02
――告白か。はは、これで今月入って何度目さ、女に告白されんの?カナの相変わらずのモテ男っぷり、恐れ入るぜ。…にしても今のやつにはうけるよな。まるで別人かってくらいあわててさ、俺笑うの我慢すんのに必死で…――
「…黙れ。いつもの事だろう。どうせ今の彼女も、どこかで『お前』の姿を見たのだろう。あたしが『お前』になっている時の姿をな。こういう事が起こるから、姿を変えるのはやめろといつも言っているんだ」
――いいや、やめられない。こんな面白いことはね。いつも偉そうにしている人間様をおちょくることほど愉快なことはないぜ、実際――
「悪趣味なやつだ…。これは、あたしの監督不行き届きだな。責任はすべてあたしにある…」
――おいおいおい、どこに行く気さ?さっきの人間のところか?はは、やめておけ。傷に塩、どころか傷口に唐辛子を塗りまくるようなもんさ。いや、人間風情がそんな繊細な心を持ち合わせているか怪しいもんか。どうせあいつも今頃はけろっとして、せっせと別の男に声をかけている頃…――
「…ふん。相変わらず人間の気持ちがわかっていないな、お前は。そんなことを言っている限り、お前の願いはいつまでたってもかなわない。お前を理解できる人間になんて出会えやしないだろうな」
――別に俺はあせっちゃいない。俺がこの『呪い』を解く前にカナが寿命を迎えるなら、その時は別の宿主を探すまでさ。それに俺は、別に俺のことを理解してくれる奴を探しているわけじゃない。むしろ、うまく利用出来るような都合のいいやつを…、おい、聞いてるのかよ。おい!…くそっ、勝手にしろ――
「君、大丈夫か?その、何て言えばいいかわからないが、誤解させてしまって…すまなかった」
――ふん、こいつの勝手な勘違いに謝る事なんかないのにな――
「あ、さっきの人…え、っと…あの…『あの子』、…が、あなたに何かやった訳じゃ…無いんですか?わ、私…てっきり、また『あの子』が何か…人様にご迷惑かけたの…かと」
――ん…?――
「あの子?ちょっと話が見えないな。あたしにさっき話しかけてきたのは君だろう?…あたしのことを男と思って、告白してきたのは」
――待て、カナ。こいつは違う。さっきのとは別人…?いや…――
「こ、告白!?しかも女の子って、もう、あの子ほんとに…バカ!…どうしよう…どうすれば…あ、ダメ…」
――もしかして、俺らと同じような…?――
「少し君は混乱しているようだな。無理もないことだ。汚れない君の恋心を、あたしが土足で踏みにじってしまったのだから。君の気持ちには応えられないが、せめて気持ちが落ち着くまで協力させてほしい。丁度いい、あそこの喫茶店で少し休んで…君、どうしたんだ!?」
「んー!あー、やーっと戻れた…って、うわ!いきなり目の前にイケメンが!え?え?えっとお…?」
――やっぱりこいつ、俺らとは違うな…――