表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MONDE ー光を鳴らす物語ー  作者: ぽちな
第一部 始まりの光ー第三章 始まりの音
12/31

11.語らい

◆語らい◆


金曜日のスタジオD。


「なぁ、親睦も兼ねてみんなでこの後、飯でもいかない?」


練習が終わり片付けの途中に哲央が言った。


「いいじゃん、いいじゃん! 何気に俺らってスタジオでしか会ったことないし、今まで余計な話ってしてねーよな」


晃はマイクのコードを巻きながら同意した。


「俺も賛成。音楽やるうえでお互いを知るのも大切だよ。なによりユキと音楽の話したい」


瞬は同じギターのユキに熱い眼差しを送った。


「遥はこの後、時間ある?」


「大丈夫です! 私もみんなと話してみたいです!」


遥は大きく頷いた。


「じゃあ、行こうか」


ユキは、みんなに向かって頷いた。



チェーン展開している居酒屋に運よく入れた。

半個室のお座敷はみんなで話すのに良さそうだった。


「隅っこにまとめて楽器、置いておこう」


瞬が手際よく、ユキと遥、自分の分の楽器をまとめてくれた。


「ありがとうございます」


遥がぺこりと頭を下げた。


「5人だから誰か一人、お誕生日席~」


晃は壁に寄りかかれる席に早々に座りながら言った。


遥は辺りを見渡した。


(私が、お誕生日席になった方がいいかな……)


「晃、ボーカルってバンドの顔だから、お誕生日席からみんなを見渡すのがいいと思うよ」


「え! 本当に? ユキが言うならそうなのかな?」


晃はまんざらでもない顔だ。

そこへ哲央が追い打ちをかけた。


「あの席ってなんか特別な感じだし晃に似合うよ!」


「もう、みんながそんなに言うなら、俺がそこに行ってやるぜぇ!」


「晃、カッコいい!」


瞬と遥もよいしょした。


遥はもともと晃が座っていた場所になった。


瞬がみんなに聞いた。


「まずはみんなビールでいい?」


「OK―!」


晃が答える。


(あ、どうしよう……)



悩んでいる間に店員がやってきた。


「とりあえず生5つ」


「かしこまりました」


店員はそそくさと出ていった。


ビールはすぐにお通しと共に運ばれてきた。


「それじゃ、今日もお疲れ様でした。かんぱーい!」


晃が音頭を取り、みんなでジョッキを打ち鳴らす。

遥は一口、ビールを口に含んだ。


「苦い……」


「どうした? ビール苦手だったか?」


隣の席の哲央が聞いた。


「……飲めない……」


「ビール苦手なの?」


瞬が驚く。


「私、十九歳で……」


一瞬、空気が止まった。


「そっか」


哲央がそう言って、遥のジョッキを自分の方へ引き寄せた。


「俺、ビール好きだから二杯目飲んじゃう」


誰も責めなかった。


「俺がとっとと頼んだから、ごめんね。ソフトドリンク何にする?」


「えっと、コーラで」


「料理と一緒に注文するね。他に未成年いる? 」


瞬は、再び店員に注文しながら、みんなに聞いた。


「俺はもうぴちぴちの大人だぜ」


晃はニッと笑ってビールを飲んだ。


「二十一」


ユキが答える。


「ユキくん、落ち着いてるから、俺より年上だと思ってたよ」


瞬は驚いてユキの方を見た。


「みんな誤差の範囲内だよ」


料理が運ばれてきた。


瞬がいそいそとみんなにサラダを取り分ける。


(瞬さん、さっきから凄く気が利くな。……私、全然ダメだ……)


「瞬さん、ありがとうございます。お世話になりっぱなしです」


遥はサラダを受け取りながら言った。


「確かにな。ありがとう瞬!」


哲央も言った。


「お世話ってなんだ、それ!」


瞬は、遥の言い方に笑った。


「瞬って呼び捨てでいいよ」


一瞬、遥は言葉に詰まった。


「俺も呼び捨てな」


哲央も二杯目のビールを飲みながら笑顔で言った。


「はい! 呼び捨てします!」


遥は、心がほくほくしてきた。

さっき一口だけ飲んだビールが効いているのかもしれないと思った。


みんなで色々な話をした。


晃はヴィジュアル系バンドに憧れて、バンドを始めたらしい。

遥も同じなので、話が弾んだ。


ユキは幅広く色々と音楽を聴いていた。

とにかく音にするのが好きらしい。


「音って、言葉と違って、いろんな方向から解釈できるでしょ。だから、好きなんだ」


ユキは静かに言った。

みんなは、深く頷いた。


居酒屋の帰り際、


「なぁ、ユキ」


瞬が、少しだけ声を落とした


「俺も……曲、作ってみてもいい?」


「もちろん」


それだけだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