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さん。

前回のあらすじ

小屋を出て人里を探しすこととした。

 【地図】で見つけた小道に向かって歩き出そうとしてふと気が付いた。


 あれ?武器持ってたっけ?


 【キャラデザ画面】を開いて装備を確認してみる。



  頭部

  上半身   旅人の服

  下半身   旅人のズボン

  足     旅人の靴

  右手

  左手


  スロット1 ひのきの棒

  スロット2 たいまつ

  スロット3

  スロット4

  スロット5

  スロット6

  スロット7

  スロット8



 ひのきの棒って、、、、。ないよりましなので右手に装備、、、持つこととした。


 直径七、八センチ、長さ五十センチほどの棒が右手に現れた。


 これって、ただの棒だよな。軽いし。


 コンコンと、軽く頭を叩いてみても、単なる棒でしかないことがわかるだけだ。


 武器になりそうなものはこれしかないが、、、、と、思い出したわ。


 確か俺は最初の日に、薪を割るのに斧がなく困っていたところ、ジジィに言われるまま、指先から魔力を刃物のような形状にして放出して、スパスパと切っていたなぁ。


 その後は、魔法で火を使っていたからすっかり忘れていた。


 うん。ひのきの棒なんかいらないなぁ。


 ! そこで、ふと、思いついた。


 まず、ひのきの棒の周囲に強度アップ用の魔力を薄くまとわせる。たぶん、こいつは通常の人には見えないだろう。


 うん、これなら鋼の剣程度なら、打ち合っても折れたり切り落されたりすることはなさそうだ。


 次にその上から斬撃効果のある魔力をまとわせ、さらに棒の先五十センチ程まで伸ばしてみるのだが、その際に、


 ブンンン


 某セイバーの始動音を真似して鳴らしてみた。斬撃効果のある魔力には、もれなく着色を施している。今のところ、ライトグリーンだ。気分で色を変えてみるのもいいだろう。


 更にその状態で、正眼の構えから上段に振り上げ、右袈裟に切り下してみる。やはりそのとき、ひのきの棒の動きに合わせて、


 ブボボボボボ、バボボボボボ


 と効果音を鳴らしてみる。



 うん、うん。いい感じだね。命名、《光サーベル》。


 『おいおい、どうしてお前さんは、そう要らんことばかり思いつくのかのう。怖い人がでてくるかも知れんからからやめというたじゃろが』


 ──でも、ピョロピョロとかキュウンキュウンなんかじゃカッコ悪いし、《光サーベル》といったらこの音じゃないと雰囲気でないからなぁ。


 『う~~む。いざとなったら、外の人がどうにかするか。まぁ、ええじゃろ(すぐに飽きるだろうしの。。。)ふぉふぉふぉ。』


 ということで、武器の準備もできたので、改めて小道に向けて歩き出すこととした。





 ◇





 小道には、ものの五分程でたどり着いたので、そこからは進路を道なりに北に向けてさらに歩き続けた。


 歩きながら、周りの景色を眺めていると、初めは疎らに草の生える荒れた地面だったが、小一時間も歩いていくと徐々に生える草が増えてきて、やがて緑に覆われた平野になった。とはいえ、見渡しても、特に人工物など変わったものもなく、景色も大して変わり映えがない。そう、退屈になったのだ。


 スマホでもあれば歩きスマホでもするのだが、そのようなものはないので、ひのきの棒を《光サーベル》にして効果音をつけながら振り回しながら歩いた。


 ちょっと、楽しい。


 動きと音とを完全に同期させるのがなかなか難しく、動きに気を取られると音がずれ、音に気を取られると動きが雑になる。剣技を極めし者としては、雑な剣技など許されない。高次元の剣技を維持しつつ効果音との完全な同期を果たさねばならぬ。コツをつかむのに時間がかかったが、結構慣れてきたな。


