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始まりの村発見

 スライムとなった夢を見ている俺は、跳ねて森を探索する事にした。

 これが結構疲れるのだ。びったんびったんと音を立てながら跳ねて跳ねて跳ねる。そんなに高く飛べる訳でもなく、這うよりは早く移動できるだけだった。

 どうやら、この森は広いらしい。どれだけ跳ねても終わりが見えてこないのだ。というのも、おそらく移動速度が遅い所為で本当はそんなに進んでいないだけだからなのかもしれないが。

 夏なのだろうか。木々の影で多少マシになっているとはいえ、暑い。凄く暑い。溶けそうなくらいだ。

 跳ねている内に少しずつ慣れてきた。が、それでも遅い。

 周りは相変わらず木ばかり、他の生物も居ないらしい。これは困った。

 折角の夢だぞ? モンスター同士でバトルとかやりたいじゃん。その肝心のモンスターが俺以外に居ない。何故だ。

 溜息を()こうとして、出来ない事に気が付いた。


 そういや俺、口ねぇわ。そら出来ないよな、うん。

 ……あれ、これって何も喋られない上に食えないんじゃ? いやいやいや、流石に食う事は出来るだろ。

 食える。絶対食える筈だ。そう思いながら近くにあった茂みに近付き、適当な草を食べようとしてみた。


 結果から言おう。草は食えた。一応、だが。

 ぐにゃりと俺の体が変形し、包むようにして取り込むのだ。味は分からなかった。夢だからなのか、今の俺がスライムだからなのか……理由は分からない。だが、疲労が回復した気がする。

 薬草か何かだろうか。

 回復するなら食べておくべきだ。というわけで、もしゃもしゃと薬草もどきを取り込んでいく。草の特徴も覚えたし、いい収穫だ。

 夢なのだから、いつ目が覚めるのか分からない。それでも俺は、その時まで遊びまくると決めたのだ。誰にも邪魔はさせない!

 そう思ったところで、大体の薬草を食べ終えた。満腹感はないが、まあいい。

 再びぺったんぺったんと音を立てながら跳ねていく。すると、森の出口が見えた。その先には村らしき物もある。

 始まりの村(仮)発見。これは行くしかない。

 暑いが、村を前にした俺には関係ない事だ。今はただ村に辿り着く事が大切なんだ。暑さは無視して跳ねまくる。

 あと十メートルくらいだ。そう思った時、村の出入り口から武装した村人らしき人が三人出てきた。

 お迎えか? それにしては物騒な……あ、俺今スライムだった。そりゃ警戒されるよな。

 うんうんと内心頷いていると、村人が近付いてきた。うん、思いっきり武器持ってるね。既に殺る気満々だよね。


 よし、逃げよう。


 そう判断すると同時に回れ右、出せるだけの力で逃走。勿論跳ねて、だ。

 どこまで追いかけてくるかが分からない為、森の奥へと全力で逃げる。数分程跳ねて、振り返る。誰もいなかった。諦めたのだろうか。

 さて、これからどうしようか。村には行けない、となれば……

 いや、待てよ? 上手くいけば共存とか出来るんじゃね? モンスターと人間の共存? 最高じゃねぇか。

 そうと決まれば、この体について調べないとな。

 ぴょんぴょんと跳ねて茂みに近付く。薬草を探しながら、能力について考えていた。

 スキルとか、あるのか? ステータス表示って出来たりするか? 鑑定は?

 もっしゃもっしゃと見つけた薬草を食べながら適当に考える。スライムだって頑張れば強くなれるんじゃね?

 ただ、それをどうやって頑張るか、なんだよなぁ。


 まあ、これ食い終わってからでいいか。

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