25 禁書なのに!?ホンホンの秘密だったヒント!?
禁書ホンホンは図書館の中庭をぐるぐる飛び回りながら叫んだ。
――どんだけ祖師の話したかったんだよ。
ツバネとタリクはベンチに座ったまま、ぽかんと空を見上げる。
「さてさて!キミたち、そんなに知りたいのかホン?祖師のおこころを!
ならば語ってやるホンッ!」
羽ばたきの風圧で花壇の本草がばさばさ揺れる。
「祖師はホン!祖師はホン!祖師はホンホンホン!」
……しん、と図書館の中庭に静寂が落ちた。鳩が「ポッポ」と鳴いて、間を埋めた。
「……あらま。ごめんホン。やっぱ語れなんだホン」
ホンホンはしょんぼりとベンチの背もたれに着地した。
「え?祖師って本なのかと思った」
「ち、違うホン!ホンホンは禁書!でもヒントくらいは言えるホン!
――鏡水の間!世界ぜんぶ映す水面!そこに行けば祖師の意思に会えるかもしれぬホン!
祖師は呼ばれて来るものではなく、流れが選んだときにのみ姿を見せるんだホン!」
「えっ、生きてんの!?」
「ふふふ、影を継ぐ者も!旧きを継ぐ者も!歌を継ぐ者も!その先に立つならば――!
水面に映せばよいホンホン!」
中庭にまた妙な沈黙が落ちる。
ツバネが笑って肩をすくめる。
「俺は影ってこと?大層だなあ」
タリクはむっとして腕を組む。
「旧き……古臭いとか言うなよ?」
「じゃあ私が歌で決まり!」セリアンが元気に割り込む。
「……違ったら恥ずかしいけど」
「いや決まりだろ!」ツバネが即ツッコミ。
「タリクは古臭……」
「だ、誰が古臭いだ!」
その声に中庭の泉がざぶんと揺れた。
セリアンは苦笑しつつ前を向いた。
「……なんだか楽しみになってきたよ。剣の影も、伝承も、歌も――全部、流れに試されるんだ」
僕たちは次の目的地、鏡水の間と旧き記録師の隠れ里を目指して旅に出ることになった。
――いったいどこにあるんだろう?
「ゲルも一緒に行くのか?」
「あなたたちを見張るのがゲルの任務ですから。仕方なく同行します」
カゲミは思わずため息をつく。
「な、なんだか精霊って素直じゃありませんわね」ぽつり、とリウラ。
「次の旅ー!」
「お腹すいたね」
「グルメ探し旅かー!いいね」
――誰もそんなこと言ってない。無邪気な三人衆である。
「瀬音、言っておきたいことがある」
カナメが僕と視線を合わせた。
「汐真は、拙とともに任務を行ったこともある。まっすぐなヤツだから、協会に狙われていた。
そして、青鮎たちと共に水族館の”水槽の監獄”に囚われてしまったんだ。
その枷を外したのは拙だ。
汐真は無事だ。たまに転スイしてキュリシアにも来ることもある。直に会える。心配するな」
僕は声もなく泣いていた。あ、あ……感謝を伝えなくては。
「あ。あ。あり……がと……う!兄さんを助けてくれてありがとう!」
「ああ。だから水族館へ行く必要はない。ただの廃墟だからな」
そう言ってカナメは消えた。
あの頃の僕には何もできなかった。カナメは、敵のフリをしていただけだ。
兄さんを助けてくれる仲間がいて……嬉しすぎて涙が止まらなかった。
トン。
ツバネが僕の肩に手を乗せてきた。周りを見ると、みんな笑っていた。
カゲミと僕だけ、泣いていた。
泣きながら僕は言った。
「次はどこへ行こうか?」
「タリクの妹とラグ・ノートリアが気になるな」
「ワイが一人で行ってもいいが……」
「いや、みんなで行こう!」
「おー!!!」
なんだか色々あったけれど、チームとしてまとまってきた気がする。
僕にはあまり似合わないけど、ワクワクしていた。
キュリシア水族館には――もう、行かなくていい。
生き別れの兄妹を必ず再会させるぞ!と、僕たちは意気込んでいた。
ふふふ、ここまで読んでくれて感謝するホン!
禁書たるこのホンホン、実はまだまだ語りたいことが山ほどあるけど――
話せなくなったら困る話も、大好きだホン。
再会したらまた聞いてくれると嬉しいホンホン!




