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MONDE ー光を鳴らす物語ー  作者: ぽちな
第一部 始まりの光ー第三章 始まりの音
13/28

12.持ち寄られた曲たち

◆持ち寄られた曲たち◆


柔らかな日差しが降り注ぎ、コートがいらなくなった。この頃には、金曜日にスタジオDにいるのが当たり前になっていた。



遥がいつもより早くスタジオ入口に来ると、ちょうど瞬も着いたところだった。

そして案の定、ユキはもう来ていてペグに弦を巻き付けながらチューニングをしていた。


「ユキ! 俺も曲作ってきたよ」


「いいね。聴かせて」


ユキはチューニングの手を止めることなく瞬を見た。


「ちょっとみんなが来る前に感想を聞かせてほしくて」


(あ、私いてもいいのかな……)


なんとなく隅の方に行って、遥はベースを出して磨き始めた。


瞬はギターを出して手際よく準備を始める。

ユキはチューニングを終え、ギターを壁に立てかけると瞬の側に行った。


「……弾くよ」


瞬は息を吸ってから、弾き始めた。


「どうかな?」


「うん。……いいと思う」


まっすぐに瞬を見つめてユキは言った。


「あり……がと」


言いかけた瞬間、扉が開いた。


「おつー!」


晃と哲央が入ってきた。


「お、ギター二人で何かしてた?」


哲央が言うと、瞬は目を輝かせた。


「俺も曲を作ってきたんだ!」


「いいね! 聴かせろよ」


「うん。みんな聴いて」


瞬はギターを持ち直すと、みんなの前で弾いてみせた。

長い黒髪が音に合わせて揺れる。


遥は、瞬の音に耳を傾けた。


「瞬、いい曲じゃん」


晃がにっと笑った。


「また俺が歌詞を書くぜ!」


「ああ、頼むよ!」


「優しい気持ちになれる曲ですね」


「遥、ありがとう」


遥の言葉に、瞬の顔が明るくなった。


「また曲、持ってきた。二曲」


白いギターを持ったユキが静かに言った。

ギターを構えると、そっと音を出した。


一曲目は、ポップなロックナンバー。

哲央は、軽くスティックでリズムを取っている。


二曲目は――、みんな息を飲んだ。


瞬は、拳を握りしめ体を震わせていた。


(きっと、みんな思ってる。ユキくんと一緒にいれば何か見つけられそうだって)


遥も、晃も哲央も、ただじっと聴いていた。一音も漏らさぬように。


ユキは静かに弾き終えた。

みんな拍手をした。


「ユキ、凄くいいよ。鳥肌たった」


哲央は興奮気味に言った。


「さすがユキだな」


瞬はユキの背中を軽く叩いた。


「もうさー、4曲オリジナル曲あったらライブできそー」


晃が何気なく言った言葉に、一瞬、だれも言葉を出さなかった。


「出ようか」


ユキは言った。


◆揺れる光◆


「え! ライブハウスで演奏するってこと!?」


遥は思わず叫んだ。


「マジ!?」


晃は興奮した声で、ユキに言った。


「うん。今回持ってきた曲が完成したら出よう」


「俺、カッコいい歌詞、書いてくる!」


「ああ、頼むよ」


「そしたら、そろそろバンド名、決めないか?」


哲央がみんなに向かって言った。


「はい! はい、はい! 俺、考えた! デカダンス、どうよ? カッコよくない?」


「うーん、悪くはないけど……、バンド名は宿題にしないか?」


瞬は晃をなだめた。


「そうしよう。みんな考えてきて。曲のパート部分もね」


遥はじっとユキを見た。相変わらず淡々と話しているが、目の奥が輝いている気がした。


(ユキくん、なんだか楽しそう)


「3曲に、バンド名に、やることたくさんだね」


遥は、手をぎゅっと握った。


◆宿題の答え◆


金曜日。

遥はベースケースを背負い、目を擦りながらスタジオDを目指した。

なかなかハードだった。仕事から帰ってきてベース練習とベースのフレーズ作り、正直まだまだ正解はわからない。それでも楽しくて仕方ない。


「よっ、遥。お疲れ」


「あ、哲央くん。お疲れ様」


(呼び捨ては、まだできないや。いつかそんな日がくるかな)


「今週、宿題多かったな」


「だね。でも楽しい宿題だった。ちゃんとできているかはわからないけど」


「俺も楽しかった! 個人練習で何度もスタジオに入ったよ」


「えらい!」



スタジオDに着くと、みんなそわそわしていた。


ユキは白いギターを肩にかけた。


「全員揃ったし、まずは宿題だった曲たちをやろう」


哲央がスティックを打ち鳴らし、演奏がスタートした。

最初の音は、少しだけ噛み合わなかった。

それでも、演奏はどんどん先に進む。

誰かの音に、誰かが合わせた。

晃はメロディーに、声を乗せた。

遥は、夢中でベースを鳴らす。気が付いたら、指が勝手に動いていた。

ユキは、少しだけ弦を強く弾いた。

音が止んで、しばらく誰もしゃべらなかった。


「ふー」


晃が息をついた。


「なんか、すげー一体感あったな」


みんなが頷いた。自然に笑顔がこぼれる。


「なあ、次の宿題、俺たちのバンド名、そろそろ決めよう」


瞬がギターを置きながら言った。


みんなで円になって座った。


「それじゃあ、順番に考えてきた名前を言っていこう」


瞬が言うと、ユキがすっと手を上げた。


「……LUMINOUSルミナス。光を放つ、輝くって意味。どうかな?」


淡々として、でも力強い声だった。


「ルミナス、光を放つ……、素敵……」


遥は呟いた。それに、瞬も頷いた。


「これから輝くバンドってことだろう? いいんじゃないか」


哲央が言った。


「俺は、デカダンスも良かったけど、ルミナス、光を放ちまくってる俺にぴったりだと思うから、よし!」


「俺たち……ルミナス、だね」


ユキは、そう言うと手を広げ腕を前に出した。

瞬は、すぐに手を重ねた。

遥が、哲央が、晃が、みんな重ねた。


「ルミナス!」








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― 新着の感想 ―
曲を持ち寄って「ああでもないこうでもない」と相談しながら形にしていく過程、懐かしいです。 私がバンドで曲作ってた頃は、打ち込み版をみんなに聴かせて、相談しながら調整してたんですが、生音だけで各パート…
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