言うよ……正直に、言う」

「……………ど、どっちかって言うと、……『犬派』……かな……」

「そ、それで、次の質問は……」

「…………???」

「わ、分かってる、分かってる……言うよ……」

「ピザピザピザピザピザピザピザピザピザピザ……」

「……………」

「…………肘」

「……次の…質問…」

「……………」

「……………」

「……カレー味の………」

「って、いやいやいや!これ百パー、チョコの話と関係ないよな!?さっきから適当に質問してるよな!?お前!」

「何も用無いのかよ!?俺に聞くことないのかよ!?じゃあ、わざわざカナと入れ替えさせんなよっ!」


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