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おにポチャで転スイ(転生)しました!?  作者: (万寿)ぷりん
第3章

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97 わちゃわちゃしちゃった!影巫女の神殿!






「セオト……。オレの影が揺らいでるって、ハツユリに言われただろ」


 カゲミは、神殿の蒼い気配を仰ぎながらつぶやいた。声は低く落ち着いているのに、その奥で影だけが震えているようだった。

「うん、そう言ってた」


「わかるんだ。オレの影……この神殿と関わりがあるって」

「え!?じゃあ、カゲミの影って、ここで“生まれた”……?」

「断言はできねぇ。でも、そう思う。村々の影巫女の力が弱まったのは……“吸い取られてる”のかもしれない」


 息を呑む。“影の起源”が、影巫女の力を削っていた……?

「じゃあ、ハツユリの残した“記録”を探せばいいのか?それとも――」


 その瞬間――。


 ヒューッ、ヒューッ──。

 カルマの呼吸が急に荒くなり、膝ががくりと落ちた。


「カルマ!? 大丈夫?」

「セオト兄ちゃん……僕、ここに吞まれちゃいそう……影が……こわい……」


 肩にとまっているハグロトンボも、今にも落ちそうなくらい震えている。

 この神殿の“影圧”は、魔物には強すぎる。


「トンボが休んでもしかるまい! だホン!」


 にょきっ!


 足元の石床から、突然ちいさな葉っぱが生えた。

 ホンホンが育てた柔らかい草のクッションが、ぽふっと浮かび上がる。

 ハグロトンボはそこへふらりと移り、力なく羽をたたんだ。


「ナイス!ホンホン!」

「ダジャレはホンホンにまかせろホン!!」


 ……ちょっとだけ、空気が和んだ。

 でも――カゲミの表情は変わらない。深い影をそのまま顔に落としながら、静かに僕の方を向いた。


「セオト……急がねぇと。ここに長くいたら、カルマもトンボも保たねぇ。“記録”を見つけて……影の正体を知らなきゃ」

「うん、行こう」


「なぁ、セオト。……もしオレの影が暴走したらさ」

「うん?」


「その……お前が止めてくれよ。ちゃんと、俺の隣で」

 その言い方があまりに不器用で、笑いそうになる。

「もちろんだよ。だって相棒だろ?」

「……ちげぇし」


 ちょっと赤い顔でそっぽを向いた。だけど握ったままの僕の袖は、離してくれなかった。



 神殿に足を踏み入れてから――ツバネは一言も喋らなくなった。

 青白い光が揺れ、影が足元を撫でるたびに、肩だけがわずかに硬くなる。その横顔を見て、リウラはとうとう声をかけた。


「なんだか……怖いですわ。ツバネは大丈夫?」


 その一言に、ツバネの睫がピクリと揺れる。まるで“気づかれた”ことに驚いたように、目を見開いた。


「……すまない。リウラ。今は、まだ言えない。拙の……勘違いであればいいんだが」


 そこで言葉を飲み込むように口を閉ざした。

 視線は神殿の奥へ。揺らめく蒼の闇に、なにかを探すような目だ。


「勘違い……?何の、ですの?」

「……」


 ツバネは返事をしなかった。ただ、拳をぎゅっと握って、影に溶けてしまいそうな静けさで立っている。


 ――その胸の内では。

 (……言えるわけがない。この奥から……カナエ兄さんの気配がしている、なんて……)

 ツバネは息を押し殺す。たしかに“残り香”のように──兄の気配が、この神殿の奥に漂っている。


 それをどう伝えればいい?