 もっとも、剣技については、警官時代に剣道していただけなので実は大したことはないのだがw。


 よい時間潰しにはなったな。よしよし。


 それにしても、草原といってもよさそうな土地が広がっているのに、ほとんど生物に出くわさないのはなんでだろう。


 たまに足元でピョ~ンと跳ねるバッタぐらいしか目につかない。草食動物などがいてもおかしくないだろうに、と思いながら歩いていると、


 『お前さん、もう少し体から漏れ出す魔力を抑えてみてはどうかのう。これでは、随分と遠くからでも恐ろしいモノがやってくると怯えて、動物も魔物も逃げてしまうでの』



 おおっと、そんなことがあったのか。


 ぐぬぬぬぬ~~~。


 気張ったら、ますます魔力を放出してしまったみたいだ。


 失敗、失敗。


 『……』


 うん?何か呆れられたような気配が、、、、。気のせいか。


 『気のせいじゃないわい。不器用なのか、アホなのか、、、』


 失敬な。単に不器用なだけなんだからねっ。見てなさい。


 フーーーーーーー。


 今度は、力を抜く感じで魔力を制御してみると、見事に、これまで体から放出されていた魔力がぴたりと止まった。


 ──どんなもんだい。へいっ。


 いかん。へいっ、で少し漏れてしまった。が、直ぐに止めたので影響なしっと。


 『影響なしっと、じゃないわい。まぁ、二度目で完璧に止められるとはのう。お前さん、器用なんだか、不器用なんだかよくわらんのう。やはり、あほう、というのが正解かのう。ふぉふぉふぉふぉ』


 大変失礼なことを言われているが、かまっていても得るものはないので無視を決め込んで、魔力を抑え込んだ状態で、再び、《光サーベル》を振り回しながら歩き続けることとした。


 『それじゃぁまるで学校帰りにエノコログサを振り回して歩く小学生のようだのぉ』




 ◇





 そうして暫く歩いていると、前方やや左、即ち北北西の方角から複数の何かが接近してくるのに気がついた。


 はて?何だろう。立ち止まってじ~~~っとみている(《鑑定)してみる》と、




  種族    ホーンラビット

  クラス   F

  体力    五八

  魔力    一三

  攻撃力   三二

  防御力   八

  魔力耐性  三

  スキル   突貫

  備考    後ろ足の強さを生かしたジャンプ力が特徴。

        頭に生えた角を使ったジャンプ攻撃を行う。



 ホーンラビット。角の生えた兎というわけだ。うむ、この世界では、()()()()と言わないか、言うと別の意味になってしまうのかしら? まぁ、いいか。いずれにしろ、スライム、ゴブリンに続くある種の定番だな。


 定番とはいえ、兎系の魔物と死闘を演じる人もいるらしいので油断は、、、いやいや、パラメータ見たらどう考えてもそんなことはねぇな。



 結構なスピードでこちらに向かってきているようだ。


 向かってくるのは五羽か。


 こちらも右手に持った《光サーベル》を下段に構えて──単に自然体で手を下しているだけともいうが──スッスッスッと向かっていく。


 そしてすれ違いざま、逆袈裟、左一文字、一文字、左逆袈裟、真っ向斬りと剣を振るう。所要時間〇.〇五秒。あっ、効果音忘れた。


 『ふっ……』


 無視、無視。



 振り向くと、四羽のホーンラビットを仕留めていたが、最後の一羽は仕留めそこなったらしく、一目散に逃げていくところだった。


 文字通り、脱兎の如くとはこのことだな。


 などといって、そのまま見逃すはずもないが、走って追いかけるのも億劫なので、《光サーベル》の切っ先を逃げていくホーンラビットに向けると、


 ──ふんっ!


 一瞬で《光サーベル》の先端が伸びてゆくと、跳ねるホーンラビットの後頭部というか延髄を貫く。


 これで五羽とも仕留めることができた。



 『鍛え抜かれし剣技などと言っていたが、まだまだじゃの』


 ──大学卒業まではド文系だったんだ。剣道も柔道も入庁してからのことなんだからこれだけできれば上等だろ。


 『神の領域には、ほど遠いのう。これから心して修行する必要があるのぉ』


 確かに、神といわれるとねぇ。まだ十日程だからねぇ。


 それよりも、お片付け、お片付け。


 大量にDLされた知識の中に、魔獣討伐後のエチケットというものがあったので、それに従って作業をすることとした。エチケットって、、、。


 それにしても、全く取得した経験のない知識を思い出すというのは、なんとも気持ち悪い感覚だ。あぁそうだった、という感じで必要な知識が脳内に湧き上がってくるのはいいのだが、その知識を得た背景がスッポリ、一切ないのがどうにも釈然としない心持となる。こればっかりは慣れるしかないが。



