普通のない依頼
ただ今、俺は笑うしかない状況に陥っていた。
「頼む!!!君にしかできないんだ!!金はいくらでも払う。」
そう言って頭を下げるどこぞの有名社長。もちろんプライバシーにために名前は伏せさせてもらうが。
そう。ただ今いつものごとくお仕事真っ最中です。
「え、えぇ・・・・・・・引き受けさせてもらいますよ。
それが俺の仕事ですから。」
あぁ、困った。
まぁ俺の仕事自体が、異常なので俺の存在が表に知られることはまずない。
しかし、人はどこから聞きつけてくるのか俺の客は様々だ。
それこそ、表には顔を出せない裏の人やら有名な一部の大物までよりどりみどり。
まぁ、俺のいる場所がいる場所なだけに依頼がくるのはこっち関係の人だったり、人を多く動かせる人だったりが多いが。
そして、今回の仕事の依頼が
「昔のトラウマの記憶を破壊してほしい。」
というものだった。
俺としちゃあ、結構よくある依頼の一つだと思って引き受けたのが運の尽き。
「実は昔、姉に性的虐待を受けたことがあってね・・・・・・、
いわゆるSMを強要されたことがあって、……っ女性相手に不能になってしまったんだ。」
わお。
いきなりすごい話題が飛び出したもんだ。
「えぇーーーっと、・・・・・それはしっかりと病院へ「行けるものなら、行っている!!。」・・・。」
で、す、よ、ねぇぇぇぇl----!?
「私はあくまで会社の看板を背負ってるんだ。もし仮にでこのことが知れたら、」
そりゃあ、確実に会社に影響がでますねwwww。
権力者も大変なんだとつくづく思うよ。
頭を下げ、その破壊を依頼する社長。
そして、冒頭へ戻るわけだ。
引き受けるとは言ったものの、俺はかなり引いているぶっちゃけやりたくない。
記憶を破壊するには、まず脳からその記憶を探し出し引っ張り出さなければいけない。
・・・・、つまるところ俺もその記憶を見なきゃいけないわけで、
なにが悲しくて、わざわざ近親相姦のかつSMも見なければいけない。
はい、仕事だからですよね。・・・・・・・・、わかってますとも。
彼に近づき、頭に手をあてる。
・・・・・・・、あぁ早く見つかって下さい。
結論から言おう。
(俺もトラウマになると思ったわ、畜生!!!!!!)
・・・・・・、そんだけ苛められれば恐怖も残るだろうに。合唱。
「お、おぉぉぉぉおお。素晴らしい!!素晴らしいよ!!あの忘れられなかった苦痛を全く思い出せない。」
どうやら仕事も成功の様である。ヨカッタネ。
嗚呼、こんな仕事だもの。マトモな依頼なんてくるわけないさ。知っている。
でも、・・・・・・・・・・、
(明日の仕事は、奇跡的にマトモな依頼とか入っていないかなぁ。)
、なんてね。
普通を体験したことがない俺が言うのも笑える話だ。
一度でいい。平和な仕事がしてみたい。
「支払は後日に。」
無理だ。戸籍が抹消されているうえに俺は存在自体がこっちに溶け込み過ぎている。
よし、さっさと帰りましょーー。
(くだらない想像だったwww)
そんなとある化け物の日常。