 確証はない。希望でもなく、絶望でもなく──ただ、胸を締めつける“影”の気配。


 リウラはそっとツバネの袖をつまんだ。

「……言いたくないなら、無理には聞きませんわ。でも……ツバネが怖いなら、ワタシがそばにいてあげますからね」


 その声に、ツバネの肩がすこしだけ緩む。

「……ありがとう。拙は大丈夫だ。ただ……」

 蒼の奥へと向けた視線が、わずかに震えた。


「――嫌な予兆がする」


 その瞬間、神殿の空気がふっと冷えた。まるで、ツバネの言葉に応えるかのように。



 蒼い霧が渦を巻く。影が肌に張りつくような気配の中で、ミラだけが相変わらずだった。


「なんだい、ワクワクしてるのは私だけかい?」

「師匠……今は空気読みましょうか……」

 セリアンは額を押さえた。ミラの飄々とした声音が、この場でいちばん異様に聞こえる。


 しかしミラは、影を眺めて陶酔したように息を吸う。


「いやぁ、風が騒いでるねぇ……おや? セリアン。君も感じないかい?」

「感じるって……何を……?」


「この先にあるよ。濃くて古い淀みが待ってるじゃないか。――ほら、背中のあたりがゾワッとしたろ?」

「し、師匠!? それって、つまり……!」

 セリアンの声が跳ねる。


「そう。ここで君も覚醒するかもしれないから、とりあえず竪琴を弾いておくれ」

 完全に“実験モード”の声音だ。

「は、はい……!」


 震える指で竪琴を抱え、弦にそっと触れる。繊細な音色が神殿に流れ、影の霧がふわりと後退するように揺れた。


 ……その瞬間。


「……あ、呼吸が……楽に……」

 カルマが胸に手を当て、驚いたように瞬きをする。


「霧が薄くなった……?」「ほんとだ、影気が弱まった!」

 仲間たちの声が次々と上がった。


「ふふ、これが癒しの魔法さ!」

 ミラが胸を張る。


「師匠、弾いてるのは私です」

「もちろんだとも!私は“指導の魔法”をかけたのさ!」

「どんな魔法ですかそれ!?」


 セリアンが思わず抗議するが、竪琴の音は確かに影を和らげていた。

 ミラは目を細め、さらに奥を見つめる。


「さぁ、奏で続けるんだ、セリアン。君の音は――影すら揺らす力を持っている」


 その声に、セリアンの背筋が震える。竪琴の音が続くたび、古い影の気配が、ひとつずつ剥がれ落ちていくようだった。




 奥へ進むほど、空気が重く沈んでいった。光も、声も、影も吸い込まれるような静寂。

 黒い水たまりのようなものが、床に滲んでいる。けれど、水ではない。触れる前から、胸の奥で本能が警鐘を鳴らす。


「……これが、古の淀み……?」


 その言葉の直後──床の黒が、ぬるりと動いた。











 今日も読んでくれてありがとうだホン!


 影巫女の神殿、こわいけど冒険ノートはホカホカ温まってきただホン……。

 みんなでわちゃわちゃしながら進めるから、ホンホンは胸をなで下ろしてるホン。


 特に、カルマくんの肩にいたハグロトンボちゃん。

 あの子、はじめはホンホンのことを見るたびに羽を震わせて逃げちゃって……。

 ホンホン、コワくないホン!

 (禁書だけど、やさしいホン!)


 でもね。


 神殿の影気がつよくて、あの子がフラフラになったとき――

 ホンホンは見ていられなくて、

 ぽふっと、柔らかクッション草を生やしたホン。


 そしたら、ふわりとそこへ降りて、

 ちいさく羽をたたんで、すやすや休んでくれたホン。


 ……きゅん。としたホン!


「トンボちゃん、ホンホンと仲良くしてほしいホン」って言ったら――


 ハグロトンボちゃんは、はにかんだみたいに翅をふるわせて、

 ホンホンの肩に ちょこん ととまったホン。


 ……きゅんきゅん。としたホーン!


 あのときの感動は、『禁書ホンホンの禁断メモ』の最終ページに書いておいたホン!


 ホンホンホン!(笑い声)

 これからもダジャレは、ホンホンにまかせろホン!


 もうすぐ100話だホン!

 これからも、ホンホンといっしょに、物語をたのしんでくれたらうれしいホン!



 ――禁書ホンホン。






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