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MONDE ー光を鳴らす物語ー  作者: ぽちな
第一部 始まりの光ー第三章 始まりの音
11/22

10.みんなの音

◆みんなの音◆


遥がベースの調整をしてもらってから、最初の金曜日。

スタジオDには、五人全員が揃った。

各々が自分の楽器の準備をしている。


「おい国東、ベース調整してきたんだろ?」


マイクスタンドの調整が終わった晃が言った。金髪から覗く耳からはいくつもピアスが並んでいる。


「うん。してもらった」


「前回、お前の音、ひどかったもんな」


「そうだよね……」


「まー、調整してもらったんなら、これからだよ」


一通りドラムを鳴らし確認を終えた哲央が遥に笑顔を向けた。


「とにかくやってみる!」


ユキと瞬も準備を終えた。


「じゃあ、やってみようか。哲央、カウント頼む」


ユキが静かに言った。


「おう! まかせとけ」



哲央がスティック同士を打ち合わせる。


カッ! カッ! カッ! カッ!


遥は目を閉じ息を吸い込むとベースを鳴らした。

哲央のドラム、ユキと瞬のギターが合わさると、音が一つの旋律になった。

優しい音楽がスタジオに広がる。


(あ、先週の重なった音と違う! どこかはわからないけど、音が整ってる)


「良い感じ」


瞬の口から言葉が漏れた。


晃がメロディーに乗せ歌う。


(わぁ、これが私たちの音、私たちの音楽なんだ!)


みんながみんなを見渡した。

口元がほころぶ。

スタジオの温度が上がった。

最後まで、遥はがむしゃらに弾いた。

晃は想いを込めて歌った。


最後は、哲央のドラムで曲が終わった。


「おおおっーー!!」


みんなが歓声を上げた。


哲央がスティックを握りしめ叫んだ。


「良い!!」


「俺の歌声やばくね!?」


晃は満足そうにつぶやいた。


「そうだね」


ユキは晃にそう声をかけてから、遥の方を向いた。


「調整したら、音が変わったね」


「はい! なんか違いました」


「みんなの音、良かったよ」


遥は、初めてユキがしっかりと笑うのを見た。



◆最初の曲◆


弾き終わって、さらに胸がドキドキしているのを感じた。


「私たちの最初の曲ですね! すごい!」


「すげーよな!」


思わず遥と晃は手を取り合ってぴょんぴょん跳ねた。


(……私、今、晃くんと跳ねてる)


「まだ始まったばっかりだけどさ、自分たちの曲ってうれしいよな」


哲央はスティックをくるりと回す。


「俺もギターだし曲も少し考えたりするから、わかるよ。ユキくん、凄いと思う」


瞬がユキを見た。


「……俺はただ音を鳴らすのが、好きなだけ。晃の歌の世界、良かったよ」


「だろー!? 俺、曲はつくれないけど、歌詞を書く才能はあると思う」


「うん! あるよ!」


遥は大きく頷いた。


晃は嬉しそうに笑った。


「もう少し、練習して仕上げよう」


ユキが言うと、みんな頷いて再び演奏を始めた。

晃が歌う。


――夢は叶うと信じて

  進んでいく俺たちは……



練習が終わり片付けを始めた頃、瞬が言った。


「そういえば、この曲のタイトルって何にする?」


晃が口を開くより早くユキが言った。


「息吹」


みんなの視線がユキに集まった。


「……ぴったり」


遥は心の中で言ったつもりで、言葉にしていた。


「ありがとう」


ユキは静かにお礼を言った。


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