 さて、やることは大きく分けて次の通り。


 一、必要に応じて素材を回収すること

 ニ、廃棄物は、焼却すること。焼却できない場合には穴を掘って埋めるなど、少なくとも野ざらしにしないこと


 らしい。地面に倒れているホーンラビットを回収しなければならないが、いちいち拾い集めるのも手間なので、ここは《サイコキネシス》を使って引き寄せた。魔法って便利だなっ。


 ホーンラビットで回収すべき素材は、身に覚えのない知識によると、、、、頭の角、魔核、毛皮、肉といったところか。


 引き寄せたホーンラビットを、身に覚えのない知識を活用して解体していく。使うのは、勿論《光サーベル》のはずはなく(大きすぎるからね)、人差し指から放出した魔力で形成した刃である。魔力の刃だから《魔刃》と呼ぶこととしよう。


 まずは、《魔刃》で喉元を切り裂き血抜きをする。魔力で足許に少し大きな穴を掘ると、五羽次々に処理をして、そのまま穴の上に逆さに吊るしておく。保持は、当然、《サイコキネシス》でだ。ぶら下げられそうな木の枝なんで周囲にないし、手で持ったりなんかだるくてできないから、当然の帰結だね。


 血抜きにも時間がかかりそうなので、何か役立ちそうな魔法がないか思い出してみる。


 うん、うん。やっぱり、あるよね。


 ──対象はホーンラビットの血液。《リムーバル》


 やはり魔法は、それらしい言葉と結び付けて発動するのがやりやすいね。しかし、具体的なイメージがないと、割と魔力消費が大きい。まぁ、俺の魔力総貯蔵量からしたら微々たるものだがな。がはは。


 時間のかかりそうな血抜きを一瞬で終えると、魔刃で頭の角を根元から切り落とす。


 次に、正中線にそって開腹して、内臓を破らないよう慎重に除去する。勿論、魔刃とサイコキネシスを使うのは言うまでもない。その時、心臓付近にある魔核はしっかりと回収しておく。除去した内臓は、穴に捨てる。


 その後は、皮を剥いだら、角、魔核、肉とともに【保存領域】に収納しておく。


 最後に穴の中の内臓などなどを《ファイヤーボール》で焼却し、穴を埋め戻せば完了。


 皮を剥ぐのが初めてだったため、少し手間取ったが、五羽全部処理するのに都合三十分程で処理を終えた。初回ということもあり、我ながら、満足な出来ではないかと思う。


 その間、ほかの魔物に襲われないように警戒は忘れない。


 薄~~~く引き伸ばした魔力を半径一キロメートルの範囲で一秒毎に展開し、探査を行う。


 《魔力警戒レーダー》と呼ぼう。


 流石に半径一キロメートル内に全く何もいないはずがなく、様々な反応が返ってくる。それを一つ一つ確認するのは大変なので、これも身に覚えのない知識を使用して、反応について敵性の有無を識別するとともに、脅威度を判定して表示する魔法を同時起動する。


 《IFF》と名付けて《魔力警戒レーダー》に組み込んでおく。


 その結果、無害な生物は、白い点で、敵性生物は赤い点で、脅威度が高いほど濃い色表示されるようになった。たぶん、味方であれば、青系で表示されるんだろうなぁ。味方いないけど。


 現在の反応は、

  周囲五十メートル以内・・・無数の極小さな白い点と白ともピンクともつかない点

    五百メートル以内・・・大き目の白い点が複数、ピンクの小さめの点が複数

    千メートル以内・・・・五百メートルとほぼ同様。大き目のやや濃い目の赤い点が一点

という状況だ。


 極小さな点は虫だろうから、毒性の強い、即ち脅威度の高いもの以外はいちいち反応すると煩わしいので反応しないように再設定した。すこしスッキリ。




 こんな調子で、ホーンラビットの処理を終えた俺は、再び小道を北に向かって歩いて行った。

人里探しにっていいながら、全然進んでいないような、、、。

兎の肉は、しまっておきます。A5和牛の方がおいしいからね。

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